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博物館デジタル化調査報告 No.9 〜国立故宮博物院〜

こんにちは。ミューゼオの奈良です。

第9回は有名な白菜の彫刻「翠玉白菜」などを所蔵している国立故宮博物院。今やミュージアムの楽しみ方のひとつとして確立されつつあるデジタルを活用したさまざまな施策をまとめていきます!

国内のミュージアムではあまり見かけない施策も含め調査し、「デジタル化やDXは手段や方法が色々ありすぎて何から手をつけたらいいのやら…」と悩んでいる方の参考になればと思っております。

調査はミュージアムの公式HPを中心にミュージアムとしての取り組みやSNSの活用方法を調査し、個人的に好きなミュージアムストアの情報なども取り上げています。(TOP画像は国立故宮博物院公式Facebookを参照)


国立故宮博物院の概要

中華人民共和国の国立博物館
所在:中華人民共和国の台北市
読み方:こくりつこきゅうはくぶついん
中国語での正式名称:國立故宮博物院

中華民国の国立博物館のうちの1つであり最大のものである。2011年5月現在の収蔵品は約68万点(清朝が残した文物は全体の90%以上)である。
1925年当時の所蔵品点検レポートによると所蔵品総数は117万件を超えており、博物院は古物館、図書館、文献館を設けて各種文物の整理をする一方で、宮殿内に展示室を開設して多様な陳列を行っていた。

国立故宮博物院Wikipedia参照

さらに敷地内には庭園がある。

敷地内左側にある「至善園」は民国73年(1984)に着工した。園内は中国の伝統的園林の理念が生かされ、絵のように美しい楼台、風情ある庭石、小さな橋のかかった小川、曲りくねる小道と池、素朴でゆったりとした趣に満ちている。亭台の梁と柱には先達の法書(聯句)が彫刻されており、味わい深い書が庭園散策の楽しみをより豊かなものにしてくれる。
敷地内右側の小面積の土地には無料開放している庭園─「至徳園」がある。園内には丸い橋と池、小さな東屋がある。毎年秋になると涼やかな夜の空気に花の香が漂い、人を惹きつけずにはおかない、なかなか忘れ難い趣がある。

国立故宮博物院公式HP参照
至善園 龍池,
国立故宮博物院公式HP,敷地内の庭園参照

Webサイトの内容

日本語にも対応しているため情報が読み取りやすい。

〈開館時間〉※月曜日は基本休業
火~ 日曜日 午前9:00-午後5:00

〈チケット〉予約必須ではないようだ。

【1】おすすめの動画
文化的遺物についての動画がおすすめされていた。ページ内に大きく掲示されているため目を引く。

国立故宮博物院公式HP参照

【2】3D鑑賞
所蔵品をオンラインで鑑賞できる。

●「清 乾隆 金甌永固杯」の場合
いくつの場所にキャプションがついている。鑑賞しながら詳細を確認することができる。

清 乾隆 金甌永固杯のキャプション,
国立故宮博物院,3D鑑賞,清 乾隆 金甌永固杯参照
清 乾隆 金甌永固杯のキャプション部分を拡大,
国立故宮博物院,3D鑑賞,清 乾隆 金甌永固杯参照


●「清 18世紀 彫竹根馬上封侯」の場合
普段の展示では見ることのできない内部まで3D鑑賞することができる。下記に添付した内部画像は馬の首元部分である。中は空洞のようだ。

文物紹介
竹の根を円彫りし、横たわる駿馬を彫刻した作品。馬は背に乗っている、桃を持つ小猿を振り返っており、「馬上封侯」(とんとん拍子の出世)の寓意となっている。小さな彫刻作品だが、動物の表情や姿形、質感の表現に些かも粗雑な箇所がない。多宝格に収納された賞玩の一つである。

清 18世紀 彫竹根馬上封侯の文物紹介,
国立故宮博物院,3D鑑賞,18世紀 彫竹根馬上封侯参照
18世紀 彫竹根馬上封侯,
国立故宮博物院,3D鑑賞,18世紀 彫竹根馬上封侯参照
18世紀 彫竹根馬上封侯の首元の内部,
国立故宮博物院,3D鑑賞,18世紀 彫竹根馬上封侯参照


【3】図書館が併設

国立故宮博物院図書館は民国57年(1968)に開設して以来、院内職員のための文献整理や保全、研究、展示、出版の支援を主な業務としてきました。また、一般の皆さまや学術界からの芸術及び文史研究に対する幅広いご要望にお応えすべく、近現代の中国文化や歴史、国内外の芸術、文物の保存と修復、考古学、博物館学に関連する国内外の書物を積極的に収集し、開架式書架に排架して自由に閲覧できるようにしており、学術性と専門性、社会教育機関としての機能も備えた専門性の高い図書館です。

国立故宮博物院公式HP日本語版,図書館について参照

美術展の図録や研究資料、アジア研究を主題とした外国語書籍などが取り揃えられている。図書館は日・月・祝日が休館日になっている。


SNSでの活動

国立故宮博物院では3つのSNSを利用して情報を発信。YouTubeも積極的に活用している。様々な媒体を使って作品紹介を発信しているため、自分の好きな媒体で情報をチェックできる。

Facebook
展覧会やイベントの情報、作品についての紹介が発信されている。

国立故宮博物院公式Facebook参照


Instagram
作品の紹介がメインに発信されている。

国立故宮博物院公式Instagram参照


Google Arts & Culture
Googleが提供している世界各国の美術品をオンラインで鑑賞できるサイト。40カ国200以上のミュージアムが登録している。サイト内では年代別や作品の色別などでフィルターをかけることが可能である。

国立故宮博物院公式Google Arts & Culture参照

YouTube
〈チャンネル登録者数〉4.37万人
〈本数〉1000以上
〈配信開始〉2012/11/28(8年前)から配信
〈最高視聴〉535,775 回視聴
  内容:「未来、予期せぬ出会い、バージョン2020」


Shop情報

こちらからは国立故宮博物院でしか買えないようなアイテムを紹介。オンラインでも購入可能だ。

●中国茶
1890年創業の有記名茶オリジナルの「奇種烏龍」という名のお茶。パッケージには范寬 「谿山行旅」が描かれている。

国宝奇種烏龍茶セット,
National Palace Museum Shop,Chi-Chong Oolong tea-gift box set参照


●有名な「翠玉白菜」がモチーフのグッズを紹介!

国立故宮博物院では様々な翠玉白菜グッズが展開されている。翠玉白菜モチーフのオリジナルキャラクターも存在するのだが、「そこまで白菜なのね!」と思ってしまうようなアイテムをいくつかご紹介。

・カメラ
緑と白の淡いグラデーションが「翠玉白菜」のようになっているカメラ。厚さは1㎝しかなく、持ち運びにも便利でおしゃれ。

翠玉白菜カメラ,
National Palace Museum Shop,Jadeite Cabbage Simple Light Digital Camera参照

・オルゴール
観賞用の置物としてだけではなく音楽も楽しむことができる「翠玉白菜」。作品を忠実に再現した白菜上部にはキリギリス(イナゴ)も。木製の翠玉白菜は温かみもある。

翠玉白菜 オルゴール,
National Palace Museum Shop,Jadeite Cabbage Immobile Music Box参照

・塩コショウ缶
「目的(機能):塩コショウ缶」と書かれているが一体どこから出てくる仕様なのだろうか…?と思ってしまうグッツ。陶磁器である「翠玉白菜」も淡色合いで魅力的だ。

翠玉白菜 椒塩缶,
National Palace Museum Shop,The Jade Cabbage - Salt & Pepper Shakers参照

他にも「翠玉白菜」をモチーフにしたサングラスやイヤリングなどのアクセサリー、花瓶やお皿などもある。


まとめ

▶︎Webページを日本語で確認できる
▶︎作品を3D で閲覧できる
▶︎SNSの他にオンラインで作品を閲覧できるシステムを活用している

国立故宮博物院のWebサイトは日本のものによく似ています。日本語版もあるため情報を確認しやすく、安心して施設を訪れることができそうです。図書館が併設されていたり学習イベントが充実しているなど、博物館で作品を見るだけではなく、体験しながら学ぶ環境が整っていました。

次回はテイト(テート・ギャラリー)について調査していきます。ロンドンの国立美術館を運営しているテイト。まずはテイト全体でどのような取り組みをしているのか紹介いたします。お楽しみに!


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