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システム制御系に転院しようとした東工大生(23B)の話


はじめに

初めまして、東京工業大学物質理工学院に2023年入学したラートです。
今回は、工学院システム制御系に転院しようとした者として、1年の成績を振り返っていこうと思います。
この記事が何かしらの参考になると嬉しいです。
※本文約3700文字、おまけ約3000文字の長めな文章となっています。

転院に関する系所属の話

系所属の概要

東工大の新入生は入試の結果をもとに各学院に所属して、2年目からは、専門の『系』に所属することになっています。これを系所属といいます。
系所属するための資格は、ざっくり言うと次のようになります。

必修科目23単位から17単位以上取得し、なおかつ選択科目も合わせて31単位以上取得していること。』(詳しくは、学修案内を参照してください。)

所属したい系を選択すると、系の定員に対して志望者が多くなってしまうことがあります。そのときに、志望者は系所属点(必修科目が17単位以上になるように選んだときの、1年次に取得した31単位の最高総得点)の高い順に所属することになっています。
これが、系所属バトルという言葉の正体です。

転院するとは

実は、系所属で第一志望の系に所属学院外の系を選択することができます。
こうして系所属で、学院外の系に所属することを転院と言います。転院の条件としては、大きく3つ
所属している学院の転院希望者での順位が、転院可能人数以内であること
・系所属点が志望する系での学院内から志望したときの最低点を超えること
・志望する系の学院外からの志望者内での順位が、学院外受入上限人数以内であること
があります。(詳しくは、学修案内を参照してください。)
東工大生同士の競争を大きく上回って勝たないと実現できない転院には、相応の成績が必要ということは想像に難くありません。
また、2024年の系所属からは情報理工学院に加えて、工学院の学院外受入上限人数が若干名となっており、さらに転院難易度が上がりました。
おそらく、去年同様に有志の系所属点調査noteが作成されると思うので、具体的な点数はそれを参考にしてみるのも良いと思います。


前期(1Q,2Q)

早速前期から振り返っていきます。
憧れの東工大ということもあり、勉強もサークルもしっかりやろうと気合いが入っていました。片道2時間でも1限に余裕で間に合うくらいには生気に満ちていました。僕は転院勢にしては珍しく、前期では全く転院する意思がなく、物質理工学院の材料系進もうと考えていました。ただし、勉強をちゃんとやりたいと思っていたので、GPA3.0以上で履修単位数上限の開放と、あわよくば早期卒業して学費を浮かせようなどと良い成績をとるモチベーションはありました。その結果、前期成績は以下のようになりました。(赤字は必修科目)

1Q成績

2Q成績

ここからは100%主観のコメントをしていきます。
この成績は材料系を狙うには十分で、早期卒業には引き続き頑張る必要があり、システム制御系に転院するにはかなり厳しいと評価しました。

少し解説すると、材料系の系所属ボーダーは約2600点と言われていて、系所属に使う上位科目のGPAが3.0(平均85点)あれば2635に到達するので、十分に得点できていると考えられます。

早期卒業については、GPT3.5が条件の1つになっています。GPTは沢山単位をとれば上がるので、このところでは前期GPA3.0以上を取って単位数の上限解放していれば、何とかできそうです。

この時期での自分が考えていたことは上の2点で、今の自分が工学院転院志望勢として評価すると、次のようになります。

まず、満遍なく点数を取っているのが系所属では弱いです。系所属に使う単位数は31で、1年生の履修上限48(52)単位の中で点数が高い科目から取り上げるという仕組み上、基本的には、点数の偏りがある場合の同じGPA(3.41)の方が強いです。
加えて、必修科目を甘く見すぎています。1年生の点数が付く必修科目は21単位で、最低でも17単位はその中から選ばれなければいけない、つまり必修科目は4単位までしか無視できないということを気にするべきでした。
(必修の数学、物理、化学、英語はそれぞれ4単位あるので、○○弱の人は漏れなく苦しい戦いになります。東工大は偏った学生に優しいのか、厳しいのかはっきりしろ!

必修科目は1Qで6単位、2Qで7単位、3Qで4単位、4Qで4単位となっていて、前期に集中しています。(このときは知らなかった…)
後になるにつれて、カバーは難しくなるので、前期のうちに必修科目で好成績を取りたかったですね。単位数の上限解放をしても、増えるのは選択科目なので、大まかに前期は必修、後期は選択ぐらいの意識でも良かったと思います。※かなりの主観
厳しい状況ではありますが、前期での稼ぎどころ(生命科学基礎、文系教養、物理学実験、情報リテラシ)は抑えられているのが良いと思います。欲を言えば、数学は2単位ずつあるので、90点台を取っておきたかったです。
というのは、システム制御系転院には2950点以上(平均95.16…)欲しいからです。選択科目で誤魔化しが効く現実的なラインの平均93~94点が必修科目の点数の目安になると思います。

前期はやる気のある生徒が多く、得点分布の決まっている必修科目で高得点を狙うのは難しいですが、転院志望の人達はやれるだけ頑張って下さい。この経験が後期の授業での理解に役立つ機会はちゃんとあるので。

後期(3Q,4Q)

久しぶりの長い夏休みが終わり、そのなかでの経験や、研究室紹介での印象から、システム制御系に所属したいなという気持ちが少しずつ湧いてきました。前期成績から見ても、かなり厳しい状況であることは分かっていましたが、材料系はほぼ確定で行けるので、挑戦し得だと考えて転院を決意しました。後期から仕事を入れて、サークルも忙しくなっていったので、思うように立ち回れず成績確保に苦労しました。(体調・睡眠管理を怠った結果、コロナと帯状疱疹を発症したので、轍を踏むことがないように気を付けてください。)
悪戦苦闘の後期成績は以下のようになりました。

3Q成績

4Q成績

先程と同様に1000%主観のコメントをしていきたいと思います。
この成績は、材料系ボーダー超え確定、1年間のGPA3.67により早期卒業に漸近、去年のシス制転院ボーダー超えというものになります。
文系教養の必修科目は加点要素に死に物狂いで食いついたので、相応な成績がつきましたね。先生さまさまです。
必修科目の高得点が文章で成績の決まる科目ばかりで、少し複雑な気持ちですが数理処理の秀でていない人にも、ある程度の希望があることが示せたと思います。
相変わらずテストで点数の決まる科目は苦手ですが、やれるだけの対策はしました。1年を通して、過去問のある必修科目がほとんどなく、教授ガチャはその面でもあると言い訳させてもらいます。 
選択科目の成績はかなり頑張っています。提出物は加点要素を全てこなして、レポート課題は他の人と比べて量を多く、整った文章になるように意識していました。レポート科目の点数がちゃんと高いので、作戦勝ちでした。
その年によって、系所属ボーダーは変わりますが、今年のシステム制御系は大体2950点以上(平均95.16…)が必要だろうという予想の元で、当時の自分は立ち回りを考えていました。2950点というハードな壁、3Qの暫定系所属点は2846点だったので、ほぼ不可能な目標なのは分かっていましたが、全力を尽くすことを意識して良かったです。
この時期は ♰転院勢としての自覚♰ があったので、多少の身体への負担は無視して、できるだけ高得点になるように取り組んでいます。同時に、前期必修の低さに苦労していました。自分のようにならないで欲しいです。

後期は選択と言ったように、興味のある選択科目を沢山とることができて、上限解放のありがたみを実感しました。選択の数学、情報は面白い上に、点数が稼ぎやすくて良いですね。
提出物に追われ続けて苦しい時期ではありましたが、少なくとも、興味が無いのに今後の試験を想定して打算的に取った前期TOEIC、TOEFL対策より充実した時間だったと思います。一生懸命に取り組んで良かった、身になったと思える科目が多かった印象です。
さて、全ての単位の点数が揃いましたね。系所属点を計算してみます…

系所属点と結果

系所属点

2024/3/1に公開された4Qの結果より、系所属に使う成績は以下の通りです。

正直2900すら届かないと思っていたので、よく頑張ったと思います。
去年なら転院可能な成績ですが、システム制御系(工学院)の受け入れ人数が若干名になった影響はどうなるのでしょうか?

配属結果

系所属が3/26に公開されました。僕の所属する系は…


材料系でした。

不思議と悔しさよりも、自分より凄い人達の存在を実感できた満足のいく感覚があります。非常に大変だったので、この努力に恥じぬよう励んでいきます。

おまけ:転院志望の人へ

ここからは、これからの系所属で転院を成功させたい人に向けて、伝えたいことを書き連ねていくコーナーです。
近年の系所属点のインフレに従って、好成績を手に入れるためには情報収集が欠かせないですよね。僕の場合、ネットで探して参考にできる物がほとんど無かったので、こうしてちょっとした記録を残す次第です。

情報収集とその取捨選択

この記事まで辿り着くほど、進路のために情報収集できる皆さんに言うまでもないですが、系所属バトルでは情報がアドバンテージになり得ます。
改めて情報収集について考えてみて下さい。系所属に関する情報はどのような物がありますか?
恐らくは、『〇〇学は楽単』、『〇〇先生は点数が来る』、『〇〇は地雷』、『〇〇系のボーダーは〇〇』、『系所属は必修で決まる』といったものが大半なのではないのでしょうか?
本当に鵜呑みにして大丈夫ですかね。
先輩達が善意で残した情報は、どこまで自分の想像とマッチしているのかを整理した方が良いんじゃないですか。というか、情報収集が活きるのは選択授業なのに、必修を頑張れとか苦しいですよね。

具体的に問題点を挙げると
根拠が明確でない点 (当人の経験、アンケート調査の正確性)
基準が不明瞭な点 (単位取得するのが楽、その人にとっての高得点の90点付近を取るのが楽、しっかり取り組めば100点付近を確実に貰えるので楽など、発信元の意図を汲む必要がある。)
自分の年で授業形式が見直されるかもしれない点 (履修人数によっても点数の付き方が変わったりします。僕の年では、心理学Aと宇宙地球科学Bは履修人数増加に伴って、高得点を取りづらくなりました。)
以上の3点がありますね。

実は転院志望の人達の失敗談から、これら問題点をピックアップしています。
また、発信元の人達にとっての当たり前 『提出物のクオリティ』、『数理処理能力』、『良い成績の基準』等、直接言及されていないだけで、自分と同じではないところ沢山ありますよね。
そこで情報の取捨選択をして欲しいんです。
簡単に言いましたが、取捨選択は難しいですよね。僕は絶対的な方法がないと思っているので、これからの内容も参考程度で小耳に挟んで下さい。

僕の信用の判断基準としては、同じ情報がどれくらい多くの人達から発信されているかです。
多いだけ、自分のレベルがその中の誰かと同じくらいである確率も上がるからです。
(全然革新的でなくてスミマセン…)
この理屈で言うと、情報収集に躍起になって、ほとんどの人が知らない情報を手に入れても、その信用は低いということになります。
僕は1年を通して、授業の成績を決めるのは、授業の決め方ではなく、自分の取り組み具合なことがほとんどだと感じました。
僕から言えることは、自分の選択を信じて、しっかり授業を受けるということだけです。

授業選択に関して、僕の思う理想の授業決定の流れとしては
興味→評判→時間割、他科目とのバランスを考慮して決定です。
例外として、高得点の評判があまりにも多い科目はとっておくべきだと思います。
転院志望の情報収集の目的は確実に高得点を取ることですからね。
転院後の景色ばかり意識してしまいがちですが、今の自分とも向き合って欲しいです。僕は、せっかくの大学1年生を系所属に縛られて生きるのは、もったいないと思ってしまう人間なのと、前期から後期で、選択授業の取り方を成績優先から興味優先にしたことで成功した体験があるので、こんな意見を持っています。
1年生は時間にゆとりがあるので、バイト・学内の友達と遊ぶ機会が沢山あります。成績に必死になりすぎないようにした方が楽しめると思います。

オススメの選択授業

先程の長い前置きを踏まえて、読み進めて欲しいです。あくまでも、僕の意見であることに注意して下さい。
僕の取った科目からピックアップします。

物理学実験第二 ( 1Q 96点 )
オススメの理由:提出物をしっかりやれば95点以上を取りやすく、指定通りに提出物を期限内に出せば90点以上がほとんど(僕の周り)だから。
注意点:実験科目なので、授業前に実験計画書の提出が必要。当然毎回(隔週)出席する前提で、期末レポートがある。

物理学演習第一、第二 ( 1~2Q 85点, 3~4Q 100点)
オススメの理由:事前に出された課題を登壇して発表した回数に応じて成績が決まるので、高得点を確実に貰える。
注意点:登壇の争奪戦に負けると成績が振るわない点(1敗)、先生によっては難しい問題が多いことがある点。当然毎回(隔週)出席する前提で、レポートが複数回あった。

コンピュータサイエンス第一、第二 ( 3Q 100点, 4Q 93点)
オススメの理由:授業の評価がプログラムとレポートで時間の限り質を上げられる。オプション課題を毎回こなせば100点近くの点数が来るから。
注意点:プログラムの出来が成績に直結すること。小さめのレポートが全部で3,4回あったので、計画的に課題を進める必要があること。

線形代数第二 ( 3Q 100点 2単位)
オススメの理由:前期とは変わって、周りのやる気が下がってきて相対的に評価されやすくなるから。線形代数は後の授業でほとんど使うことが約束されているので、その理解を深めておきたいから。
注意点:2単位あるので失敗したくない点。時間割が圧迫される点。単位数上限を開放していないと取れない恐れがある。

微分積分学第二(4Q 98点 2単位)
オススメの理由と注意点は線形代数第二と同じ。

履修した文系教養の詳細

科学技術社会論・科学技術政策A(2Q 95点)
シラバスを見て、興味を持ったので履修しました。本当は意思決定論の方が希望順位は高かったのですがね。
授業の内容としては、科学とは何かを様々な視点から考えるものでした。授業での課題はなく、出席も取られていませんでした。
成績評価は最終書評レポートのみでした。振り返ってみると、かなり楽が出来そうな内容でしたね。
自分は授業中メモしながら聞いていたので、メモを活かし、書評もスラスラ書くことが出来ました。
科学とは何か、すなわち学問とは何かを理解していると、他の文系教養レポートに盛り込めたり、考えがまとまったりして便利でした。
授業中先生が、レポートは内容がちゃんとしたものならば評価するとおっしゃっていたので、レポートの自信のある人にオススメです。

心理学A(3Q 96点)
授業の内容としては、具体例を通して心理学が学問(科学的)であることの確認をしたり、人間の認知、記憶を心理学での実験から読み解いたりしました。
毎回の授業中に1,2回グループワークがあり、授業後はQRコードを読み取り200字以上の感想を書きます。期末テストでは授業内容を記述で答える問題が出ました。
加点課題ではオリジナルの錯視図の提出がありました。正直この加点に助けられた気がします。
内容の面白さに加えて、グループワークが多いので聞くだけの授業になりづらいのが良かったと思います。

哲学A(4Q 100点)
授業の内容としては、哲学とは何かを様々な著作物から抜粋し、考察していき、後半では〇〇で哲学するのように、前半の哲学の仕方を使って、議論を進めていきます。
出席は取られていませんが、中間・最終レポートともに、授業の内容の要約+αを求められるので、出席してメモを取るべきだと思います。内容も毎回の授業を通して面白さを感じられる気がします。
成績評価は、中間・最終レポートと授業での質問です。他の人の点数を見たところ、質問しているかどうかが重要なのかもしれないです。

これでこの記事は終わりです。

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