いちデザイナーがチームビルディングのために何ができるか?

本記事は、デザイナーから働きかける "チームビルディング" - InHouseDesigners #3 で発表した「いちデザイナーがチームビルディングのために何ができるか?」のスライド資料に補足説明を加えたものです。

当日の発表の様子は、レバレジーズ18新卒のほと米がグラレコでわかりやすくまとめてくれたので、よろしければチェックしてみてください。

本記事の構成は下記のようなイメージです。

- 発表概要
- 発表経緯
- 発表内容
    - チームビルディングとは 
    - 相互理解を深めるためにやったこと  
    - 弱音を吐く会  
    - ドラッカー風エクササイズ  
    - Retro  
    - Walking and Talking 
    - 相互理解を深める動きをとってみた結果
    - いちデザイナーが改めて思うこと
- 【お知らせ】InHouseDesignersについて

発表概要

teratail開発チームのデザイナーとしてこの2,3ヶ月くらい取り組んできたチーム作り、特にメンバーの相互理解にフォーカスを当てた取り組みをお話しました。

発表経緯

2016年に新卒でレバレジーズという会社に入社してから2年間、teratailというエンジニア向けQ&Aサービスのデザイナーをしてきました。

teratailチームはteratailの開発以外にも、「集まっtail」というユーザーミートアップや「MANABIYA」というエンジニアカンファレンスだったり、あとはエンジニア向けマーケティング支援として他の企業さんとタイアップ企画などを実施してきました。

上記のように、やることが多様化する中でメンバーや組織体制が変わり、そのたびにコミュニケーションがうまくいかないことがありました。そうしたことをきっかけに今年の4月頃から僕はチーム作りとかチームビルディングというところに目を向けるようになりました。

そして、5月下旬に今回のイベントテーマが "チームビルディング" に決まり、自分の考えや取り組みをまとめる良い機会だと思い発表に至りました。

発表内容

ここからは、当日のスライド資料を用いながら説明を補足していきます。

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チームビルディングとは

はじめに、チームビルディングとは下記状態をつくることだと僕なりに考えてみました。

- メンバーがチームとしての目的とゴールに向かって、
- 各々が自分の役割・責任を全うし、
- 周りの動きも気にかけながら助け合っていく

上記の状態をつくるためには、
例えばメンバーがチームとしての目的やゴールを見失ってしまった時などに軌道修正するために話し合ったり、どんなことに困っているのか相談に乗ったりすることが大切だと思っています。
つまりチームビルディングには常に対話が伴ってきます

そして、そうした対話をうまく進めるためには、相手がどういう価値観を持っているのかを理解していたり、相手の発言の真意や発言の裏に隠された状況を推察できることが求められます。
つまり対話をうまく進めるためには相互理解を深めていることが大切です。

これはデザイン思考におけるEmpathise(共感)と同じです。
共感を通して問題・原因を特定し、解決のためのアイデア出しからプロトタイプの作成を実施し、効果を検証する。
チームビルディングもこれの繰り返しだと考えられます。

そこでまずはチームメンバーがお互いに共感しあえるように、相互理解を深めるための取り組みを行いました。

相互理解を深めるためにやったこと

それぞれの取り組みの目的は下記の通りです。

- 弱音を吐く会
    - 目的: 相互の価値観や現状についての理解
- ドラッカー風チームビルディング
    - 目的: 相互に期待している成果の理解
- Retro
    - 目的: 相互に期待している行動の理解
- Walking and Talking
    - 目的: 相互の関係性を深める

ここからそれぞれについて詳しく説明します。

弱音を吐く会

弱音を吐く会は、個室を抑えて各メンバーと1:1で実施しました。相互の価値観や現状についての理解を目的として、自分の課題感の共有・相手の課題感と価値観の理解を深めます。

進め方として、最初に自分の不安や課題感を共有することからはじめることが大切です。心理学的にも自己開示から始めたほうが相手も心の内をさらけだしてくれるようになると言われています。

自己開示された相手は、「これだけ話してくれたんだから、こちらも何か話さなきゃ悪いな」と感じます(返報性の法則)。
その結果、相手も自分のプライベートを明かしてくれるようになり、今度は「自分はこんなに個人的なことを打ち明けているんだから、私はこの人を信頼しているんだ」という気持ちになっていくのです(認知的不協和)。

引用元: 相手から「信頼」と「情報」を得る自己開示の心理テクニック

また弱音を吐く会に限ったことではないですが、基本的に個室を抑えておいたほうが周りを気にせずに本音で語り合うことができます。

弱音を吐く会をやってよかったことの1つは、メンバーとの距離感が縮まったことです。

自分の弱さを見せることで、メンバーも自分に対して壁を作ることがなくなったように感じます。実際、それまでサシ飲みしたことないメンバーが翌週飲みに誘ってもっと話したいと言ってくれてとても嬉しかったです。

もう1つよかったのは、その後のチーム作りの動きが取りやすくなったことです。

弱音を吐く会によってチームを良くしていくことへの共通認識を得たので、これ以降に行ったドラッカー風チームビルディングとかRetroなどについてもメンバーが前向きに取り組んでくれました。

気をつけることは、自分の価値観を理解してもらうまで至らない可能性があるということです。

単純に時間が足りないというのもありますが、そもそも相手が自分に対して興味を持っていないとか、相互理解の重要性に気づいていないと自分に対しての質問があまり飛んできません。

自分の価値観を理解してもらうところまで行うためには、相互理解の重要性を説いて相手が納得した上で、複数回あるいは時間を伸ばして実施するとよいです。

ドラッカー風エクササイズ

ドラッカー風エクササイズは、相互に期待している成果の理解を深めることを目的としてメンバー全員を集めて実施します。

もともとはアジャイルサムライの著者であるJonathan Rasmussonさんが紹介しているチームビルディングの手法で、参加者は下記の質問に対する回答をポストイットに書き出します。

- 自分の得意なこと・強み
- 自分の仕事の仕方
- 自分の大切な価値観
- 自分がメンバーから期待されていると思う成果

ただこれらの質問だと、実際に周りが自分に期待している成果とのすり合わせができないので、成果に対する期待のすり合わせにフォーカスをおいた質問に変更しました。

仕事の仕方、大切な価値観をカットして、他のメンバーに期待する成果は何かという質問を追加しました。

これについては、ペパボさんの記事を参考にして実施しました。

ドラッカー風エクササイズをやってよかったのは、狙い通りのことつまり「期待される成果のすり合わせ」「各々の強み」の理解・再確認をできたことです。

またメンバーの強みを把握しておくことで、個々の強みを活かしてもらうような動きがとりやすくなりますし、そうした強みを活かした成果に対する期待とのギャップもあまり大きくならないのかなと思います。

ドラッカー風エクササイズを行うときは、3つのことに気をつけるといいです。

1つは、ファシリテーション。
自分でファシリテーションしながら、一緒に参加してその場で質問への回答を書き出すのは難しいので、事前に全ての回答を考えておくと良いです。
もしくは参加者以外でファシリテーションが上手な人がいれば、その人にお願いしてみると良いかもしれません。

2つめは、"チームメンバーは自分にどんな成果を期待していると思うか" という質問への回答が出てきづらいことが挙げられます。
最終的な回答を見ると、各々が貢献できていること・課題に感じていることのどちらかについてが多かったので、回答に困っているときは「今できていることとか課題ベースで考えてみるといいよー」と伝えてあげるとすっと出てくると思います。

3つめは、 "他のメンバーに期待する成果は何か" という質問に対して、成果ではなく行動や姿勢についての回答が出てきやすいことです。最終的にはその先にある成果まで落とし込めるように進めることが大切です。

Retro

RetroとはRetrospective(振り返り)の略です。
相互に期待している行動の理解を深めることを目的として週に1回、個室を抑えて各メンバーと1:1で10分~15分実施。お互いに下記4つの質問に回答します。

- 自分の素晴らしかったところ
 - 自分の改善すべきところ
 - 相手の素晴らしかったところ
 - 相手の改善すべきところ

"相手の改善すべきところ" の具体例としては、「口を開けてガムをかんだり、アメを舐めないでほしい」や「席をたったあとに椅子をしまってほしい」とかそのレベル感で問題ないです。

また、シリアスな "改善すべきところ" を伝えるための緩衝材として素晴らしいところをなるべくだすように気をつけています。
"相手の素晴らしかったところ" と "相手の改善すべきところ" の比率は1:2か1:3くらいを意識しています。

よかったことは2つあって、1つは自身の行動を振り返ってアップデートしていけることです。

もちろん、期待される成果のための行動を振り返ることもできるのですが、うちのチームの場合、さっき言ったような「口を開けてガムをかんだり、アメを舐めないでほしい」や「席をたったあとに椅子をしまってほしい」といった、人の無意識の癖みたいなものについて指摘できる機会は少ないので、あえてそうした場を設けるのはかなりよかったです。

2つめは、メンバーへの興味・関心が自然と高まることです。週に1度こうした行動に対する振り返りの機会を設けることで、日頃から相手の行動や考え方に対して自然と目がいくようになります。

ちなみにRetroは、「いちばんやさしいグロースハックの教本」の著者で有名な梶谷さんのnote記事を参考にさせていただきました。

Walking and Talking

Walking and Talkingは文字通り、移動中も話しかけるくらいコミュニケーションをとっていこうというものです。

これは僕が意識しながらやっていてチームメンバーに特にお願いとかしていないです。それこそ「この前インスタのストーリーズにあげてたフォアグラ丼美味しそうだったね」とかそんなどうでもいい話をしています。

そうやって密にコミュニケーションを取ることで相手の知らない側面が見えてきてより距離感が近まるので、こうした意識はとても大切です。

相互理解を深める動きをとってみた結果

僕自身、相手に対する理解を深めていくことで自分にとっての正解が周囲にとっての正解にならないということを再確認し、お互いの考えや意見に耳を傾けたりそこに共感する姿勢が以前よりも強くなりました。
そして、僕だけでなくメンバーの中でもそうした姿勢が取られていると感じる場面が多いです。

いちデザイナーが改めて思うこと

チームビルディングというと、マネージャーやリーダー的な立場の人がやるものだと思う人が多いかもしれないです。僕はそう思っていました。笑

ただ、今思うのはわりと役職や責任は関係なくて、そこに課題があるならその課題を感じた人が行動を起こしたほうがいいと思っています。
それは、行動を起こすことでさらに自分の責任範囲を広げることができて結果的に自分自身としてのレベルアップに繋がるからです。

Team Geekという本の一節にも、こんな一文があります。

先を見越した行動や責任を自ら求める振る舞いによって、マネージャーの作業を軽減することができるし、今のレベル以上の仕事が可能なことも提示できる

引用元: Team Geek

デザイナーという職種は全体を俯瞰して物事を捉えるタイプの人が多いと思います。特に、インハウスデザイナーなら事業成長という部分に対してコミットすることが求められてくることが多いでしょう。事業を成長させるために、よいアウトプットを生み出すために、チームビルディングについて課題を感じたときは、ぜひ行動を起こしてみると良いと思います。💪

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【お知らせ】 InHouseDesignersについて

今回のイベントを実施したInHouseDesignersは、
事業会社で働くデザイナーを中心としたコミュニティです。

事業会社で働くデザイナー同士の繋がりを強め、それぞれが持つナレッジやノウハウを共有し合いながら業界を盛り上げていきます。

現在は制作会社などで働いているけど、事業会社でデザインをしていくことに興味のある方々のご参加もどしどしお待ちしています!

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Kanjiro Fujimoto

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