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チャミスルでまた始まったあの日。後編


出会ってから1年後_

いよいよYくんと会う日がきた。

池袋駅で合流し、焼肉屋に行った。
「笑った顔がかわいいね」
そう言ってくれた事を覚えている。

2回目は、車で迎えに来てくれて
楽しそうに熱唱してるのを横で聴いていた。
次はハンバーグを食べに行った。
Yくんはプチトマトが嫌いだったので
私の口に運ぼうとしたらコップの中に落ちた。
声を出してふたりで笑った。

私は大事なことは忘れるのに
どうでもいい、些細なことばかり覚えている。

その後、ホテルに向かった。
前回は拒んだ。2回目もそのつもりだった。
朝方、寝惚けて理性がなくなったYくんに襲われ
受け入れてしまった。やっぱり記憶はない。


今なら楽しめることが当時は出来なかった。
要は、沼りやすい女だった。

結局Yくんも身体が目的なのか
わたしは勝手に傷ついていた。

自分の気持ちを伝える勇気も
相手の気持ちを聞く度胸もなかった...



その頃は、私生活も仕事もだめだめで
その出来事が追い打ちをかけた。

「もう会えない...ごめん...」

泣きながら電話した気がする。
そう一言だけ言い残し電話を切った。
理由も言わず、わたしはYくんから離れた。
.
.
.



そして4年後_

「ごめん、本当はあなたの事知ってるの」

「え、どういうこと?俺の事知ってる?」

いきなりこんな事言われたら誰だって怖い。
自分はわからないのに、相手は自分のことを知っていると言うのだ。彼は自分の思い出せる限りの記憶を辿っただろう。

一方的に別れを告げたので
どう思われているかわからなかった。 
誰か分かったらブロックされるかもしれない。
当時の頃のように、少し臆病になっていた私。

「まいか!あの時、なんで消えちゃったんだろうて、気になってた人だよ」

そんな心配はすぐ消え、
正体を明かした後もやりとりは続いた。

「居なくなってからずっともやもやしてた。
自分が何か傷つける事をしたんじゃないかって」

空白の期間を経て、Yくんの気持ちを聞けた。
わたしもなぜ、突然消えたのか理由を話した。



4年という月日は
お互い成長するには十分だった。


"こんなことあるんだね!!"


"何かの縁としか思えない"


その言葉を繰り返した。



「明るくなったね!」

数年ぶりに会ったYくんに言われた。

不思議なもので会うと色んな記憶が蘇ってきた。
それぞれが覚えていたこともあった。

会っていなかった時間を埋めるように
たくさんの話をした。ただただ楽しかった。
Yくんは現在の男関係についても聞いてきた。
最初は濁すのだが、結局全て話してしまうのが
私達のお決まりパターンだった。


ご飯を食べに行って帰りの車中
この後どうする?という空気が漂う

もちろん帰りたくなんてなかった。
けど、ただ一緒にいたいなんてつまらない...

私はある提案をした。

「じゃあさ、賭けようよ!」

私は続ける。
「今から入ったコンビニに、チャミスルマスカットがあったら帰らない、なかったら帰る」

「えええ、なにそれ!
めっちゃドキドキするじゃん!!」

と驚きつつも「わかった」と、返答がきた。

今でこそ当然のようにコンビニに並んでいるが
当時は、まだそこまで普及していなかった。



ドキドキして2人で車を下りる。

こんなに気持ちが昂ってコンビニに行く
ことはこの先もうないだろう...




「「あった!!!」」



2人の再会を後押しするように
チャミスルがそこには並んでいた...


お酒を飲むと記憶が飛ぶわけではないけど
数日経つとほとんど忘れてしまう体質の私
寂しさを埋めるように男に抱かれて
病んで、好きになっていた過去の私
自己防衛でそういう体質に
なったのではないかと思うこともある。



Yくんはどんなセックスをするのか忘れていた...


身体で思い出すことになった。

そう、とても性癖に刺さる男だった。


会うといつもチャミスルを楽しんだ後に
セックスも楽しんだ。


お酒を飲んでも元気な男
わたしの全てを知る男
過去も、現在も、身体が悦ぶ所も
これ以上の存在はもういないだろう。




「まいとは会う時間作るよ!」


そう言ってくれて嬉しかった。
けど、Yくんの仕事が忙しくなって
だんだん思うように会えなくなった...



寂しい気持ちはあるけど、ずっと応援してる。


みんなのYくんになっちゃったね。



皆さんも画面の中で見る日が来るでしょう。





チャミスルを見たら
私のことを思い出してくれるかなぁ

〜完〜


あとがき
もしYくんと出会っていなければ、
私は今、存在していなかったかもしれない。
辛い時に支えてくれた人の存在て特別なんですよね、感謝しても、し切れません。
当時は自分の事に精一杯で周りを気遣う余裕が全くなかった。再会してからは、Yくんの心の拠り所に慣れてたようで嬉しかった。第三者から見ればただのセフレだけどそんな簡単な言葉では表せない人との物語でした。

鍵垢から始まり、今は1000人以上のフォロワーがいる裏垢女子"まいちゃみ"としてここにいる。
そんな未来、誰が想像できただろう。
こんなおふさげ人間にも辛い日々がありました。
いつか笑って話せる時が来ます。この話は、辛い人生経験の一部ですが、今の私になる為には通らなければいけない道だったと今ならそう思えます。

愛される権利は誰にでも平等にあります。
どんな境遇や過去があろうと幸せになっちゃいけない人はいません。まずは、自分のことを大切にしてあげて下さい。離れる勇気も必要です。少しずつでも、自分を好きになる努力をして下さい。
自分次第で未来は変えられます、今から。
たった1人でも心の救いになれたら嬉しいです。
そんな思いで、この話を書きました。


長々とお読みいただきありがとうございました。

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