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マイノリティへの向き合い方を知る。見方が変われば、人に優しくなれる

皆さんは、「マイノリティ」と聞いて何を思い浮かべるでしょうか。身体的な障がいを持っている方や、ジェンダーに悩む方など、さまざまな方が思いつくかと思います。しかし、世の中には私たちが知らない症状に苦しんでいる方、ちょっと困りごとを抱えている方も多く存在します。

このメディアではそんなマイノリティーにスポットライトを当てて、日常のちょっとした困りごと・悩みごとをインタビュー形式で紹介できたらと思います。「優しさとは知ることから」そんな想いのもと、今回は第二弾として望月麻里子さんにインタビューしました。

目次



どんなマイノリティーを持っていますか?

いろんなマイノリティを持っていますよ。パニック障害や閉所恐怖症、閃輝暗点(せんきあんてん)という偏頭痛持ちの中でも少し特殊な症状とか。集団行動が苦手であることや、女性であることもマイノリティといえるかもしれないですね。

どんな時に困りますか?それぞれ教えてください

パニック障害

以前東京に住んでいた時に特に困っていました。
地下鉄や電車など窓が開かない乗り物が怖かったので、移動手段に困るんです。
駅に行くのですら、「調子が悪くなりそうだな、どうしよう」と不安があり、少しお腹が痛いだけでも「もうだめかも」……といったように、不安が不安を呼ぶ感じで。

ーなるほど。電車に乗るのが怖い、というのは聞いたことがあるんですが、駅に行くのも一苦労なんですね。

そうなんです。頑張ってやっと駅に着いても、なかなか電車に乗れなかったり、乗れたとしても動悸が激しくて過呼吸になったり。

電車内で立っているとしんどいので座りたいという思いがあるんですが、電車に乗る前から「座れるかな……」という不安があるのも多分よくないんですよね。

ー最近もその不安はありますか?電車に乗る機会はあるんでしょうか。

普段は電車に乗りませんね。今住んでいる場所は、東京に住んでいた頃よりは電車内が混んでいないので、空いていたら乗ることはできます。
特に、私鉄は一駅の間隔が狭くてすぐに扉が開くと分かっているので乗ることはできますが……あ、花火大会がある時なんかは乗れる気がしないです。

ー電車の密閉空間が苦手、ということに加えて人混みも大変なんですね。

そうです、元々人混みが苦手なんです。家族も人混みが好きじゃないという人たちだったので、小さい頃は人混みに行く機会がなくて自覚がありませんでしたが……。

あとは、そうそう。過呼吸は小学生くらいからありました。

ー過呼吸はどういうタイミングでなることが多いんでしょうか?

私の感覚としては、ふと「呼吸ってどうやってするんだっけ」と考え始めてしまうとそっちに意識が持って行かれて気づいたら苦しくなってしまうんですよね。

ーどうすれば落ち着くことができるんですか?

正しい治療法としては、「なぜそう不安に思うのか?」を追求するのが良いらしいんですが、私はそれを実践すると悪化するので深く考えず気を紛らわせるようにしてます。

閉所恐怖症

ー閉所恐怖症、というのは先ほどのパニック障害とも関係があるんでしょうか?密閉空間が苦手なんですよね。

関係してると思います。
MRIとか、エレベーターとか苦手ですね。以前MRIに入った時は本当に怖くて……ただ、怖くて中断してしまったとしても、どうせまた検査のためには入らないといけないので頑張って耐えました。

エレベーターは、前の職場が比較的高層階にあったのですが、あまり使いませんでしたね。知らない人と狭い空間にいるのが怖くて。そもそも待つのが好きじゃないというのもありますが(笑)

ひどくなると、新幹線も乗れなくなります。飛行機は……過去には乗ったことありますが、今は乗れる気がしないですね。

実は今の職場も窓が小さめかつ少なくて、外に出れる場所が限られているので「あの窓からは出れないんだよな……」と考え始めると怖くなるので、考えるのをやめています。

閃輝暗点(偏頭痛の予兆)

ー偏頭痛はよく聞く症状ですが、閃輝暗点というのは初めてききました

そうですね、珍しいと思います!偏頭痛が起こる前に視野がかけていくという前兆がある症状なんです。「閃輝暗点 見え方」と検索してもらえればどんな見え方なのか画像が出てくると思います。

気づいたら視界に小さな点が現れて、次第に大きくなっていって見えない範囲が広くなっていき……、見えない部分がなくなって元に戻った!と思ったら偏頭痛がくるっていう感じですね。小学生くらいからこの症状があります。

ー急に見えなくなってしまうこともあるんですよね。どんな場面で困ることが多いですか?

自分でもいつ症状が出るか分からないので、仕事中になることももちろんあります。一度症状がで始めると30分〜1時間くらい視界がキラキラしている状態になるので、一旦お仕事を休ませていただくこともあります。

症状を抑える薬が高いのも困りもので、市販の鎮痛剤で代用しています。
あとは、まだ経験したことはありませんがもし車を運転している時に症状が出てしまったらどうしようという不安はありますね。

女性であること

ー女性であること、というのはどういった時に困りごとを感じますか?

今はそんなことないのかもしれませんが、私が社会人になったばかりの頃は下に見られがちでした。一度「掃除は女の仕事だろ」と言われたことがあって、ちょっと根に持っています。

男性か女性か、というのがそれほど関係ない場面で「女性」を理由になにかを言われるのが苦手ですね。「あなたはこの仕事苦手だからダメ」と言われたら納得するんですが、「あなたは女性だからこの仕事はダメ」と言われるのは嫌です。

逆にマイノリティーだからこそ、得れたことや見える世界はありますか?

みんなそれぞれ目には見えないけど大変なものを抱えているんだろうな、と考えられるようになったことですかね。

私はきっと、今持っているマイノリティがなかったらすごい嫌なヤツだったと思います(笑)
いろんな人に対して、「そういうこともあるよね」と思える人間になれたので嫌なヤツの部分を減らせているのかなあと。

ー自分が大変な思いをしてきたからこそ、相手に寛容になれるというか、理解できるようになったんですね。今までお話を聞いてきて、望月さんはマイノリティだと感じている部分が複数あるかと思いますが、一つ一つ自分なりに対処法を見つけて向き合っていますよね。

そうなったのは本当に最近で、ここ2, 3年くらいだと思います!
母が急に病気で亡くなったことがきっかけで、ある日突然こんなことになる可能性があるなら楽しく時間を使わないともったいないな、と思ったんです。

マイノリティな部分については、ある意味諦めたという感じでしょうか。「普通じゃなきゃ」って頑張るのを諦めて、「私はこうなんだから、うまくいかなくても仕方ない」と思えるようになりました。

マイナスな意味の「仕方ない」ではなく、「仕方ない、じゃあどうしようかな」みたいな、その状況の中で考えようというスタンスに切り替わりましたね。

おわりに

いかがでしたでしょうか。
「優しさとは知ることから」。
こんな困りごとを持っている方もいるんだ、ということを知って、色々な状況・立場の人を理解できる人が増えてくれると嬉しいです。

ぜひ、ほかの方のマイノリティーな部分にも触れてみてください。

前回(第一弾)のインタビューはこちら

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