マガジンのカバー画像

好きなもの、好きなこと

9
映画・本・コーヒーなど、好きなものについて綴ったエッセイ
運営しているクリエイター

記事一覧

企画展「マティス 自由なフォルム」を国立新美術館で

先日、夫を誘って国立新美術館で開催されている企画展「マティス 自由なフォルム」を見に行ってきました。昨年たまたま、マティスを取り上げたNHKの番組を観て、行けるところで展覧会があったら絶対行こうと決めていたのです。平日限定ペアチケットを前売りで購入していたので、通常2200円が1900円🙌国立新美術館も見たかったので一石二鳥。 「色がビビッドできれい」「明るくて現代的」そんなイメージのマティス。でも、初期のものは、そうでないものも多く、「色彩の魔術師」と呼ばれるまでには、や

推しからの返信で生き返った話

映画好きで、インスタにレビューをあげたりもしているエンタメ好きな私には、好きな役者さんがたくさんいる。演技や顔、雰囲気が好きだと思ったら私はインタビュー記事やYouTubeなどを漁りまくる。すると「素敵だな…」と、ほとんどの場合、満足してして落ち着いてしまうのだけど、これからもずっと見続けていこうと決めている「推し」の俳優さんが数人だけいる。 今、私が最も推しているのが、俳優の田村健太郎さん。昨年のマイベスト映画「ほつれる」の絶妙な嫌さ加減の演技ですっかりハマってしまった。

ドキュメンタリー映画「14歳の栞」を見て

息子がこの春、中学2年生になった。14歳になる年である。半分子供だけど半分は大人で、少しは思慮深くなり、でも間違いやすくて、傷つきやすくて危なっかしい難しい年ごろに突入していくのだろう。同級生のなかには、既にそういう時期が訪れているように見える子もいる。 「14歳の栞」は、とある学校の2年6組の3学期に密着し、35人全員のインタビューとともにまとめたドキュメンタリー映画。2021年3月に初上映されて以降、毎年春に限定で再上映されていて気になっていた。息子がこの春で中学2年生

念願のサンライズエクスプレス出雲に乗ってきた!

電車好きの中1息子が、ずっと乗りたがっていた寝台列車・サンライズエクスプレス。定期運行しているのは、今やサンライズ瀬戸・出雲だけらしく、それらもいつまであるか分からないから、あるうちに絶対に乗りたい!と。 定期運行している寝台列車って、サンライズだけなんだ。へぇー。そのうち、終わるなら私も乗ってみたい!ということで、母の出番。 予約はいつから? → 乗車日1ヵ月前の10:00から  どうやって? → ネット予約or駅の窓口or旅行会社にツアーを頼むか 私は最近、先着のチケッ

折にふれて見返す私の大好きなCM

ふとした時に思い出しては、何度も見返している大好きなCMがある。調べたら10年前に放映されていたリクルートポイントのもの。かれこれ9年近く推している私の大好きな俳優の池松壮亮氏が素晴らしいのは言うまでもないのだけれど、何よりCMの流れと込められたメッセージが秀逸なのである。 息子に伝えたいことが2分間にみっちり詰まっている。息子に伝えたいと同時に、毎回毎回、自分にも言い聞かせている。池松君のナレーションもこれ以上なくマッチしていて、相乗効果が凄まじい。 とりあえず、2分間、

祖父から受け継いだ“映画好き”の遺伝子

私が生まれた時、唯一生きていたのが父方の祖母。明治生まれの働き者で、「やることもきっちりやるけれど、言うこともちゃんと言う」というタイプの人で、ちょっと怖かった。いや、本当は私は怖くなかったけれど、周りの人が祖母のことを「怖いばあさん」だと思っていたのは、子どもながらに私も感じていた。 そのおばあちゃんも私が8歳の時に心不全で亡くなったのだけど、亡くなった後、父方の親族が集まる時によく話題に上る話が、私は好きだった。 祖母は、子どもを9人!産み、育てながら、片道3キロほど

【20年来の愛読書】『海馬 脳は疲れない』には、おもしろく生きるヒントがいっぱい

私が、人生で1番何度も読み返している本は、『海馬 脳は疲れない』。ほぼ日刊イトイ新聞の主宰・糸井重里氏と、東京大学・薬学部助手(現在は教授)であった脳科学者・池谷裕二氏の、脳についての対談をまとめた本だ。 この本を読むと、2人の対談をその場で聞いているような錯覚に陥る。そして、人類や自分や子供たちの可能性にウキウキワクワクしてくる。2002年の本なので、脳の本としては、もしかしたら情報が古いのかもしれない。でも、私は何度も驚かされ、優しく喝を入れられる。その上で、そっと背中

映画の「つまらない」について考える

先日、映画の終わりに聞こえよがしに「つまらない」と言った人がいて、私は憤った。 とりあえず、その出来事についてnoteに書くことで、一定の溜飲は下がったのだけど、「つまらない」という言葉が、頭から離れない。(全然溜飲下がってない)…ということで、この際、ちょっと深堀りてみることにした。それにしても、ちょっと/深堀りって、結局一体どっち?と、自分に突っ込みを入れつつ…。 1.『つまらない』=分からない 最初に思い浮かんだのが、つまらないんじゃなくて、分からなかったんじゃな

映画『ほつれる』がAmazon Primeにあるので、魅力について語ってみる

昨年、私が観た映画52本を振り返ってみて、ダントツに印象に残っているのは加藤拓也監督の『ほつれる』。観ている最中、登場人物全員にドン引きしまくって、あまりに引きすぎて、映画を観ている間中、暗闇で薄ら笑うか、眉間にしわを寄せているかのどちらかだった。84分間の上映時間中、60分くらいは思い通りにならない自分の表情筋と闘っていた。 それなのに、どうしようもなく魅力的で、忘れられなくて、癖になってしまっている。なぜだ。 分からないけれど、もしかしたら、私と同じ感覚を味わいたい奇特な