大昔に滅亡したとある文明

 大昔に滅亡したとある文明に、思いをはせる。

 大昔、どこかでとある文明が栄えていた。しかしある時、その文明は跡形もなく滅んでしまった。原因は不明。
 今では、そこで暮らしていた人たちはもちろん、文化も遺跡も資料も、全部消えてしまい、もう何も残っていない。
 だから、わからないことの方が多い。わからないことは推測か想像で補うしかない。でも、あくまでも推測だし、正確な証拠があるわけでもないから、絶対に正しいわけでもない。

 でも、一つだけ言えることがある。
 大昔、その文明が確かにあったことだ。

 そこで暮らしていた人たちが、どんな人たちで、どんな生活をしていたのかはわからない。
 でも、きっと彼らも、現代の私たちと変わらないところを持っていたのではないか、と私は思う。

 かつて文明があった場所へ今行っても、もうその文明のものは何もない。まさかそこから突然、人の笑い声や音楽が聞こえてくるなんてまずありえない。
 でも、確かにあの時、彼らは笑ったり泣いたり怒ったりしたんだよね。
 今は静かで何もないように見えるけど、あの時はたくさんの色が溢れるにぎやかな場所だったのかも知れない。
 それと彼らは、たくさん喧嘩したり、すごくびっくりしたり、好きな人ができれば恋をしたりしたんだろう。
 いつどこで何が起きて、なぜどうして、その結果どうなったのかは、まったく知らないけど。

 勉強に仕事、音楽にスポーツと、毎日忙しかったのかも知れない。もちろん楽しいことだけでなく、苦しいこともきっとあったはず。
 でも、彼らもきっと幸せを望んでいたはず。誰もが毎日、一生懸命生きていた。

 大昔の文明には、まだまだ謎が多い。
 でも、彼らもまた私たちと変わらない。それは同時に、私たちも彼らと同じ道を歩むかも知れないことも意味する。
 いつか必ず、消えてしまう日が来る。

 すなわちここで述べた大昔の文明は、現代の私たちの話かも知れない。
 今ここにいるあなたも、きっとその一人かも知れない。
 冗談はさておき、たまには正解のない謎について考えるのもいいね。

おわり

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