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外国での入国審査で気をつけること

先日、日本人の女性がハワイに旅行で訪れた際に入国を拒否されたという報道がありました。その女性は「自分は売春婦とみなされたため入国を拒否された」と話していますが、入国を拒否された理由は定かではありません。

入国審査で気を付けること

コロナ禍も終わり、国境を越えた人の移動も以前のように戻りつつあります。それと同時に、国籍を問わず、特に若い女性が一人で外国に入国する際の入国審査が以前にも増して厳しくなっていると国内外のメディアで報道されています。

今回は出張でよく海外に行く私が、普段入国審査の際に気を付けていることを共有します。皆さまもぜひ参考にしてください。

日本のパスポートを持っていると、多くの国に事前のビザ(査証)を取得することなしに観光やビジネス目的での短期滞在をすることができます。
日本人がビザなしで入国できる国や地域の数は189か国・地域で、長きにわたり世界最多でした。

※2023年7月に英国のコンサルティング会社(ヘンリー&パートナーズ社)が発表した最新の調査では1位はシンガポール国籍の192カ国・地域でした。(下表参照)

(ヘンリー&パートナーズ社のホームページより)

実際に日本のパスポートを持っていると、他の国籍の人と比べて容易にビザを取得できますし、入国審査も短時間で済みます。入国審査で並んでいると、とにかく時間がかかっている人達がたくさんいる一方で、私は5分もかからず入国が許可されることもあります。シンガポールに抜かれたとはいえ、日本のパスポートは非常に信頼性が高いと言えるでしょう。

まず大前提として皆さまに持っていただきたい認識は、「各国の入国審査の目的は自分の国を守ること」であり、「入国を許可するか拒否するかを決めるのはその国である」ということです。

仮に海外で入国を拒否されたとして日本政府に文句を言っても、日本政府としては何もできることはありません。

また、ビザ(査証)を取得していたり、米国の場合ではESTA(電子渡航認証)を取得していても、必ず以下のような記載があります。

「入国の最終判断は本国の入国審査官が行います」

今回アメリカのハワイ(ダニエル・K・イノウエ空港)で入国を拒否された女性はESTAを取得していたそうです。

一般人が海外で入国を拒否される場合、いくつか理由が考えられます。
・犯罪者やテロリストなど、その国の安全を脅かす人
・十分な滞在費用を持っておらず、その国を出国できなくなってしまう可能性のある人
・就労許可を持たないのに働こうとする人

偏見を持つことはいけないことですが、各国の入国審査官には「この地域から来た人はこの業種の不法就労が多い」という認識があり、「この地域から一人で来る女性は売春目的かもしれない」と警戒されている場合があります。

実際にその国で捕まった人の中に、一定の地域や国籍の人が多いのでしょう。そのような情報は国境を守る入国審査官に共有されています。

私がアメリカに入国する場合でも、一人で出張(2023年6月@サンフランシスコ)と家族での旅行(2022年10月@ホノルル)では入国審査の雰囲気は大きく異なりました。

一人で訪問したサンフランシスコでは、入国審査官から立て続けに滞在目的や日数、日本でどのような仕事をしているのかなどを聞かれました。
質問の数は10くらいでしたが、日本でしている仕事と今回の出張の関係性を深堀りされて聞かれました。一つ一つの質問に丁寧に回答し、無事に入国が許可されました。

家族で行ったハワイでは審査官は終始笑顔です。
私と妻、そして2歳の娘は抱っこをされて寝ています。
入国審査官には典型的な日本からの家族旅行と思われたのでしょう。
滞在先のホテルと日数、所持金を聞かれただけですぐに入国できました。

(入国審査のイメージ画像・Dailymail社のホームページより)

入国審査を受ける準備

それでは、事前にしておくべき準備を見ていきましょう。

1.紙に印刷したEチケット(航空券)

飛行機のEチケットは印刷して持っていきましょう。もし入国審査官に求められた場合は速やかに印刷したEチケットを提示します。
今は航空会社や旅行サービスのアプリでEチケットは表示できますが、うまくWi-Fiを繋げなかったり、電波を受信できなければ意味がありません。
そのため、紙に印刷をして持っていきましょう。

入国審査官に”How long will you stay?”(どれくらい滞在をするのか)と聞かれた場合は、”Five days”(5日間)と答えるだけでなく、”My flight back to Japan is next Monday”(私の日本に帰るフライトは次の月曜日です)と付け加えましょう。
わざわざ帰りの飛行機を伝えるのは、「私は滞在目的が終わればすぐに出国します」とアピールするためです。

(Eチケットのサンプル・ANAより)

2.紙に印刷をしたホテルの予約表

紙に印刷して持っていく理由は先ほどと同じです。“Where will you stay?”(どこに泊まるのか)と聞かれた際に、見せましょう。

ヒルトンホテルのように有名なホテルなら入国審査官も分かってくれますが、彼らも全てのホテルを把握しているわけではありません。
ホテル名を言っても反応が良くなければ、速やかに予約表を見せて、ホテル名と住所を指しましょう。
「泊る所はきちんと決まっています」とアピールすることは大切です。

3.所持金を英語で言えるようにする

持っている現金はよく聞かれる質問です。きちんと英語で答えられるようにしておきましょう。私はまだ出張になれていなかった時、1000ドル(約10万円)と答えるべきところを10万ドル(1000万円)と答えてしまい、危うく別室に連れていかれそうになりました。

数字を英語で言うのは普段から英語に接していても難しいです。
自分の所持金を英語で言えるようにしておきましょう。

1000ドル持っている場合は、“One thousand dollar and two credit cards”(1000ドルとクレジットカードを2枚持っています)と付け加えましょう。

今はキャッシュレス決済も広く普及していますし、現金をたくさん持っていなくても不審には思われませんが、クレジットカードを2枚以上持っていることをアピールします。
「滞在期間の支払いは問題ありません」ということを証明するためです。

なお、必ず通貨の単位は現地の通貨か米ドルで答えましょう。10万円(One hundred thousand Japanese yen)と言っても、相手にはそれが自分たちのお金でいくらなのか伝わらないことがあります。

4.滞在目的と自分の仕事を英語で言えるようにする

日本人はよく“Sightseeing”(観光)と答えますが、“Holiday”や“Vacation”の方が伝わりやすいです。“I want to enjoy shopping and beautiful beach”(買い物や綺麗なビーチを楽しみたい)と付け加えることができればいいですね。

仕事を伝える際にはサラリーマンはやめましょう。サラリーマンは和製英語なので、通じません。自動車の営業マンなら“I sell cars.”(私は車を売っています)でいいですし、もし大阪の食品会社で経理として働いているなら、“I work for a food company in Osaka”と答えましょう。

「経理は伝わっていないじゃないか」とご指摘を頂くかもしれませんが、100%正確に伝える必要はありません。自分の英語力でできる範囲でいいので、きちんと正確に伝えましょう。

英語やその国の言葉ができないことはきちんと回答できない理由になりません。むしろ簡単な質問も英語で答えられないのに滞在しても大丈夫だろうかと思われます。簡単な表現や単語を繋げた表現でもいいので、自分の滞在目的や仕事はきちんと言えるように準備をしましょう。

5.絶対に嘘はつかない

ウソをつくと、質問が続いた際に回答に整合性が出なくなります。そして、回答が嘘だと判明すると相手は不信感を抱きます。これは入国審査に限らずに日常生活でもそうだと思います。

本当に観光目的やビジネス目的で入国するのであれば、嘘をついて自分を不利にするようなことをせずに正直に堂々と回答しましょう。

最後に、審査官からの質問が続いても慌てないでください。きちんと回答していればいずれ質問は終わります。英語に自信がない人もたくさんいるかもしれませんが、流暢な英語を話す必要はありません。落ち着いて、知っている単語で回答をしましょう

落ち着くために、”Sorry, my English in not good.”(すみません。私は英語が上手くなくて)と言えば、入国審査官もゆっくり、分かりやすい英語で質問をしてくれるかもしれません。

あくまでも質問にきちんと回答をする姿勢を見せることが大切です。
ここで黙り込んでしまうと、「やましいことがあるので答えられないのだな」と判断されてしまうかもしれません。

もしうまく答えられなければ、印刷をしたEチケットや予約表、オプショナルツアーのアクティビティの参加証を出せばいいのです。入国審査で聞かれる質問はどこの国でもさほど違いはありません。だんだん慣れてきます。

皆さまの素敵な海外旅行にこの記事が少しでも役に立てば幸いです。

株式会社myコンサルティング
財務部長 馬場将行

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