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ずっと一緒にいたいって、いつから言えなくなったのか。

「なるべく、長く、一緒にいれたらいいね。」

今の自分の、限界の愛情表現だった。

ずっと一緒にいたいとか、ずっと好きとか、いつから自分や相手を信じれなくなって、言えない言葉になったんだろう。

27歳になった。
何人かと付き合って、お別れしてきた。

この人が運命の人だと思わなかったこと、一度もない。
あんまり好きじゃなかった人も1人もいない。

毎回が私の中では大恋愛で、ちゃんと大好きだった。
それなりに相手に尽くしてきたし、相手にも好かれてきた。
ずっと一緒にいたいと本気で思っていた。

だけど、1年付き合っても、3年付き合っても、4年付き合っても、永遠を誓うことはなくて、必ず別れる。

あんなに愛おしい目で私を見つめていたのに。
繋いだ手を何度も指で撫でてくれたのに。
こんなに冷めたい目をする人だなんて知らなかったし、別れたら酷い扱いを受けても仕方ないことも知らなかった。

別れて、新しい人と付き合う。
付き合いたての2、3ヶ月だけ続く、甘くて暖かい雰囲気。
この甘い言葉も、優しい笑顔もこの時期を過ぎれば消えるものなのに、その時期だけこれが永遠に続くものだと錯覚する。

大人になったら恋愛はいつか終わるものだと知っている。
ずっと一緒にいることもないし、ずっと好きだなんてことはない。
相手が自分のことを好きで仕方なくてたまらないのも、今だけだってわかってる。

いつのまにか現実的に30歳が近くなった。
長く付き合った彼氏と別れて、半年経って新しい彼氏ができた。
私は今まさに付き合いたての甘く暖かい空気の中で幸せに生きている。

今まで付き合ってきた人とは全然違うタイプ。
誠実で快楽主義でない。
とにかく現実を生きていて、自分のやるべきことを真っ当している。
決して偉ぶるわけでもなく、コツコツ努力する自分にちゃんと自信を持っている人だ。

彼は私に初めて告白してくれた。
付き合いたいと思ってるって言われたとき、私を見る目があまりにまっすぐで、眩しかった。

彼と付き合ってから、私は生活が明るい。
彼は私の話をなんでも覚えててくれるし、言ったことを絶対に守ってくれる。
そんな彼の私に対する誠実さに毎日心を打たれて、目を見て好きだと言われるたびに胸が苦しくなる。

手を繋いで彼の隣を歩くだけで、コーヒーを入れてダイニングテーブルでなんでもない話をするだけで、ご飯を一緒に食べるだけで、私の心があっというまに満たされる。

一緒にいる甘く暖かい時間の中で、何度もこれ以上ない幸せを噛み締めて、その気持ちをなんと言葉にすればいいかわからないときがくる。

好き、大好き、幸せ。

それ以上の感情を伝えるための最後の手段はたぶん「ずっと一緒にいたい」という2人の未来に希望を見ることだと思う。
その想いがいつか昂ったとき、覚悟が決まったとき、きっと永遠を約束するのだろう。

私がいつか誰かに、永遠を約束されることはあるのだろうか。
もう何度もしたはずの口約束は、毎度の如く破られた。
そのうちもう期待をすることが辛くなった。

彼の隣でくっついて眠る。

「なるべく、長く、一緒にいれたらいいね。」

こんなこと言ったら引かれるかもって思って、言葉に出したあと少し後悔した。

彼は笑った。

「どの期間のこと言ってるかわからないけど、そうだね。大丈夫だよ。」

大丈夫という言葉が彼らしかった。

彼が運命の人なのかはわからない。
だけど、彼の大丈夫をちょっとだけ信じて、これからも過ごしていこうと思う。

なるべく熱が早く冷めないように、ずっと暖かいままの2人でいられますように。

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