生で見て、聴く

iPodやウォークマンが復旧して音楽は持ち運びが出来るようになった。僕たちは電車に乗るとき、歩きながら、ご飯を食べながら…イヤフォンを耳に挿して毎日お気に入りの音楽を聴いている。勿論僕もその一人だ。ウォークマンを肌身離さず何処行くときにも音楽を手放すことがない。必ず僕の傍には音楽がある。

大学生になってから縁あってライブハウスに通うようになった。ことの始まりは小南泰葉という女性アーティストとの出会い。彼女の音楽に衝撃を受けてから、今までBGMとして扱っていた音楽が一気に僕の目の前に立ちはだかった。出会った瞬間お風呂に入っていたのだが正直鳥肌が立って「誰だ、この歌手は…!」こうなった。まさにアルキメデスがエウレカと叫んだ気持ちがその時わかった。

ライブハウスデビューは勿論彼女のライブからで、初めて見る本物の歌い手。感動のあまり泣きそうだった。拝むような気持で必死に首を、腕を見様見真似で振っていたと思う。そこから僕のライブ音楽への関心がスタートする。帰り際に無名のあるバンドから貰った宣伝用のCD。これが僕のインディーズ音楽への切符だった。ぶっきらぼうに「よかったら聞いてみてください」と渡された気がする。

でも、インディーズなんて「よかったら聴いてみて」の世界なんだと思う。自分の信じた、好きなバンドのCDじゃなかったら「聴いてみて」なんてメジャーCDばかり聴いている人には怖くて言えないから。このCDならそこに並べても良いと思ってもらえる気がしたからそう言えるのだ。そこには「どうだ!良いの見つけただろう」というちょっと恥ずかしい自慢みたいなものもきっと含まれている。

僕にとって「生でいちいち音楽を聴きに行く」意味は何なんだろう…?ライブハウスで聴く音楽はどんなに音質に拘ったイヤフォンやヘッドフォンにも敵わない。まあ、当たり前と言われればそうなのだけど…。そこではギターノイズだって一つの味になってしまう。ライブハウスで音楽を生で聴く時、そこには人がいる。ステージに立って演奏する人とそれを楽しそうに聴くお客さん。みんな楽しそうに幸せそうに音楽に集中している。目の前に立ちはだかる音楽に食いついている。そういうところが僕は好きだったりする。僕はたまに音楽を聴いていながらも、ちらちらと周りを見回すことがあって、音楽に身を任せて心地よさそうにしている人を見ると、自分まで幸せな気持ちになるから不思議だ。それとステージで生き生きと楽しそうに演奏するギタリストやドラマーを見るとかっこいいなあと思う。どんな人でも例外なく、かっこよかった。バンドマンがモテる(そんな噂を耳にしたことがあるが…)のもあれを見ればわかる気がした。

 それで、僕にとっていちいちライブハウスで音楽を楽しむ理由はたくさんあって、それらが一つの場所に凝縮されているのがライブハウスなわけで、やっぱり一言では言えないなあ…。なんじゃそりゃ、って感じだよね。でも音楽って耳だけで聴くものではないんだなって実感できる。音楽は身体で聴き取るものだってそこに行けばきっとわかると思う。百聞は一見に如かず。たまにフリーライブとか投げ銭ライブなんかもやっていたりするから気軽にフラっと行ってみてはどうでしょう?世界が変わりますぜ。今日もこれを書きながらしんみりと洋楽を聴いているし。素敵な音楽に乾杯。

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