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いちご完全犯罪 - METAMUSEMAPA、すき(解釈)

 一番の
「ダサい私だったこと 忘れてやりなおしたい でも未解決事件やるせなく じゅくじゅくしながら生きていく」が

 ラスサビで
「ダサい私だったこと 思い出したら抱きしめて ほら解決したい気持ちとかない じゅくじゅくしながら愛してよ」
 になるところすきです。

 ダサい過去とモヤモヤを背負って生きていく人間が、ダサい過去もモヤモヤも生きていくことも愛されたいと言えるようになる、「愛してよ」とねだっていいと思えるようになる話ってめちゃくちゃ希望じゃないですか。

 そのストーリーラインで歌詞を読んでくと気づくのが、
 一番で「いちご=つぶつぶきもい気持ちだらけじゃん」と言っているけれど、二番で「いちごはいちごだけでしょ」とオンリーワンであることを肯定しているじゃないですか、

 その間に何があったかって「どう狂ってきて だから出会えて」であり、「ショートケーキ 綺麗に切れない」主人公が「きもい気持ち」を抱えて自虐的になっていたとすると、でもそういう部分があったからこそ、君、と出会えたのだし「正解の夢」に辿り着けた、という話が見えてくるわけですね。

「私は私だけでしょ いちごはいちごだけでしょ」はつまり自分自身も自分の気持ちもオンリーワンであると「認めることのできた」センテンスであり、希望~! と思っています。

 この曲の歌詞のメインとなる「いちごヨーグルトぱふぇになりたい」なんですけど、ぱふぇがパーフェクトと掛かっているのは前提として、一番ではその直後に「赤い未来 白い過去 ぐちゅぐちゅ混ざるピンク」とあるわけですね、混ぜてんですね、
 混ぜるって境界がなくなること、ディティールが粗くなることだと思っているんですよ、シンガーソングライター - 大森靖子で「共感こそ些細な感情を無視して殺すから」といっているように。

 混ざるピンクがMETAMUSEとMAPAというTOKYO PINK社内グループのコラボであることを指しているのは当然としても、そのほかに、白い過去=「ダサい私、未解決事件」を指しているならば真逆の「赤い未来(赤=真っ赤な嘘?)」を投じることで「いちごヨーグルトぱふぇ」=「欠点の見えない何か」になりたいと願っている可能性があって、

 それはつまり「忘れてやりなおしたい」だな、と考えられると思っています。

 それがラスサビでは「赤い未来 白い過去」のあとに「ぐちゅぐちゅ混ざるピンク」とはいわず、「赤い魅惑 白い香り」と続けていて、香りですよ? 香り、過去をその身に纏う香りとして肯定している、

 考えてみれば香りって直前に何を食べたとかどんなお風呂でどれだけ洗ったかとかなにで服を洗濯して部屋干しと外干しどっちにしたとか、汗をかいたかどうかとか制汗剤をつけてきたかどうかとか、

 そこに至るまでの過程の塊みたいなところがあって、ダサい私・未解決事件・背負って生きていくじゅくじゅくもまた香りを構成する大事な過程であり纏うものだと謳ってくれているんだと思うと、いいな~って感じですね。

 ラスサビ前の「だって全部私だもん 恥ずかしいこといっぱいしてきた私のこと 私は恥ずかしくなんかないもん」ってそういうことかもしれませんね、そういえばあのセリフの締めって「私が何しても完全犯罪にして」ですよね。

 だから完全犯罪にするのって「君」の役目なんですね、
 でもそのためにどうすればいいかを察してってわけじゃなくて間奏挟んですぐ具体的にねだってるんですよね、

「ダサい私だったこと思い出したら抱きしめて」って。

 つまり一番における「完全犯罪(いちごヨーグルトぱふぇ)」とは過去と未来をないまぜにしてダサい自分を忘れることであり、
 ラスサビにおける「完全犯罪(いちごヨーグルトぱふぇ)」とは「ダサい私だった」過去という香りごと愛されること、「つぶつぶきもい」いちごである自分を君に愛してもらうこと、「奥も掻き出して食べて」もらうこと、

 不完全でも狂っていてもダサくても、丸ごと奥まで君に愛してもらえたら「完全犯罪」になるのだと、ひとりの人間がそう思えるようになるまでの話として聴いていて、とても好きです、いちご完全犯罪。

(いやでも最後のほうで「ぐちゅぐちゅ ぱ ぱ ぱふぇでぇと」なのだし最終的にやっぱ混ぜてない?)
(でぇとなんだから過去と未来じゃなくて君と混ざってるんじゃないかな……)


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