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カウンセラーのようなことを

こんばんは。mywayのμ(ミュー)です。

惨事ストレスを学んだ私は職場にその内容を持ち帰り、まず職員アンケートを取りました。弱音を吐いてはいけない職場で、回答者の不利益になるようでは本末転倒。どうしたら本音で答えてもらえるかという点にものすごく配慮し、その甲斐あって、かなり精度の高い実態を掴むことができました。

結果は、私の予想を超える方たちにフラッシュバックなどの反応が出続けていることがわかりました。また、睡眠薬を常用されている方も予想以上に多く、不規則な勤務体系も関係しているので惨事ストレスだけが原因ではないとはいえ、日常生活に支障をきたしている職員の方が多いことが判明し、対策を取っていく必要性を訴えるのに十分な結果となりました。

対策を進めていかないと、でもどうやって?悶々としていたある日、職員の方が自ら命を絶ってしまうという痛ましい事件が起きました。

その後もショッキングな出来事が続きすぎて、どんなに思い出そうとしても時系列があいまいになってしまうのですが、私が在籍した4年間で4名もの方が同じ様に尊い命を失ってしまいました。

まさに惨事ストレスが起きてしまったのです。同じ隊だった方、仲の良かった方、同期の方たちなどに強く反応が出ている方がいるはずなので、早急にカウンセリングなどの対処が必要だと訴えました(出来事が起きてから早ければ早いほど、その後の状態悪化を防ぐ効果があります)。担当内でどんな流れになったのか思い出せませんが、なぜかトップの消防長に直談判した記憶があります。
しかし、カウンセラーでもない私が潰れてしまってはいけないということで、そこをなんとかしなさいと。

作戦を練り直し、定期的に本庁に来られていたカウンセラーさんと、本庁人事担当に協力をお願いしました。
とはいえ、対象者が多くそこまでの時間確保はできなかったので、惨事ストレスの反応が出ていないか?というチェックリストを作成し、私が事前にひとりひとりお話を少し聴いて、重点的にお話を聴いてもらいたい方をスクリーニングし、本人の許可を得て事前にカウンセラーに伝える。という形をとることで許可が下りました。カウンセリングは対象者全員に受けてもらいました。

どこの組織でもよくあることなのですが、カウンセリング=病んでいるというレッテルは未だに貼られやすく、本当に必要な方が受けに来てくれないということが起こります。組織の危機的な状況を一刻も早く食い止めるべく、労力も費用もかかってしまいましたが、カウンセリングを関係者全員強制とすることで本当に必要な方を救いにいく計画でした。

当時の私はカウンセラーではなかったですが、HSPの特性、相手への共感力が非常に高いので「話しやすい」とよく言われ、ほとんどの方がすぐに本音で話してくれました。「ひとりで抱えていたので、話せて楽になった。」と言ってくださる方が何人もいらっしゃったことが印象に残っています。

このときパワハラの話題なども出たのですが、パワハラで名前が上がった方のお話も聴くことができ、実はパワハラをしている方が一番ストレスフルな日常を送っていたことを知ることもできました。

そう、カウンセラーでない私が、カウンセリングのようなことをガッツリやってしまったのです。

カウンセリングは惨事ストレスの研修で少しかじった程度。防御力0で深刻な相談を聴き続けたわけなので、当然、エネルギーは枯渇し帰宅後はぐったり。土日も起き上がれない日が多くなり、ギリギリの毎日でした。

なんとか全員をカウンセラーに繋げることができたのですが、自分が潰れないカウンセリングスキルを身につけなければいけないと思い、研修先でおススメいただいた日本産業カウンセラー協会の門を叩くことになりました。

私自身は、ショックが大きく解離性健忘が起きているのだと思います。しかしこの時のショックはほぼ癒されているので、もちろん思い出すと悲しいですが当時のように強烈に感情が引っ張られることはなく、あいまいな記憶だけが思い出されます。癒しがさらに進むと、もしかしたら突然詳細を思い出すことがあるかもしれません。

そしてこの出来事がなければ、
カウンセラーになっていなかったのは間違いないです。


この場をお借りして、
改めまして、亡くなられた職員の方々のご冥福を心よりお祈り申し上げますとともに、ご家族の皆様が健康に暮らしていらっしゃることを心よりお祈り申し上げます。

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