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ターゲットの行動を引き出すためのマーケティング【講座レポート】

鳥取県主催のMyWork わたしの仕事プロジェクト、第6回目の講座は「マーケティング」です。鳥取県内の起業を目指す女性11名(リモート参加2名、アーカイブ視聴1名含)が2023年12月12日、鳥取市にあるスペースソラに集まりました。

講師を担当するのは、髙林 努さんです。髙林さんは、湯梨浜町出身で、東京都内の大手IT企業や銀行勤務を経て独立。現在は、株式会社 ダブルノット 代表取締役としてネットショップの店長育成や、起業家コミュニティー作りに取り組み、東京と鳥取、兵庫の3拠点生活を送っています。

今回の講座では、マーケティングとは何かを学び、マーケティングに必要な現状分析の方法を身につけます。受講生が「マーケティングで大切なこと」を見つけ出すまでの過程をレポートします。

マーケティングを意識して60秒で自己紹介しよう!

講座の始まりはワークショップ形式でスタートしました。自己紹介を通して、マーケティングの技術を磨きます。マーケティングのポイントは、「伝えたい相手が何を考えているか」「その人に対してどんなアクションを起こすと、その人の行為を引き出せるのか」を考えることです。

受講生は、60秒間で、髙林さんの心を動かす自己紹介に挑むことになりました。話し方のコツは「常に100パーセント、あなたのためにすべてのものを捧げます」というイメージで自信満々に話すことだと髙林さん。5分間の準備を経て、参加者一人ひとりが実際に自己紹介をしました。

限られた時間で伝えきらなければならないという緊張感の中、時間ぴったりで紹介し終える方、もっと話したいことがある方、10秒残して伝え終える方など、MyWorkに対する思いを交えて自己紹介をしました。

同時に、「相手の話を聞く力」を養うために、自己紹介する人のいいところや素晴らしいところを3つ見つけることにも取り組みました。受講生同士が「いいところ」を見つけ、付箋に書いてプレゼントしました。

髙林さん:みなさんの自己紹介からは、事業への思いが伝わってきました。しかし、ターゲットである私が今日、何について講義をしているかを意識して話していましたか?「マーケティングでこんなことが聞きたいです」「協力してほしいところはここです」など入れ込んでほしかったんです。

「そういうことかー!」と受講生から声が上がりました。マーケティングの基本は、伝える相手の状況を考えることです。つまり、どのような将来にしたいのかを考え、相手の行為を引き出すために言葉を選ぶ必要があるのです。銀行との打ち合わせや、不動産の交渉をするときにも、今日学んだ知識が役立ちます。

マーケティングとはなに?

ーーファネルマーケティングを理解するーー

マーケティングとは、ものやサービスを売るための仕組みを作ることです。「ファネルマーケティング」では、ターゲットを潜在層、興味・関心層、比較・検討層、商談層に分け、それぞれの層に適したプランを実行していきます。

髙林さん:コロナ禍を経て、マーケティングに変化が生まれ、オンラインだけで成約に至るようになりました。Webセミナーや口コミサイトを活用する、ネットの情報でのマーケティングが主流になっています。

一方で、WebやSNSで情報発信をしても、すぐに買ってくれる人はほとんどいないのが現状です。サービスに対する比較・検討層、商談層などターゲットの層によってメールマガジン、公式LINEの活用などマーケティングの方法を考えることが効果的です。

例えば米粉パンの場合を考えてみると、米粉パンの「腸内環境に良い」という性質は、「乳製品」と競合します。まずは比較・検討層に向けて事例紹介や、お客さまの声の紹介などのマーケティングを行います。その後も、米粉パンのことをもっと知りたいと感じる商談層に適した戦略を考える必要があります。

現状分析

ーービジネスの機会を明らかにして、マーケティング計画を立てるーー

続いて学ぶのは事業の現状分析について。どのようなマーケティングを行うのかを決定するために重要な要素です。

髙林さんが紹介した「SWOT分析」では、事業の現状を4つに分けて分析します。

1.機会 Opportunity(自社のチャンスとなる外部要因)=外部環境
2.脅威 Threat(自社を脅かす外部要因)=外部環境
3.強み Strength(自社の武器)=内部環境
4.弱み Weakness(自社の苦手な事)=内部環境

ここで実際に現状分析を行うワークに取り組みました。「事業・商品の強みや弱み」「競合の良さや弱み」そして「最近、世の中のいいなと思った出来事や、嫌だなと感じた出来事」を書き出していきます。それらは、SWOT分析の4つのカテゴリーに分けて整理することができます。

髙林さん:競合を考えるときには、将来こうなりたいと思う会社を念頭に置いて、言葉にすることが大切です。「TTP、徹底的にパクれ!」と冗談めいて言うことがあるのですが、モデルの良いところを真似てみると、自社の良いところも見えてきますよね。

「SWOT分析」のポイントは、外部環境と内部環境を意識することです。外部環境とは自社でコントロールできない領域のことを指し、内部環境とは、自社でコントロールできる領域のことです。そして「SWOT分析」で見出した「機会」「脅威」「強み」「弱み」の4つをそれぞれ掛け合わせて事業の戦略を立てる方法を、「クロスSWOT分析」と呼びます。

髙林さんがおすすめするのは、新聞を読んで外部環境を的確に分析をすること。ビジネスに関わる事実はなにかをとらえ、それが脅威なのか、機会なのかを分析します。また、「機会」や「強み」に目が行きがちですが、世の中の「脅威」や自社の「弱み」にも目を向け、攻めだけでなく守りを考えることも事業を進め、マーケティングを考える上で重要になります。

今回の講座では、言葉を相手に伝わるように加工すること、ターゲットの層を意識すること、そして現状分析を行い戦略を立てることが、マーケティングにおいて大切だということをワークを通して理解することができました。

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最後に、受講生のみなさんの感想をご紹介します。

受講生 Sさん:1分間の自己紹介は、やり直しをしたかったです。ヒントはもらっていたのに......。あの1分間は受講生それぞれの、そして私だけのためのアドバイスを得るチャンスでした。ビジネスチャンスは考え方によってどこにでもあるという柔軟な思考をすることや、もっと行間を読むことを、これからは習慣化していきます。

受講生 Kさん:マーケティングでは、広い視野を持ち、正しく戦略的に分析することが大切だと学びました。国内や世界の情勢を敏感にキャッチしたいと思います。最終的に相手に何をして欲しいのか、どう反応して欲しいのか考えるなど、今までの人生で教わったことのない事をたくさん教えていただきました。

受講生 長谷川さん:コロナ後は、見込み顧客層から商談成約層まで、ネット内で売れるための仕組みが成立していると知り、デジタルツールを使えることが必要な時代であると実感しました。自分の事業や競合の現状分析をして、自社らしさや自分の強みを活かせることはないか、常に考えたいです。

受講生 高橋さん:自分の価値観で判断し、世の中の流れを事実として捉えていなかったことに気づきました。自己紹介でも、自分の価値観や考えが先頭にあり、相手によって伝えることを変えるという考えに今まで至ったことがありませんでした。広い視野で物事を捉えるというポイントをしっかり教えて頂いたことで、今後につながることが沢山ありました。

上記の感想に加えて、受講生のKさんからは「MyWorkに参加できて本当に幸せです!これからも苦手分野にも積極的に取り組み、夢を実現させたいです!」とメッセージをいただきました。感想を寄せてくださった受講生のみなさん、ありがとうございました。今後は、メンターとの対話を通して事業化に向け進んでいきます。

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最終回の講座には、これまでリモート参加だった鳥取県西部の受講生が現地に足を運んでくださり、初対面の喜びが生まれ、受講生の絆がまた一つ深まりました。そして、ほぼ毎回会場に参加してくれていたのが、受講生のお子さんRくんです。絵をかいたり、おとなをじっと見つめたり、眠くなったり……、お母さんの膝の上で、11名の受講生のみなさんと一緒に時間を過ごし、欠かせないメンバーの一人となっていました。MyWorkの良さを感じた一幕でした。


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