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発達障害者は〇〇の仕事が向いている、という物言いについて

その昔、視覚障害者の人はマッサージ師になれ、と言われていた時代があったらしいが、特定の障害のある人に特定の仕事を押し付けるロジックは日本においては残念ながら健在らしい。

発達障害者に向いている仕事、なんて検索をかけるといくつかの記事が出てくるが、「対人関係が向かない」と決めつけているような記事が多い。しかし、対人関係が苦手、などというのはとんでもないステレオタイプである。コミュニケーションとは相互行為だから、相手との関係を相互理解のもとに構築しさえすれば良き対人関係の構築は可能なのである。私自身がそうで、ものの言い方さえ身につければある程度はクリアできる(できないところもあるけど)。

私は、自分が発達障害だと言ったとたんに、機械を相手にする仕事の方がよい、大学教員は向いていない、作業所に行け、デイケアに行け、就職しないで精神病院に入院せよ、などと決めてかかる人に多く出くわしてきた(それが悪いというわけではないけど)。私が言わんとしているのは、診断名で決めつけて「これが向いている」とふんわりした言葉で首を絞めるのはやめてください、ということである。

夢や情熱は誰でも持ってよいものである。自分の弱さと向き合いながら、夢に近づいていくにはどうすればよいのかを、当事者と一緒に考えるのが支援者の役割ではないのか。少なくとも日本は、症状の悪化を恐れるあまり、「リスクから逃げろ」と言いすぎる。リスクをいかにマネジメントするかによって強みを発揮し、夢を実現するという観点が必要である。

【写真は、みんなのフォトギャラリーから拝借してきました。ありがとうございます。】

(了)

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