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「Before Sunset」を観て

先週「Before Sunrise」を観て個人的にかなりの高評価で、今週はその続編を見ようと「Before Sunset」を観ましたのでその感想を温かいうちに。


基本的に話の進め方は前作と変わらず、主人公の男女の特別な数時間を切り取って二人の会話をひたすら撮り続け、その中でそれぞれの人間性と二人の関係性を描くというもので、続編だからといってそこが変わることはありません。


私がこのシリーズを週またぎで見て特別に思ったことは、映画の中での時間経過と見る本人、(つまり私自身ですが)の時間経過が多くの特にシリーズ物を連続してみる際と違っていたことによるものです。
「Before Sunrise」を観たのが先週末、その一週間後に「Before Sunset」を観る。その私の一週間のうちに映画の中では9年の時が経っています。
シリーズ物をそれが終了してから一気に見る経験がある人にとってそれは特別な違和感がないことでしょうがそのような経験があまりない私にとってはその経験が新鮮に映りました。
とりわけ、この映画一本で描かれている内容が主人公たちのたった1日である。
という事実がさらに私のその感覚を増長させたように思います。

人の特別な1日を2時間弱で覗いた一週間後にさらに彼らの数時間を覗き見る。
その感覚は今まで映画をいくつか観た経験の中に含まれていなくてそれ故に新しく感じました。

私は「ハリーポッター」が好きで映画館でほとんどのシリーズを鑑賞したのですが、そう考えると彼らの一年が私の1日でさらに次の一年は私が2年現実世界で2年ほど過ごしてから現れました。

私にとっての映画の普通とはそのようなもので、この映画を観た上で感じた時間経過は偶然が手助けしたこともあり特別なものであることは言いようのないことです。



そんな印象とは別に私がこの映画を観て思ったのが、ある二人の特別な時間を平凡に切り取り、それを見る側に平凡なものとは悟られず特別なものとしてとらえさせる。それに長けた映画なのかなと改めて思いました。

この映画を通してみればわかるのですが、その映画の中で流れる映像は至って平凡で言ってしまえば男と女がただ歩いて、たまに止まって話しているだけ。
なのですがその二人の会話から見る側は色々なことを考えなくてはならず、結果的に情報量が多い映画として出来上がっている印象があります。

それぞれが自身の現状や過去、それに関する考えを話し合い、観ている側はそこから話している二人の関係性や距離感を探る必要があったりと。そこから流れてくる映像や音声から情報をとっているだけだと、テンポが早い映画ではないに関わらずおいていかれてしまう。そのように感じました。


このシリーズを観て思うのはいくら映画だと言っても時間の密度とそこから感じること、考えることはある程度の関係があるのではないかというものです。
たった2時間程度の映画でその中に詰めることのできる情報量というのはどれだけそのストーリー上での時間経過を伸ばしても変わらないどころか、薄くなってしまうのではないでしょうか。

その考えを持った上で、映画の中で流れている時間と観ている人が過ごす時間がほとんど変わらないということを思えば、その尺の中で色々なことを考慮する必要があり、観る側は少し疲れるけれどかなりの充実感を得られるのではないかと思います。

と、これまで色々書いてきましたが、正直に言うと「Before Sunrise」が良すぎてそれに引っ張られたと言う理由でこの映画もよく感じているだけかもしれません。

このシリーズはもう一つ作品があるようなので来週はそれを観たいと思います。


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