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経済問題で揺れるベトナム

これまでイケイケな成長のニュースが多かったベトナムですが、今年になってから銀行の取り付け騒ぎを始め、経済問題のニュースが急増しています。(以下1〜4はnote のAI支援機能が作ってくれた見出し。トップ画像はbeing creator が作成)

1. ベトナムは今、急速な経済発展を遂げています。しかし、その裏には深刻な問題も存在します。
2. なんと、ベトナムの貧困率は20%を超えています。しかし、その中でも若者たちは希望を持ち続けています。
3. 外資系企業も注目しているベトナム市場。今後の展望とともに、現地の情報をお届けします。
4. ベトナムでのビジネスチャンスを求める人、必見です!未知なる市場に挑戦したくなること間違いなし!

コロナを経て昨年の汚職やスキャンダルから現在に至るまでをざっくりおさらいしてみたいと思います。

ざっくり状況

もともと農業国で都市部や工場で働く(2次3次産業)は外国資本も多いため、貨幣経済の中でギッチギチの生活をしている人の割合は全体として少ないらしく、悲惨さはあまり出ていません。
しかしホーチミン市の中心部はシャッターがしまった店舗が並び、ニュースでは 「 失業、不動産・金融問題、観光不振、工場レイオフ」の話題が毎日出るようになっています。

(前提:コロナ前)

2019年まで経済が急成長し、ホーチミン市など大都市の中心部の店舗の賃貸料は 小さな店舗でも50万〜、ハノイのアパートも東京とさほど変わらないなど、地価・不動産が高騰。人件費も$1000〜が珍しくなくな り都市部では夫婦の収入が$1500/月以上という話もよく聞かれるようになっていました。
成長の主な要因は 外資によるインフラ開発と工場誘致(FDI)や外国企業の進出で給与所得者が激増(それまでは公務員か農業がほとんど)したことなどがあり、加えて外国出稼ぎによる送金や観光収入など海外からのお金の流入がありそうです。 
2019年末には790億ドル(10兆円)の送金、ちなみにベトナムの税収はこのとき6兆円ほど)


1.厳格なコロナ隔離政策

ベトナムはコロナが騒がれた2020年1月末には対応を始め国境の閉鎖や航空便の停止で帰国用の特別便だけになり、4~5月にはホーチミン市で外出禁止になるなど厳しい隔離政策をしました。
隔離がほぼ解かれたのは2021年の10月末ごろで、2022年の3月にやっと航空便の正常化と観光再開をしています。
海外からの産業進出や観光は中国が隔離政策を続けていることも一因してすすまず、現在観光や誘致に(かなり焦って)力を入れている状況があります。

結果としてホーチミン市など都市部では賃貸で営業する飲食店が軒並み閉店。大手のチェーン店も店舗を減らしました。

工場なども閉鎖や隔離が相次いだため、都市部の生活を維持できず田舎にUターンする人が続出、100万人単位だったといいます。

また、現金が入ってくるという意味では金払いの良い外国人が全く入らなくなったのも大打撃のようです。ハノイやHCMCの一等地はもちろん、各地の観光スポットも大打撃。
韓国人の半数が訪れる人気のダナンは在住韓国人が多かったですが、観光客のために飲食業などで移住した韓国人も撤退したため空洞化。その人達が投資したり日々使うお金の経済も消滅して観光エリアはゴーストタウンと化しました。

これを裏付ける数字があり、昨年は国内観光は戻ったもの金額では小さく観光経済はまるで膨らまずで、外国の通貨頼みな国情が表面化。政府も観光をがんばれと躍起のようです。

=>①外国から入るお金が激減した

2.汚職問題(1) 証券取引所と銀行の不正

証券会社が企業とぐるになったり、監査や証券取引所の関しが甘く法律やルールも確立されていないため不正取引で自社の株価を数倍に膨らませて売り抜ける、ということが起き昨年大企業のトップが続けて逮捕されました。
合わせて証券取引所や政府のトップも逮捕や組織から追放が相次ぎました。
関連した企業は
-  FLC 不動産
-  証券会社 Tri Viet Securities
-  Louis Holdings コングロマリット
などですが、これだけはないでしょう。(後に架橋の会社も取り調べを受けています)

会長や証券会社などで逮捕者が出た後、前述のFLC社も監査不能となり上場取引停止となりました。グループすべてが財務諸表を提出せずに、今年までに上場停止処分となっています。
いつ頃から始まったのか不明ですが、監督する立場の人達が監査をしていなかったようです。

=>②結果として監査が厳しくなった。ズルができなくなった。
これは次の社債問題に伝搬していきます

(HCMC 証券取引所 (HoSE) のゼネラル ディレクターである Le Hai Tra 氏は党から追放されました。これは2022/3 月に始まった株式市場操作の調査後)

3.汚職問題(2) 不動産業界の債権不正とバブル

会社の帳簿を偽って社債を乱発、これに証券会社や銀行も加担していたことで大きなバブルを生み出していたことが発覚しました。
急激に成長した裏に、不正でお金を集めて土地や会社を買いあさっていた実態が浮き彫りに。
社債発行を政府が一時停止させましたが、その後もなかなか増えない状況が続きました。
これは前述の財務諸表などでズルをする問題が厳しく扱われ社債の発行が難しくなったことがありそうです。債務超過でも借り入れを増やしていた様子が想像できますが、さらに金利上昇が追い打ちをかけています。

=>③結果として債権の発行がなくなりました。(資金難)
債券発行で自転車操業をしていたため、不動産中心に急成長していた会社が資金ショートから解雇や営業中止に。
不動産業と建設業にお金が回らず公示の停止も相次ぎ、不動産の信用不安が進行しています。


4.汚職問題(3)外務省・保健省の大規模ピンはね

コロナ中に海外のベトナム人を帰国させるために特別便を出してケア押していましたが、外務省官僚が組織的に帰還者から旅行会社を通じて水増し請求でお金を取っていたことが発覚。
さらにcovidテストキットでは保健省の幹部がこちらもピンはねをして私腹を肥やしていたことが発覚し、外務省と同じく副大臣などを含む大量検挙となっています。

これらの汚職マネーと権力構造はセットだったようで、今年はじめになんと国家主席グエン・スアン・フックが辞任・引退に追い込まれ未だに検挙が続いています。

=>④汚職が怖いので動きが遅くなった。早く進める原動力が賄賂だったのが厳しくなりOK出す人が動かない状況に?

現在さらにこの問題から、土地利用が進まない問題が浮上しています。

不動産業者に前金を払って家を購入も4年進まず。原因の1つは土地利用の変更がすすまないこと。また購入した人も登記所を政府が発行しないため、売買が非常に難しい状況が各地で大規模に起きています。(購入後5年以上も謄本(レッドブック)がもらえてない人も普通です)

現在ベトナム南部で10%ほど割引しても不動産の流動性がない状態で、20%offでも難しい状況ということですが、これまでバブルになり社会のムードで会急がされていた人が高金利で苦境に陥っている中で売るに売れない、という話も出てきています。

5.外国人が戻らず、キャッシュ不足が追い打ち

観光不発、タイへみんな行ってしまったと不満そうな記事が多いです。

ベトナムの平均給与は4万弱、欧米の人が来てお金をキャッシュで使う観光は市中の人に大きな価値があります。
隔離や外国人の帰国など国内の経済が2年以上も最低状態であり、海外からは3年近く抜けてしまったうえに、現在インフレによる世界経済の需要急減で海外からのお金の流れも渋くなっているようです。
そもそも日本などはまだ観光再開ですらないですからね。。

6.工場の受注減

こうした状況に追い打ちをかけているのがベトナムの受注減です。
万人単位のレイオフが発生し、特に繊維、履物、木工など手工業の工場が痛手で、台湾やアメリカからの受注が減っているようです。

ベトナムは成長基調

そうは言いつつも中国からの移転や人口ボーナス中であること、なによりつい最近まで最貧国であり自国の成長余地がまだまだありますので成長は泊まりようがないようです。
ただし、ここ10年くらいの異常なバブルは特に不動産と貧富の差で大きな歪を生み出してしまい、また成長に伴う医療や環境のコストも増大している中で、調整が必要な局面に来ているようです。

ベトナムを成長させていたお金の正体

現在日本円が安いため、ベトナムGDPは日本の4%ほどありますが、少し前は数%、その前は。。。でした。現在はベトナム政府の歳入が7兆円ですが少し前には統計すら無く殆どないも同然でした。

輸入する必要もあり、お米をいくら売っても大した額にはならないため生産をした収支でのし上がったわけではなく、外国からのお金の流入が生み出した成長なのしょうが、2015年以降にはバブルな億万長者が多数出て段々と慢心が生まれてきていたのかな?という雰囲気もあります。

そんな中で出てきた奇策は?

1〜6の問題はそれぞれ根深いので、すぐになんとか成るものはなさそうですが、ベトナムが奇策?として力を入れてるのがソコ?というのを次回は書きたいと思います。

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