「。」とハラスメントのこと
「若者に広がる『マルハラスメント』とは」というネットニュースを見かけた。
ざっと目を通しただけだが、若者はLINEなどのメッセージツールで文末に「。」を使われると「怖い」「冷たい」と感じるらしい。
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いやいや、マジかよ。なんだそれ。おっさんには理解不能だ。
ということはあれか、いまの若者は「モーニング娘。」に対して「怖っ!冷たっ!」などと戦慄するのか。
おかしいだろ。モーニングコーヒーだぞ。温かいって。投票行って外食しろよ。
おかしい。絶対におかしい。どう考えても「藤岡弘、」のほうが怖い。
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若者が「。」を嫌がる理由のひとつに「なんか終わりって感じがする」というのがあるらしい。
いや、その通りだよ。終わりだよ。「。」は文を終わらせるのが仕事だ。「。」は自分の役割を全うしているだけに過ぎない。それにいちゃもんをつけるのは、どうなのか。ゴールキーパーに「手を使っていてズルい感じがする」なんて文句はつけんだろう。
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若者でない私は全く共感できないが、そういう感覚の若者が少なくないことは理解した。
理解はしたが、ハラスメントと呼んでしまうのはいかがなものか。
何らかの現象、事象にキャッチーな名称をつけることの狙いはわかるが、ハラスメントはそもそもキャッチーでない。裁判になったり人が死んだりする。そんなに「。」は罪深いのか。
私は「。」を使っているし、これからも使う。それが日本語のルールだからだ。私なりに正しい日本語を使っているつもりである。
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先日、ハラスメントに関するコラムを読んだ。
「自分のしていることがハラスメントだと自覚している加害者はいません。むしろ『それが指導というものだ』『スキンシップのつもりだった』という人がほとんどです」とのこと。それはそうだろう。
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いや待ってくれ。そうなると「それが日本語のルールだからだ」「正しい日本語を使っているつもり」という私は、立派なマルハラ加害者ではないか。
ある日、偉い人のところに呼ばれて
「再三の注意にも関わらず『。』の使用を続け、何ら非のない社員に不安と恐怖を惹起させた一連の行為は看過できない。よって減給3か月の懲戒処分とする。所属長については訓告処分とする。以上」
などといわれるのだ。
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私だけではない。
週刊誌に「独占スクープ!永田町がひた隠しにする◯◯議員のマルハラ地獄!」とか「元アイドルが実名告発!俳優◯◯のマルハラ三昧!」といった記事が掲載され、LINEか何かの「お疲れ様でした。」「了解しました。」といったスクショが世に晒されるのだ。
当然、世間からは「マジで日本終わってる」「旧態依然の業界体質」「氷山の一角」とか、色んな声が出るだろう。
記者会見を開き「可愛らしいスタンプが返ってきたので、喜んでいると思った」「『。』を使ったことは事実だが、同意のうえだった」などと弁明するも、結局は失職、引退である。
世知辛い。でも、私は「。」を使いたい。
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普段は気にすることのない銭湯の貼り紙。
「髪染めは禁止です」
「ドライヤーを使用する方は番台に声をかけてください」
「。」がない。
やっぱり銭湯はいつの時代も、誰にでも優しい。恐れ入った。
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もとい
恐れ入った
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