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生産性のモデルを考える日

働く人の生産性について考えてみる。結論として(計算に)失敗している。特に有益ななにかは産まない。

生産性

労働生産性の定義は

労働生産性(英: Labour productivity)は労働力1単位に対する産出量である[5]。すなわち次の式で定義される:

この答えは labour productivity = output volume / labor input use

これだけ?

古典的な経済学ならばこれで十分だろう。ただ、現代の組織論にこれを適用するのはちょっと無理がある。

もっと研究してそうな人が絶対いそうだが、すべてを無視して自分で考えてみる。

製造

仕入れて、作って、売る

簡単なモデルを考える

製品の価値$${V_P}$$は原料の価値$${V_R}$$を使って、

$$
V_P = V_R + \Delta V_D
$$

ここで、$${\Delta V_D}$$は製造による付加価値に相当する。同様に売上$${V_S}$$は

$$
V_S = V_P  + \Delta V_M
$$

$${\Delta V_M}$$は営業による付加価値に相当する。

労働生産性

別のところから引用

物的労働生産性は、労働生産性のうち、作物や製品の個数や重量を成果物として考えます。

物的労働生産性=生産量÷労働者数

従業員1人あたりの労働生産性を計算する場合は、「生産量÷労働者数」という式を用います。

労働者1人あたりの労働生産性を知りたい場合は労働者の人数で割り、1時間あたりの労働生産性を求めたい場合は、労働者の人数と労働時間をかけた値で割ります。

例えば、生産されたりんごが1万個で、労働者が500人の場合、労働者1人あたりの労働生産性はりんご20個分となります。

物的労働生産性は客観的に分かりやすいため、社外に示す資料などでは、物的労働生産性の値が用いられるのが一般的です。

なるほど、製品の価値$${V_P}$$と開発の付加価値$${\Delta V_D}$$を$${V_P \approx N_P v_P}$$と$${\Delta V_D \approx N_D \Delta v_D}$$と近似できるとする。このとき、物的労働生産性は

$$
P_1 = \displaystyle \frac{N_P}{N_D}
$$

また、作る方でなく売る方を考えると

$$
P_2 = \displaystyle \frac{N_S}{N_M}
$$

ただし、$${N_S \leq N_P}$$である。売る量が作る量より多くなることはない。一方、

付加価値労働生産性は、労働生産性のうち、付加価値を成果物として考えます。

「付加価値」とは、粗利と同じ意味で、付加価値労働生産性を計算する場合は、「付加価値÷労働投入量」という式を用います。

付加価値労働生産性=付加価値÷労働投入量

例えば、りんご1つを作るのに100円の原価がかかったとします。
そのリンゴを200円で売ったら、差額の100円が「付加価値」になります。

付加価値労働生産性からは、労働者が付加価値を生み出している「効率」を確認することができます。

これに基づき、付加価値労働生産性は労働者の人数を$${N_L = N_D + N_M}$$とすると

$$
P_3 = \displaystyle \frac{V_S - V_R}{N_L} = \displaystyle \frac{N_D \Delta v_D + N_M \Delta v_M}{N_D + N_M}
$$

生産性の最適化

$${P_3}$$を最適化することを考える。他に条件がなければ$${N_D}$$か$${N_M}$$のどちらかを$${0}$$とすると最適になるが、これだと全くものが作られないか売れないということになる。普通に考えて、利益が最適になるのは$${N_P = N_S}$$のときだから

$$
P_1 N_D = P_2 N_M
$$

である必要がある。まとめると

$$
P_3 =  \displaystyle \frac{P_2 \Delta v_D + P_1 \Delta v_M}{P_2 + P_1}
$$

付加価値労働生産性は物的労働生産性と工程上の一人あたりの付加価値から成り立つ。なるほど。そんな気がする。

開発

ソフトウェア開発ならば、図中の製造を開発として置き換えて考えることができる。のだが、このモデルはあまり適合している気がしない。

適当な一つのプロダクトを想像してみる。まず、$${V_P \approx N_P v_p}$$という近似があまり現実的でない。$${v_p}$$は解釈すると「1個の機能あたりの平均的な価値」。機能を増やしたら価値は線形に上がるか(上がらない)。$${\Delta V_D \approx N_D \Delta v_D}$$も成立しそうにない。これが成立するとエンジニアかPMの人数に比例して売上が上がることになる(上がらない)。

$${V_P}$$が分離可能でないならモデルは成立しない。例えば「りんごを1個育て、1回だけ売る」。ソフトウェアの開発はこれに近い。

直し続けて、使い続ける

別のモデルを考える。今度は時間の概念をいれる。

こちらにおいて、価値は将来において利益を創出する能力と考えるのが自然に見える。絶対値として意味があるのは$${V_S(\infty)}$$、これを計算するのに必要なのは

$$
V_S(t) = \gamma(t) V_S(t - \Delta t)
$$

開発を表現してみる

$$
V_P(t) = \alpha(t) V_P(t - \Delta t)
$$

開発物と売上をつながりをこう表現してみる

$$
V_S(t) = \beta(t) V_P (t)
$$

まとめて

$$
\gamma(t)= \alpha(t) \beta(t)
$$

$${\alpha(t) = \beta(t)}$$で極値を取りそうなので$${\alpha(t) = \beta(t)}$$とし、また$${\alpha(t) = P_1(t) N_D}$$と$${\beta(t) = P_2(t) N_M}$$とすると

$$
P_1(t) N_D = P_2(t) N_M
$$

全体の付加価値は

$$
P_3(t) (N_D + N_M) = P_1(t) N_D P_2(t) N_M
$$

整理すると

$$
P_3(t) = \displaystyle \frac{P_1(t) P_2(t)}{P_1(t) + P_2(t)} \sqrt{\gamma (t)}
$$

別の切り口で、$${V_S(t)}$$が適当なKPIの積で表現できるならこんな形になる

$$
\Delta V_S(t) = \displaystyle  \prod_{i}  u_i(t) \Delta t
$$

$${\Delta t}$$の間に、$${k}$$番目のあるKPIだけが変化すると考えると

$$
\Delta V_S(t) = g_k(t) u_k(t - \Delta t) \displaystyle \prod_{i \neq k}  u_i(t) \Delta t = g_k(t) \Delta t  V_S(t - \Delta t)
$$

$$
\Delta V_S(t) = (\gamma(t) - 1) V_S(t - \Delta t)
$$

だから

$$
\gamma (t) = g_k(t) \Delta t + 1
$$

よって、付加価値労働生産性は工程上の労働生産性とフォーカスするKPIの改善によって表現できる。本当か?

おわりに

もっとまとめられると思ったがまとまりませんでした・・こういうこともある。

2024年に入ってまたAIのニュースが増えてきた気がする。

適当な現象に対して

  • 仮説を作る = モデルと変数を定義する

  • 制約条件から最適化する

  • 現実と適合しているか検証する

本稿くらいの提案と検証くらいならそのうちAIだけで完結するだろうか。2026年までにはできているように思う。いやもっと早いか。


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