見出し画像

雨の日の言葉

ネガティブな感情にあらわされがちな「雨」というものが好きだ。


新海誠作品『言の葉の庭』のセリフ「空の匂いを連れてきてくる雨が好きだ」というほどの詩的な感情は持ち合わせていないのだが、それでも雨が好きだ。


ではどうして雨が好きなのかと考えるとそれは心を落ち着かせるという作用があるからだ。雨の音、しとしとと降る雨は晴れの日の無音の世界よりも安らぎを与えてくれる。
睡眠をとる時、集中する時、リラックスする時そのいずれにも当てはまる。今まで聴覚の刺激というものを感じたことがあまりなかった。音フェチの友人がいるのだが熱弁する彼に賛同できなかった。しかし、どうやら雨の音は好きかもしれないと最近になって自分の特徴がわかってきた。


そう考えると音フェチとまではいかなくとも環境音の中での好き嫌いは明確にある。黒板を爪で引っ掻く音なんかは、こうして文字に起こすだけでも音を想像して虫酸が走るくらいだ。都市伝説youtuberのミルクティー飲みたいさんのマスク越しに話す声は心地よく毎晩とてつもない眠りを誘ってくれる。ちなみに一説によると黒板を爪で引っ掻く音は猿が危険を察知する時に鳴く声と似ているため人間には猿の時の名残でこの音が嫌いらしい。




好きな音楽を聴いて気分が高揚するように、環境音でもメンタルが左右されるというのは面白い。自分が落ち込んだ時に回避する方法を知っておくのはとても重要なことだ。人によっては漫画を読むことだったり、ランニングをすることだったりする。その一つに自分の好きな音を持っていたら心強い。

とはいうもののそんなに都合よくも雨が降らないものだから重宝しているアプリがNoisliだ。

16種類の環境音が備わっており、ミックスして流すこともできる。
僕の好きな雨の音ももちろん備わっている。集中したい時、心を鎮めたい時に使用している。

好きな音、好きな匂い、好きな景色、好きな言葉、好きな味、五感を刺激する好きなものを明確にわかっていたらより自分をコントロールしやすい。
その中でも好きな言葉というものに注目したい。

好きな言葉とは二種類の意味がある。
言葉そのものが好きである場合と、その言葉を口に出したくなる場合だ。
その言葉を口に出したくなる場合とはどのような時かというと、僕の場合はカタカナ語だ。デヒドロエピアンドロステロンとかアイゼナハとかちょっと小賢しい名前が中二心をくすぐる。
多分お経や呪文というものも同じようなものだと思う。言葉自体の意味はさておき、一心不乱に唱えることにより、気分を高揚する働きがあるのではないか。

では好きな言葉とはなんだろうか。座右の銘というやつだろうか。あまりパッとする言葉が見当たらない。




もうすぐ子どもが産まれる。
名前はなんにしようかと考えている。名前自体に意味はつけれないような気がしている。運命づけた名前は荷が重いし、名前を与えるような神にはなれそうにない。だから名前に意味はないのだが、そこには想いはこもっている。
そして音にもこだわっている。呼びたくなる名前、発しやすい音。そんなことを考えながらあれやこれやと考えている。そして一つの名前にたどり着いた。僕の名前と同じ語感だ。気に入ってくれるかどうかはわからないが、初めて渡すプレゼントで一生付きまとうプレゼントだ。できれば喜んでくれるとありがたい。


雨の日は心を落ち着かせてくれる。素直な気にさせる。酔ってもないのに深夜でもないのになんだか心の言葉を綴れている気がする。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?