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勉強について

大人になってから「もっと勉強しておけばよかったなぁ」というフレーズは度々聞く。テレビの中や同世代の会話の中で。


僕はその感覚があまり分からない。勉強に限らず「あの時に戻れたら〜したい」というのがあまり無い。だからと言って人に自慢できるような人生を送ってきたわけでもないし、過去を振り返っても成功より失敗の方が多い。ただ単純に「あの時に戻れたら~したい」というのが不毛な気がしてならないからだ。所詮その時に戻れたとて僕は多分同じような失敗をして同じように惰性をするだろう。それよりも「今」の方に僕はおもしろみを感じる。



それは勉強に対しても言える。


「もっと勉強しておけばよかったな」という感覚はないが、逆に「勉強おもしれぇ」っていう思いの方が強い。


何も賢こぶるつもりも無い。素直に「勉強がおもしろい」と思う。ただ、義務教育や学生時代と大きく変わるところは勉強を指すものが変わったことだ。


僕は勉強が嫌いだった。ただ苦しみながらも耐え抜いた先にちょっと楽ができるんじゃないかとか、とりあえずやっておくとか、半ば精神を鍛えるために国数英社理を勉強している節があった。


しかし、大人になってからの勉強の定義が変わった。

自分が興味ある事に目を向けた時、どうすればもっと上手くなるかなと考える。そんな時に必要な知識を得るために本を読んだり、ネットで検索したり、あるいはその道で自分より能力の長けた人に教えてもらったりする。自分の能力の中にも得手不得手があるから、弱点を補うためにどこを練習すればいいかとか長所をどのように伸ばそうかとかを考える。そして今までできなかったことができるようになったり、必要な知識を手にいれたときの新たな発見はとても楽しい。この一連の流れは何かなと考えたとき、その名称は紛れもなく「勉強」なのだ。
この「今までできなかったことができる」というのはムチャクチャ楽しい。その感覚を大きく味わうためには今まで挑戦しなかった事を挑戦することにある。

なぜなら物事の成長曲線として、最初は一気に能力が上がるからだ。昨日できなかったことができるようなる感覚というのはエンターテイメント性があると思っている。つまりワクワクするのだ。誰に指図されるでもなく自分の興味のある事をやる。これほどまでに楽しいことはない。

その感覚を味わってから僕は物事を始めるのがとても楽しい。幸運なことに僕の周りには色んなことをやっている友達が多いので分からないことや行き詰まった時には先生になってもらっている。
2017年だけでも僕はカメラ、LINEスタンプの制作、photoshop、HTMLとまぁ色々始めた。それ以前からもやっていることはある。こんなことを言うと、どれもどっちつかずで秀でた能力がないんでしょ?と言われるかもしれない。もちろんその批判に値する部分も自覚している。成長曲線は一定のところになると緩やかなカーブになり壁に当たる。その時、興味があれば先へ進めばいいし、興味がなければやめたらいいだけのことだ。そしてやめたつもりが回り回ってその経験が役に立ったりもする。



勉強は強要されなければムチャクチャ面白い。


僕がこんなことに気づけたのは心のどこかで勉強は楽しいものだと思っていたからだと思う。


それは小学校の時のある先生のおかげだ。


5、6年の二年間に渡り受け持ってくれていた担任の先生がいた。その先生はとてもユーモアのある人だった。ダジャレが好きだったし、漫画が好きでジャンプとチャンピオンとサンデーを毎週買っていたと思う。手塚治虫の漫画は心の教育に良いからと校長に直談判をして教室に先生の私物のブラックジャック、火の鳥、ブッダを全巻惜しげも無く置いてくれた。また雑学も好きでゆとりの時間には冊子を配り、この超難問を誰か一人でも解けたら(クラスは7人しかいなかった)明日はご褒美に全部体育にしてあげると言った人だ。(友達のともくんはこの答えが分かり翌日の授業は全部体育になった。その時も校長に直談判したらしい)
学問の学びの上でとても幅がある先生だった。


6年生になり、歴史の授業が始まった。


「歴史は今まで習ってきた授業とは違って新しく始まる分野で先生も好きな授業です。そこでこれからは毎時間、授業の終わりに次の授業のキーワードを言うから各自で調べて発表してください」と言うのだ。僕たちの同級生は6人しかいないし一人一回は間違いなく当てられる。しかし僕たちはそんな強迫観念ではなく、知への欲求として図書室に駆けつけた。戦国時代が授業の時は織田信長がテーマにあげられ各自で情報を収集し、次の授業で発表する。何をした人や、どこ出身といったこと。各々の情報を先生がまとめて授業が進められて行く。児童が主体で先生はあくまでもサポート役だった。
この授業が楽しくて、あの勉強がおもしろかった。

先生に恵まれた。心からそう思う。


そう思うと先生とはとても素晴らしい職業だ。何十年も先の未来の僕にまで勉強の楽しさを教えてくれている。
そんなことをふと思い出したのだ。


次回は「発明について」



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