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思った以上に求めていない

はじめに

アイドルに恋愛禁止が求められて久しいと思います。男性アイドルではその傾向が緩みつつありますが、女性アイドルは今もなお、その考え方は強いです。今回はファンがアイドルに対して恋愛禁止を求めるかどうかについて調査しました。ご法度とも言えるファンが恋愛禁止についてどう思っているかについては調査されていないとはずです。そういった意味でも今回は非常に興味深い内容かもしれません。

今回は1章、2章に分けて書いていきます。1章は統計調査やアンケート調査について書きます。2章はアイドルへの恋愛禁止、乃木坂46に対する恋愛禁止についての調査結果を書きます。
1章はアイドル好きでなくても、アンケート調査の問題点や統計分析とはどのようなものか知りたい方も読んでいただけると思います。アンケート調査や統計調査の実施を考えておられる方にはぜひとも読んでいただきたいです。
2章はアイドル好き必見の恋愛禁止についてファンがどう思うかをまとめています。なぜ、恋愛禁止という考え方が生まれたのかいった変遷から令和時代のファンはその価値観のままアイドル好きなのかを書いていきます。
統計のことは知っているから、早くアイドルの恋愛禁止をどう思っているか知りたいねんって方は2章から読んでいただけると幸いです。ただし、2章は1章の内容を踏まえているので統計用語等の説明は2章ではしていないのでご了承ください。


1章 統計調査・アンケート調査ってどんなもの?

1-1. 統計調査

統計調査とは量的調査のことでよくあるのが、今年初詣に行った人は数万人でしたといったような量的調査手法です。量的調査の対義語が質的調査で、インタビュー調査がその代表例です。統計調査では数が命です。サンプル数(集める数)が多いほど、その調査の信用度は高くなります。日本人全体の動きを把握するために1億人以上いる日本国民全員に調査をすると大変な手間がかかるので、そんな調査を誰もしません。
じゃあ、どうやって調査をしているのかと思われると思います。日本の人口規模だと数千人のデータで信頼できるデータをとることができます。しかし、それには条件があります。無作為に抽出されることが大前提です。そのことをランダムサンプリングと言います。何のことかさっぱりと思った方もいらっしゃると思います。簡単に説明をすると、学校で何かの係を決めるときに、名前の書いた紙を箱の中に入れて、先生がその箱から紙を引いて、選んだことがあると思います。まさにそれが無作為に抽出するランダムサンプリングです。名前の書いた紙(=対象者)を先生が箱から(=無作為)抜き取る(=抽出する)といったように思っていただけると助かります。厳密には少し異なりますが、、、無作為に抽出された対象者を調査することで調査対象者全体のデータを得ることができ、実際に生じるずれも小さいと言われています。
今回の場合だとTwitter上での調査なので、「乃木坂46ファンのTwitterユーザーを対象に調査」という言葉が抜けると、Twitterユーザーでない人を対象にしていないため、乃木坂46ファン全体では無作為に抽出したということができないのです。しかし、Twitterユーザーと制限を設けることでTwitterユーザーが自由に回答できるため、回答者は無作為に抽出したということができます。


1-2. アンケート調査

アンケート調査は統計調査でよく用いられる手法です。質問項目決めて、対象者に回答してもらう形式で、選択式と自由回答式があります。選択式は与えられた選択肢に回答する形式です。よく街中で行っているアンケートです。それに対して自由回答形式は与えられた設問に自らの意見を書く方式です。選択肢を設けずに、調査対象者の意見が直に反映されますが、回答する側としては面倒なので、回答率は選択式に比べると低くなります。Twitterでのアンケート調査は前者の選択式です。今回の調査も同様です。余談ですが、アンケートは英語ではなく、フランス語です。


1-2-1. アンケート調査の問題点

アンケート調査の問題点は2つあります。1つ目がキャリーオーバー効果、もう1つが社会的迎合バイアス(Social Desirable Bias: SDB)です。キャリーオーバー効果とは前の設問が後ろの設問の回答に影響を与えるということ現象です。例えば、「乃木坂46は握手会を行っていることを知っていますか?」という設問の後に、乃木坂46の好感度についての設問を作ると好感度が上がります。逆にネガティブな設問を先に持ってくると、好感度が下がります。このことをキャリーオーバー効果と言って、アンケートを作る際には注意しないといけません。
もう1つが社会的迎合バイアス(以後、SDB)です。SDBとは社会的に良いされる方に回答する傾向があることです。例えば、ごみのポイ捨てについてどう思いますかといった設問に対してある村の人は全員、ポイ捨てに反対と回答したとします。しかし、その村では村民によるポイ捨てがなくなりません。これは実際にポイ捨てしている人が社会的にはポイ捨てはよくないと自分の行動に嘘をついて回答しているからです。このようなバイアスは選挙の投票率とアンケート調査のずれでもよく見られます。
アンケート調査をするときにはこの2点に気を付けてください。次はお待ちかねのアイドルの恋愛禁止についてです。


2章 アイドル恋愛禁止

2-1. 調査内容

アイドルの恋愛禁止と乃木坂46の恋愛禁止について乃木坂46ファンのTwitterユーザーを対象にTwitterのアンケート機能を用いて。「求める」、「求めない」の2択で調査しました。アイドルの恋愛禁止への投票が154票、乃木坂46の恋愛禁止への投票が153票です。ご投票、ありがとうございます。
なお、同調査は同じタイミングで発信し、リツイートも行われたため、1名を除き回答者はどちらの設問にも回答したと仮定して、話を進めていきます。
求めるを0とし、求めないを1として集計しました。


2-2. 調査結果

アイドルグループへの恋愛禁止を求めるとの回答の方が、乃木坂46への恋愛禁止を求めるとの回答よりも多かった。
信頼区間についてはアイドルの恋愛禁止が0.079、乃木坂46の恋愛禁止が0.077と5%水準で棄却されることになりました。0.05未満であると、統計的に信用できる数字として使用することができます。要するに使い物になるデータであれば、0.05を切っているということになります。しかし、これでこの記事を終えたくないので、このまま話を進めます。もっと、数を集めるとこの信頼区間の数字が下がり、使い物になる数字になります。



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アイドル調査結果 グラフ

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乃木坂46調査結果 グラフ

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アイドル調査結果 表


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乃木坂46調査結果 表

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アイドル調査統計情報

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乃木坂46調査統計情報


2-3.考察

2-3-1. アイドル恋愛禁止

アイドルの恋愛禁止が世間的に一般になったのは1990年代以降で昭和のアイドルにはそこまで求められていなかったそうです。つまり、平成のアイドルからしっかりと恋愛禁止が求められるようになったそうです。モーニング娘。ぐらいからが恋愛禁止を明文化されたと言われています。
僕が今回の調査で一番驚いたのが、乃木坂46への恋愛禁止は求めないが、アイドルグループには恋愛禁止を求めると回答した人が多かったことです。当初の予想では、逆の結果になると考えていましたが、ふたを開けると真逆の結果になっていて、僕個人的には非常に面白い結果を得ることができました。恋愛禁止というアイドル像は過去のものになりつつあるのかもしれません。


2-3-2. 乃木坂46恋愛禁止

乃木坂46に限るとメンバーは全員平成生まれで、ファンの大半も平成生まれだと思います。私も平成生まれです。しかし、そのアイドルをプロデュースしている秋元康さんは昭和生まれで、昭和からアイドルのプロデュースも行っています。つまり、昭和の価値観が平成のアイドルに受け継がれているが、ファンは平成生まれで、ファンと運営サイドでの価値観の相違が生じていると考えられます。
平成では恋愛が昭和以上に盛んに行われ、さらに同年代のメンバーが多い乃木坂46を含む坂道グループでは、彼女たちも自分たちと同じように恋愛してもいいのではないかと思う人がいるのではないかと思います。


2-3. 総括

ファンはアイドルに恋愛禁止をあまり求めていないことがうかがえます。おそらく、運営側とファンの価値観の相違、または炎上の予防ではないかと思います。ファンがあまり求めていないことをアイドルに要求するのは本当にいいことなのでしょうか。少し疑問に思いますが、やはりアイドルは恋愛禁止だと頑なに恋愛禁止を求める方からの批判を受けたくないといった事なかれ主義発想からそのようになっているのかもしれません。
令和の時代のアイドルは徐々に変化していき、ついには平成世代がアイドルをプロデュースするときが来るのでしょう。そのときは恋愛禁止がどうなっているか気になりますね。


最後に

アイドルは恋愛をしてはいけないという雰囲気がありますが、そのアイドルを応援しているはファンはメンバーに対して恋愛禁止を求めていないことがわかりました。裏を返すと、恋愛スキャンダルで騒いでいるのはファンではなく、炎上が大好きな焚き付け屋であると言えます。メンバーに恋愛禁止をファンが求めていない以上、周りが騒ぎ立てるのは不可解な話だと言えます。恋愛禁止という虚像がアイドルの側も世間をもある種の錯覚に陥れているのかもしれません。これからの時代、アイドルにも変化が求められるでしょう。

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