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【絵画によせて/詩】NO.3


Title: View of a Country House
Artist: Anonymous, French, 19th century
引用元:https://www.metmuseum.org/art/collection/search/349093?sortBy=Relevance&ft=Anonymous%2c+French%2c+19th+century&offset=120&rpp=40&pos=126


穏やかで静かな真昼
控えめな鳥たちの声
遠くから人たちの声

何者でもない私がお屋敷を視ている
端正な建物に居るのはやはり端正な者だろうか
その者達は何処に行っているのだろう
どんな顔をしているだろう
内部での生活はどうだろう
どんな会話がなされているのだろう
何者でもない私には
端正な者のことは及びもつかない

穏やかで静かな真昼
控えめな鳥たちの声
遠くから人たちの声

以前として耳に届く声は
ここの住人ではないと直感が言う
屋敷の主人は
ぽっかり空いた永久の穴にうっかり落ちて
存在そのもが消えてしまったような
生活感が欠落し生気の滲みもない
ほんとうに何処に行ってしまったのだろう
無人が屋敷の存在条件に思えるほど自然だ



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