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すさまじい運動量で闘う人を見た日(2023年2月26日、新日本プロレスを観戦して思ったこと)

お祭りだー!!

 メキシコのプロレス団体CMLLの選手たちを招いて行われたFANTASTICA MANIA 2023。
 人間ができる動きなのか?! と驚きっぱなしの試合尽くし。
 初めて見るCMLLの選手たちは、プロレスの技のみならず、衣装や動きも見ていてワクワクする。リングアナウンサーのスペイン語と鳴り物の音が、メキシコに来たような感覚をくれる。さらに会場ではタコスとビールの販売まであって、五感全てで楽しめるようになっていた。
 まさにお祭り!!

レポートではありません

 試合の感想はもう、「すごかった」「あんなに飛ぶか?!」「あの技なに??」……この調子ではレポート書くのは向いていないようなので、思ったことを中心にまとめることにする(プロレス有識者な友人の解説を受けての考察です)。

 CMLLと新日本プロレスの選手が入り乱れての試合は、いわばプロレスによる異文化交流でもあるだろう。
 異文化交流で避けては通れないのが、言葉の壁。政治やビジネスの外交だと、乗り越えるのにそれなりに苦労する壁と思われる。
 でも、プロレスという技や動きや装束での表現も可能な形式なら、言葉がわからなくても「面白い」「かっこいい」「すごい」と心が動く。

〈異なる文化を交換する行為には、必ず摩擦と抵抗が生まれる。〉
 と述べたのは、映画監督の押井守氏。
〈摩擦や抵抗を持つからこそコミュニケーションの動機が生まれる。〉
 と続く。

 CMLLと新日本プロレスの選手が入り乱れての試合は、メキシコと日本の交流であり、文化の交換でもある。試合であるから、文字通りぶつかり合う。摩擦も抵抗もある。
 その摩擦や抵抗が、「何あれ、かっこいい!」「何それ、面白い!」につながる……そう、見えた。
 外交なら、「何でそう言うのだろう?」という理解困難(摩擦)を克服して理解するために努力するのが、コミュニケーションをとる、ということになる。
 プロレスの場合は、リング上の選手同士のコミュニケーションのみならず、選手と観客とのコミュニケーションもある。
 観客の私は、スペイン語がわからなくても、CMLLの選手たちの戦いぶりを見て「何あれかっこいい〜!」とワクワクし、声援を送ることができた。
 選手同士だと、「そういう技で来るなら、これはどうだ!」と返しているのだろうか。

 歴史的背景として、メキシコのプロレスのテクニコ(ベビーフェイス)とルード(ヒール)は、メキシコとスペインの構図を反映していたという。それもまた、異文化を交換してきたということなのだろう。

 プロレスは、言葉がわからなくても楽しく観られる。
 言葉もわかったら、もっと面白いのだろうな。
 そんなことを思った試合だった。

 さて、次はどんな試合を観られるかな。

参考文献

 本文中の〈〉内の文章は以下の文献より引用しました。
 押井守『コミュニケーションは、要らない』(幻冬舎新書)

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