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80年代を彩ったオーケストラル・ヒットとゲートエコー

80年代を代表する2つのサウンド

80年代の音楽が軽視される一つの理由として、時代を感じさせる音作りがよく指摘され、その代表格がオーケストラル・ヒットとゲートエコー(もしくはリヴァーヴ)。でも私はこの2つが大好きでして、今でもよく聴いております。ということで懐メロとしてぜひお楽しみください。

オーケストラル・ヒット

「ジャン!」と短くなる音が特徴のオーケストラル・ヒット。てっきりトレバー・ホーン(バグルス、イエス、アート・オブ・ノイズなど)の発明かと思ったら、アフリカ・バンバータの「プラネット・ロック」が最初らしいです。

Afrika Bambaata & The Soulsonic Force "Planet Rock" (1982)

ヒップホップの創始者とも言われるアフリカ・バンバータですが、もっと再評価されていいと思います。「プラネット・ロック」はクラフトワークの「ヨーロッパ特急」をサンプリングしていることでも有名。

Yes "Owner of a Lonely Heart" (1983)

一般にオーケストラル・ヒットが知られるようになった代表曲というとやはりイエスの「ロンリー・ハート」。もちろんトレバー・ホーンのプロデュースですが、一説にはABCの「ルック・オブ・ラヴ」をプロデュースしているときに思いつき、自身のプロジェクトであるアート・オブ・ノイズでの実験で完成させてイエスで使ったとか。

The Art of Noise "Close (To The Edit)" (1984)

そのトレバーによるアート・オブ・ノイズの代表曲。元々は前年のミニアルバム"Into Battle"に収録された"Beatbox”の派生曲。実際の音作りにはメンバーであるJ.J.チェザリック、ゲイリー・ランガン(後にプロデューサーとしても活躍)、アン・ダドリー(ゲイリー・ランガンと共に1982年のマルコム・マクラレン"Duck Rock"にも参加)の力が大きかったそうです。

Paul Young "I'm Gonna Tear Your Playhouse Down" (1985)

オーケストラルヒットのもう一つの代表曲というとデュラン・デュランの"A View to A Kill"なんでしょうが、あえてこちらを。アン・ピーブルズの1973年作のカバーで、プロデューサーのローリー・レイサムが相当癖のある音作りをしています。印象的なベースラインは名手ピノ・パラディーノ。

ゲートエコー

厳密にはゲートエコーとリヴァーブ(さらにコンプレッサーを使った音?)って違いらしいのですが、よくわからないので、とりあえずバッサリドラムの残響音を切ったサウンドと理解してますが、当時は多かったですね。

Peter Gabriel "Intruder" (1980)

プロデューサーのスティーブ・リリーホワイトが生み出したと言われるこのサウンドがフルに使われた最初はピーター・ガブリエルのサード・アルバムから。これは本当に衝撃的とも言えるサウンドでした。

XTC "Respectable Street" (1980)

ピーター・ガブリエルの次に出たのがXTCの"Black Sea"。ドラムスのテリー・チェンバースが元々パワフルな音を出せる人だっただけに、相性は抜群。

Phil Collins "In The Air Tonight" (1981)

ピーター・ガブリエルのアルバムでも叩いていたのがフィルで、彼はこの後のソロ作でも延々とゲートエコーを使っていきます。中でもこの曲はドラマチックな使い方がされています。

Kate Bush "Hounds of Love" (1985)

ケイト・ブッシュのスマッシュヒット作。ケイトはその前からオーケストラル・ヒットやゲート・エコーを使っていましたが、この曲がその完成形。

The Power Station "Some Like It Hot" (1985)

ゲートエコーはパワステサウンドとも言われていた時期がありました。従来の使い方よりもよりファットな音が特徴。関わったのはシックのバーナード・エドワーズ。ロバート・パーマーはこの音を気に入ったのか、自身のソロ作"Riptide", "Heavy Nova"でも使用。

おまけ:YMO "U・T" (1981)

おそらく日本で最初期にこの手のドラムサウンドを意識したのがYMOで、トレバー・ホーンやスティーヴ・リリーホワイトとは別ルートで彼らが編み出したサウンドではないかと(アフリカ・バンバータは彼らからの影響を言及している)。この曲は後にハードコア・テクノの原型といわれた曲。




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