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夏祭りの夜はふけて

僕自身が夏祭りを楽しんだのは、おそらく小学校6年生までだ。
中学受験を控えていろんな時間的制約が多い中で、「気分転換」という題目を掲げてやっとの思いで地域の商店街や夜の小学校で開催されている盆踊りを見に行く…。そんな記憶が残っているものの、いつしか豪華景品が決して当たらないクジのからくりや、リンゴアメが美味しくないことに気づいて足が遠のいてしまった。

確かお祭りの屋台で金を使うくらいなら、ゲームセンターで遊ぶ方を選んでいたと思う。

そして僕がふたたび地域の「どってことはない」夏祭りに参加するようになったのは、子供たちが生まれてからだ。東京都国分寺市の地域住民による手作りな夏祭りです。そして子供たちを連れて夏祭りに行くようになって、「ああ来て良かったな」といつも思う。

実際、つまんない夏祭りです。地元のコミュニティーでかき氷や焼き鳥とかのお店を出していて、かき氷も綿菓子も100円。ヤキソバは200円だが、モツ煮やおでんも100円で、生ビールは250円。焼き鳥は1本100円だが、4本買うと360円になる。テキ屋が入っていないので、昭和50年ごろから価格が固定化されているような気がする。だから僕の子供たちは、テキ屋が入っている大國魂神社とかのお店を見て、「ねえ、あれ悪い大人の店なの?」と真顔で聞いてきたりします。いやかき氷350円、タコ焼き500円は一般的な価格だと思うけどね。国分寺のお祭りが安すぎるんだ…とかいいながら。

さて。

子供が二人(小学校5年生と2年生)を育てているこの年になって、「夏祭りも楽しいねえ」とようやく思えるようになってきました。見世物小屋もなければ浴衣美女もいない、かき氷100円の普通の夏祭りが…です。

何年も通っていると、参加する子供メンバーが分かってきて、毎年の成長が面白くなってくる。今年は同じ校区の双子の女の子が、別々の浴衣を着ていて艶やかでちょっとビックリしたり、ママ友の中学1年生になった男の子が今年初めて法被を着て、運営側に回っていたり。
意外と高校生風の女の子たちも遊びに来ていて、「もっと楽しいことないのかなあ?」といらない心配をしたり(笑)。

夏祭りが楽しいというより、来ている人を見るのが楽しい感じですね。

幸いにも僕は、20代は恋愛に、30代は二人の結婚生活に、40代は生まれた子供たちに「ラブ」をつぎ込んで、楽しい時間を過ごせてきた。50代も子育てで、子供が独立した60代は孫が生まれてペットとか飼ったりして、その後は孫とかペットとかにラブの対象が移るんでしょうね。

世界を変える勇者にはなりそこなったみたいだけど、まあこういう人生も悪くないですな。


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