「私は読書が趣味の人間です。」

私は本が好きだ。
自分にない世界がそこには広がっているし、
文章を通して作者のもつ世界を覗き見ることができるから。

私は日本語が好きだ。
日本語を読みながら頭の中で流れる音の響きが心地いいから。
表現が一筋縄ではいかなくて難しいのに、
不意に、理由なんて説明できないのになぜか、なんだか好きだなぁと思わされる言葉に出会えるから。

私はだいぶ本を読むのが好きな人間で、
何かまとまって時間が取れたら何かしらの本を読む。


昔、両親に古本屋で買ってもらったちびまる子ちゃんの小説を読んだその時から私は文章を読むことが好きだ。
たくさん本を、いろいろな文章を読んできた。


でも。

私は、本を選ぶことが苦手だ。

自分で選んでも、人のおすすめを聞いても、
好きだと思えるものにはなかなか出会えない。何かが違う。


最近、本屋に行く機会が増えた。
どこかに出かけるたびに、その場所にある本屋に寄るようになった。

これは交通費を払うならできること全部やって帰った方が得じゃね?というケチな性格が出ているだけなのだが。

自分は高校生であり、
部活と勉強に追われる日々でバイトをする余裕などない。

つまるところ慢性的にお金がないのだ。

交通費でさえケチるくらい、お金がないのだ。

だから本屋に行っても買うものはないし、
図書館に頼りっぱなしで本を読んでいる。

ある日本屋で読みたくなったその欲を抑えるために、
気になった本をとりあえずメモっておくことを思いついてしまった。


お金を出すからには損をしたくない。
だから自分で買う時はあらすじを読んだり、作者の情報を調べたりする。
けれど、お金は出さないから選び抜く必要はない。

あらすじは読まず、タイトルと装丁だけで気になった、
なんとなくいいなと思ったものをメモっていくだけ。

そんな不思議な習慣が出来てしばらくして、
案の定、「とりあえず」は「とりあえず」で済むわけがなく、
読みたい本は山積み、部活と勉強と睡眠の時間を削って本を読み始めた。


面白いことに、
自分で選び抜いた本よりも
なんとなくいいなと思って選んだ本の方が楽しめるのだ。

元々の期待値のおかげなのか何なのか…
自分がなんとなくいいなと思った本は面白いのに、
人に勧められた本やじっくり選んで買った本ほど何かが違う。

選び抜いた本でも面白いものはあるが、
なんとなく選んだ本は特に縁を感じて素敵だなと思う。

いつか大人になったら、
なんとなく良いなと縁を感じた本を、
今の私が図書館で借りて読んでいる本たちを自分の家に並べたい。


私は読書が好きだ。
なぜか、なんとなく選んだ本の方が好きになるらしい。


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