見出し画像

ヤバい奴に会った

昨日「噛みあわない会話と、ある過去について」という本を読み終えた。短編集だが題名のテーマに沿った短編集。短編集の感想を書くのは困難だ、全体を書くとなんだか感想がぼやけてしまう気がする。なので初めの一編だけ感想を書いてみる。

「ナベちゃんのヨメ」

ざっくりあらすじ

”大学時代のコーラス部の仲間、ナベちゃんから結婚報告のメールが届く、その文面からヨメがヤバい人ではないかと他のコーラス部の仲間が言う”

ざっくりかんそう

”街にいるヤバい人には関わりたくないけど、檻や柵があれば眺めておきたい感情、みんなあるよね?”





ナベちゃんのヨメからでてくるヤバい人オーラは、誰もがどこかで会ったことのあるようなヤバさが妙にリアルで記憶の隅を刺すイメージ。むず痒く、インパクトがある人間だった。

コーラス部は女子の比が高く、ナベちゃんは男を感じさせない友達。良い人認定されてみんな仲良くしてくれるが、性欲が爆発しそうな大学生の男子としてはたまらない環境だったと思う。そんなことも薄々感づきながら、したたかな女子たちは、ナベちゃんを共有のものとして取り扱う。狡さ酷さがあり、それは女子率が高い環境の宿運みたいなものなのかなと感じた。

ヨメのヤバさが湧水のように溢れてくる。ただナベちゃんは変わらず、良い人なのだ。周りからすればナベちゃんは変わったと思うだろうが、人はそれぞれ色々な世界を持っている。その世界を邪魔されたくないだろう?だったら邪魔しちゃいけないわな。

ナベちゃんは周りが見えていないわけではない。周りを見ようとしないわけでもない。自己の世界を守りたいのだ、それでいい。そう思った。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?