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救急現場での対応『心筋梗塞』編

心筋梗塞とは

心筋梗塞とは、心筋が、血液の供給不足によって壊死する状態のことです。
これは、主に冠動脈の閉塞によって起こることが多いと言われています。

要するに、血の塊(血栓)が、心臓の大きな血管に詰まってしまって、心臓の一部が腐って動けなくなる。みたいな感じってこと。

心筋梗塞をちゃんと知りたい人は、ネットで調べてみてねw

では、救急現場での対応について、順に話していきますね。

※あくまでも心筋梗塞をメインに考えている活動です。
もちろん他の疾患なども考える必要がありますので、ご注意ください。


活動の流れ

救急活動の流れは『119番通報』『出動途中に内容を聞く』『現場到着して活動する』『病院へ搬送する』となっています。

なので、現場に直接関係しているのが、『出動途中に内容を聞く』からとなるので、そこから話をしていきたいと思います。

指令内容

救急車に乗り込んで、現場の『家』に向かう間に、通信指令員から情報が来ます。その指令内容から、考えてみましょう。

『64歳男性。突然の胸痛を発症。動けないため救急要請』とこんな感じの内容が届きます。

では、この内容からどんなことを考えますか?

まずは、『若い』です。『64歳とおじいちゃんやん』と思うかもしれませんが、医療の世界では60代は全然若いです。w
そして『男性』ですね。疾患によっては、好発年齢や、女性の方が多いなど、特徴がありますので、『年齢』+『性別』は大切です。
今回は、『若い男性』となります。心筋梗塞では、わりかし若い人もなるイメージが強いです。なので、『若いから大丈夫でしょ』ではなく、『若くて胸痛はやばいかも』と思うことが大切です。

次に、『突然』です。実はこの『突然』が非常に重要となります。
心筋梗塞の特徴として、『突然痛くなる』があるので、突然というキーワードは非常に大切になります。
もちろん、中には徐々に痛みを発症する人もいますので、注意してくださいね。

最後に、『胸痛』です。これはなんとなく『やばい感』はあると思いますが、胸痛といっても、色々な種類があります。
例えば、『ちくちくする痛み』『違和感がある』『締め付けられる』『重い感じがする』など、胸痛でも様々なパターンがあります。
今回の心筋梗塞では、『絞扼感』と言って、『心臓が締め付けられるような痛み』が特徴です。なので、現場に着いたら、『胸が痛いですか?』だけではなく、『痛みの性状』を聴取することが重要となります。
あと、『重い感じ』も嫌な感じがします。傷病者によって表現が変わるので、注意しましょう。

まとめると、『若い男性』『突然発症はやばそうだな』『胸痛の性状によってはヤバいかもな』ということが考えられます。

この指令内容でどれだけ考えを持てるかが重要となります。現場についてから、『何聞こうかな?』と考えている時間はありませんので、しっかりと指令内容から脳ミソをフル回転して考えましょう。

持っていく資機材としては、AEDは必須ですね。到着したらCPA(心臓が止まっている)となっている可能性は十分にあるので、気を付けましょう。
なので、CPAでも活動できる資機材を持っていくことがオススメです。

現場到着

救急車を止めた位置から、家の中に入り、傷病者を見るまでの間にも、色々と考えることがあるのですが、今回は割愛させていただきます。また、違う記事で詳しく説明したいと思います。

1 初期評価


傷病者に接触したら、まずは『初期評価』です。
※初期評価にあっても、違う記事で詳しく説明します。
意識状態や呼吸、脈拍などを観察しましょう。

心筋梗塞で注意する初期評価は、『呼吸数』『脈拍』『血圧』となります。これらは『ショック状態』かどうかがわかるためです。
※ショック状態に関しては違う記事で説明します。

心筋梗塞の傷病者のバイタルサインは、経験も踏まえると、意識レベルは清明、頻呼吸、頻脈、血圧低下、SpO2は正常値。というイメージが強いですかね。
心臓が止まる手前ぐらいヤバイと、意識レベルが低下している可能性はありますが、経験上、心筋梗塞疑いの傷病者で意識レベルが低下している人は少なかったと思います。
SpO2 に関しても、心臓がヤバイだけで、『肺』がヤバイと言うことではないので、数値が下がっているイメージは少ないですね。もちろん数値が低下しているなら、酸素投与も考える必要がありますね。

2 観察・問診

心筋梗塞の特徴を理解し、観察や問診を行いましょう。
特徴的な症状は、『胸痛の絞扼感』『放散痛』『突然発症』『胸痛の持続時間』『ST上昇』などです。

胸部の絞扼感』は、指令内容でも話をしましたが、『締め付けられるような痛み』ということです。『心臓が締め付けられるような痛みですか?』と問診をしても、傷病者は『どうゆうこと?』というような反応をします。これは今回だけではなく、他の症例でも同じですが、『医療用語』や『難しい言葉』は通じませんので、気を付けましょう。私は、『心臓がギューッとされる感じですか?』など、だいぶんかみ砕いて問診していました。
ここでポイントです。傷病者は苦しくて、話をするのも苦しい状態です。なので、問診の方法として相手が『YES』『NO』で答えられる聞き方をしてあげると、傷病者も楽ですし、問診のスピードも速くなります。

放散痛』は、心臓が痛いのになぜか他の場所も痛いってやつです。心筋梗塞で多い放散痛は『左肩』と『歯』です。これも、『左肩痛いですか?』と聞くと『最近五十肩で・・・』と言われます。これまじですw
なので『胸が痛くなってから左肩が痛くなりましたか?』など問診には工夫が必要です。ちなみに、右肩の放散痛も出るので注意してくださいね。
経験上では、『放散痛』は出ていない人の方が多いイメージです。なので、放散痛が無くても心筋梗塞を疑いましょう。

突然発症』は、テレビを見ていたら突然痛くなった。など、いきなり痛くなることです。もちろん、朝起きた時から違和感があった。ということもありますが、いきなり痛くなるイメージが強いです。

胸痛の持続時間』は、20分以上続く胸痛・・だったかなw 心筋梗塞の傷病者は結構痛がってるイメージが強く、さらにずっと痛いといった状態が多いです。狭心症では、収まってきた。という感じ多いので、『ずっと痛い』というのはキーワードになるので、聴取しましょう。

ST上昇』は、心電図を付けることで判断できます。詳しい波形は別の記事で説明しますが、ST上昇を見つけたら『ヤバイ』と思ってください。
現場で心電図を貼るのか、車内収容して貼るのか問題は、正直答えはありません。どちらもメリット・デメリットがあるので、難しいとことです。この辺りも別の記事で説明しますね。
あと、ST上昇にあっては、日常的にSTが上昇している人もいます。この辺りは、医師が判断してくれるので、いいのですが、とりあえず現場でST上昇を見たら『ヤバイ』と思った方がいいと思います。

3 処置・搬送・医療機関


処置にあっては、Spo2値が低下してる場合は酸素投与を行いましょう。最近では色々な研究から、Spo2値が異常でなければ酸素投与しなくてよくね。という内容も出てきています。まぁこの辺は、私の脳ミソではわかりませんwごめんなさい。ただ、私は、SPO2値が低下していれば酸素投与をしましたが、異常値でなければしていませんでした。現場では、この後に、『搬送』することが絶対です。なので、酸素投与をすると搬送する際に荷物になることや、そもそも酸素投与をしている時間がもったいないという観点から、異常でなければ酸素投与を行っていませんでした。

搬送にあっては、傷病者は基本的には座位で苦しがっているイメージが強いです。無理に仰臥位にさせずに、傷病者の楽な体制を維持しながら搬送してあげてください。

医療機関にあっては、もちろん対応可能な三次医療機関がBestだと思います。あとは、地域によっては、『心臓はA病院』みたいにある程度決まっているところもあるので、その地域に従ってください。

医療機関

現場からの電話連絡については、また別の投稿で説明しますね。

医療機関としては、心筋梗塞の傷病者に早くカテーテルをしたいと思っています。正直私も詳しくはわかりませんが、早くカテーテルをした方が予後がいいと言うことから、心筋梗塞を搬送すると結構バタバタしています。
なので、逆に言うと、『この人心筋梗塞の確率高いですよ』という情報を申し送りや病院連絡の際に言うことが重要となります。
例えば、絞扼感がある胸痛で、放散痛もあります。なんならSTも上昇してます。など『この人心筋梗塞やん』と思えるようなキーワードを早めに伝えることが重要になります。

まとめ

心筋梗塞は、心臓の血管が詰まって『やば~い』病気。
若い・突然・胸痛などから現場についたらどんな行動を取るのかを考えておくこと。
初期評価では、ショック状態かどうかを判断すること。
観察・問診では、キーワードについて聴取・観察を行うこと。
そして、それらの情報を医療機関に伝えることで、早く治療を開始してもらえるように活動すること。


初めての記事なので、『がっつり』書いてみましたが、実はいうと、細かいことまで言い出すとこれの倍ぐらいの量になると思います。w

とりあえずはこんな感じで行こうかなと思ってます。
もっとこうしてほしい、こんなことも話してなどありましたら、気軽にコメント等してください☆

では、今日はこのへんで~


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