雨のまにまに

教科書をわざと忘れたその訳は隣に君がいてくれたから

傘のない濡れる背中を追いかけて影が重なる雨の随に

向き合ってはじめて気付く利き腕が同じ左で動きが止まる

サリンジャー、フィッツジェラルド、カポーティもわからないのと打ち明ける君

ゴンドラが一回りするその間君は黙って空を見ていた

暮れなずむ空に隠れる星々の淡い光を探るみたいに

何故だろう夢での君は悲しげで手を伸ばしても擦り抜けてゆく

手に触れるこの雨粒は幾年の時を経ここへ舞い降りたろう

この世界この宇宙と比べれば人生は一瞬の煌めき

"Hey Jude"彼方で疼く思い出もいつかは消える雨の随に