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『ベルサイユのばら』日本史オタクが気になるあれこれ

※ベルサイユのばら、マステ。「幼少編」で、子どもの頃のオスカル・アンドレ・マリーアントワネットが描いてあります。

日本史オタクの私が、フランス革命期を描いた『ベルサイユのばら』にドハマり。そうすると、「日本だったら?」という視点で見る箇所もあり、いろいろなところが気になります。
 
ちなみに1789年フランス革命のころ、日本は江戸時代中期。11代将軍徳川家斉の治世、老中松平定信による寛政の改革(1787~1793年)が行われていました。幕政の立て直しはしつつも、厳しすぎる政策に多くの人々が不満を抱えます。それでも、大きな戦のないころ。
 
1、フランスが結果的に王政でなくなったのは?日本や英国などが現在もあるのは?

いきなりにして、大きすぎる疑問。でも、ベルばら読んだ私の根底の疑問は、これなんです。
 
2、日本で「革命」がないのはどうして?「乱」や「変」ならあるのに。

幕末の動乱を「革命」と言わないのは、なぜか?そもそも「革命」の定義ってなんだろう。
今まで気にならなかったことが、気になりました。
 
この2つは、簡単には考えられないですね。日本史オタクの私にとっての「当たり前」が、そうではなくなりました。
 
以下、軍事的なことがすごく気になりました。
 
3、剣が軽すぎる?

剣を扱うシーンが度々出てきますが、すごく軽く見えるのです。日本刀と違う、みたいな。『鎌倉殿の13人』『逃げ上手の若君』さらに『鬼滅の刃』まで見返していると。
日本刀は、片手で持つこともありますが、振り下ろすときは両手を使います。でも、剣は常に片手。左手が空いているのです。フェンシングみたい。日本刀はかなり重いんだろうな。

4、剣より銃?

単行本8巻、バスチーユ監獄の襲撃。涙なしでは読めないのですが、ここでも違和感が。オスカル達は剣を持っていますが、戦闘に使うのは銃。軍人として剣は持つし、訓練もするけれど、もはや実戦向きではないということ?
 
5、大砲使っているけど

さらに、バスチーユ監獄の襲撃。大砲を打っていますが、それにも驚く私。日本で目にするのは、幕末だから。100年前から、フランスでは使ってたんやー!!
いやいや、そのころから使っていたから、幕末には日本に入ってきたんだって。
 
6、どんな湿布使っていたの?

ゆるいテーマになりますが。単行本2巻、暴走した馬に乗ったマリーアントワネットを助けるために、フライングゲット?してケガを負ったオスカル。ばあや(アンドレのおばあちゃん)に、湿布を取り替えるから、アンドレにフェルゼンを連れて外に出るように言います。これで初めてフェルゼンは、オスカルが女性だと知るのですが。

で、当時の湿布ってどんなんだったの?使い捨てじゃないよね?温湿布?それとも冷湿布?
 
7、アンドレを養子か婿養子にして、跡継ぎ問題解決にならないの?

女の子しか生まれなかったジャルジェ家。だから六女をオスカルと男性の名前を付けて跡継ぎにすることにしたけど。これ、お父ちゃん(あえてこう言う)の苦し紛れの策ですよね。後になって、オスカルを結婚させようと画策するから。そこに親心があるけどさ。

8歳のアンドレを引き取って、オスカルの遊び相手兼お守り役にしたわけだけど。この時点で、お父ちゃんは養子にしようと思わなかったのかな?願ってもいない男の子が目の前に現れたわけだし。

で、後々お父ちゃんはアンドレに「お前が貴族でさえあったら…」」と言います(単行本7巻)。この後に続くのは、「結婚させるのに」だと思います。アンドレを、オスカルのお姉ちゃんの嫁ぎ先の養子にして「貴族」として(戸籍ロンダリング?)結婚させることはできなかったのかな?
ジャンヌもそんな感じで抜け抜けと貴族の令嬢になっていたよね。日本も昔からやっていたけど。

何にせよ。お父ちゃんは、アンドレを大切にしていたと思います。実の息子のように。オスカルの側に仕えても引けを取らないように、教育もしっかり受けさせていたんじゃないかな。

お父ちゃん、フランス貴族のなりをしていますが、内面は良くも悪くも「昭和の日本のお父ちゃん」

8、身分制度は単純じゃない?

絶対王政期のフランスは、2%の第一身分と第二身分(貴族)と、98%の第三身分(平民)からなります。第三身分は重税に苦しめられて…、この構図がフランス革命へとつながります(簡単すぎてすみません)。

しかし、こんな単純な構図かな?と気になりました。日本でも、貧しい暮らしをしている武士、豊かな暮らしをしている農民や商人もいるから。

これは、アンドレとアランの会話で分かりました(単行本6巻)。
貴族社会で生きて、生活の不安のない平民のアンドレ。悩みは、想いを寄せる伯爵令嬢のオスカルと、釣り合う身分ではないこと。貴族であるアランに、アンドレ「…てめえはそれでも貴族じゃねえか(以下略)」とふてくされた発言を。
アラン「知っているか?貴族だって平民以下のくらしをしている貴族だってあるぞ。寒い吹雪の夜もおなかをすかせて、身をよせあうことしかできないおれたちの妹やおふくろのことを」と強く言い返します。
アンドレはハッと、なって謝ります。まあ、人間ができていること。
 
やっぱりそうだよな、と思いました。
幕末の日本だと、渋沢栄一は農家出身ですが、豪農だったので生活に困ることはなかった。それでも武士になりたいと思った。
三菱の創業者岩崎弥太郎は、地下浪人の家に生まれました。武士とはいえ、子どもの頃は極貧生活。

その後2人共実業家として、大成功を治めますが苦労も葛藤もたくさんあったと思います。なんだか、アンドレ=栄一、アラン=弥太郎のようだなと思いました。
 
国や時代を問わず、身分と生活レベルというのは、必ずしも比例しないことを実感しました。だからそれが葛藤となり、争いに発展するのでしょう。

きちんと勉強しとけ、細かいこと気にせず読め。と言われればごもっともですが、いろいろ気になるんですよね。

ベルばらの18世紀フランスの世界を見ることで、日本の歴史というものが、客観視できたなと、感じています。

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