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石川県能登地方へ建物損害査定に赴く★

 私は、保険業界にいる者ですので、今回の石川県能登半島地震による建物等の被害の地震の保険についての損害査定に行ってまいりました。

 日曜日に入って、土曜日に戻るという体制で、全国からの動員者によって構成されており、私もその一員として、実際に建物や家財等について実地調査をしてまいりました。

 新幹線で、金沢に入りましたが、金沢駅周辺は、観光客でごった返しており、とても地震の被害があったとは思えない状況です。

 特に、欧米系の観光客が多いように感じました。石川県は、ちょうど桜の満開の時期を迎えており、日本の象徴である桜の花を観に来た観光客も多いのでしょう。

 金沢駅から、レンタカーで、能登地方に入りましたが、すぐには、どこが被害に遭ったのかなと感じられるような状況でしたが、北進するにつれ、だんだんと被害状況が目に見えるようになって来ました。

 私は、和倉温泉の有名な旅館である加賀屋のある七尾市というところで、建物査定を行いました。

 私は、和倉温泉より、少し南側で、損害査定を行いましたが、そのあたりは、幸いにも、水は2月には通じていたそうですが、残念ながら、和倉温泉そのものは、査定時点で、水が止まっており、その加賀屋旅館も休業中とのことでした。

 私の査定した七尾市内は、比較的、市の中心部に近いところでしたが、明らかに全損と思われるような完全倒壊した建物も見られる一方、基礎等もしっかりして、一見、どこが被害に遭ったのかなと思われるような家もあり、家々により、被害の状況がかなり異なりました。

 私の行った地域は、田んぼを中心に農村風景が広がるような-もし、地震がなかったら、ものすごく穏やかな情景であったろう-素敵な土地でした。

 農村地帯でしたので、昔ながらの瓦葺きで、部屋と部屋との間に壁があまりなく、ふすま等で仕切られているお宅が多い印象でした。

 で、そのふすま等が、かなりやられており、また、土壁の家も多く、壁の損傷もかなりひどい家が多かったです。また、瓦の損傷も結構な状況でした。

 自分が家を建てたときの印象からすると、家の四隅や、部屋と部屋の間には、必ず“はすかい”という斜めの柱も入った壁を入れて、耐震強度を保つようにするという教えを施工業者から言われていましたので、そういう点からすると、このような壁の部分の少ない作りのお宅は、残念ながら、地震には弱いなと思いました。

 また、瓦も地震には弱いですね。瓦が割れたり、落ちたり、ずれたり、また、瓦自身が重いため、屋根が落ちたりもしていました。

 地元の人も、これから建てる家は、瓦はダメだと言っていました。
 ※ちなみに、東日本大震災で被害を受けられた地域の人たちも、瓦にはまいったようであり、以後、新規に建築された方のかなりの人が、瓦を避けられたようです。

 また、家々には、ものすごく立派な仏壇があり、聞くと金箔の施工がされており、○百万もする品ということでした。ときに、金箔を張り替える必要があり、それにも大変なお金がかかるとのことでした。このランクになると、美術品というか、工芸品というかのレベルになるのでしょうね。

 契約者の方々は、困難な中にも、いわゆる“こすい方”は誰一人おらず、みんな文字どおり、本当に“いい方”ばかりでした。

 先週の金曜日は、天皇皇后両陛下が、隣りの穴水町能登町に来られていましたが、両陛下に会われた方は、涙を流して喜んでおられた人も多かったようです。満開の桜の花が大いなる歓迎の色を表しておりました。

 厳しい困難の中にも、前を向いて進む地域の人びとの姿に感銘を受けた一週間でした。

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