悲しみの後に、貧しさが来ないように…
もう何年前でしょうか。熊本で地震があった後の頃のことです。
※熊本地震は、平成28年(2016年)4月14日~16日に発生しています。
西日本にある父親の実家を継いだおじさん・おばさんの家を訪問した折のことです。
おばさんが、私が保険業界に勤務する者ということを知っていて、次のように尋ねて来ました。
「保険料がきついから、この火災保険(地震保険や風水災などの自然災害の補償も含んだもの)を止めようかと思うんだけど、どう思う?」
「熊本で地震が起きたばかりだし、あの余波がこちらでもあるかもしれませんよ。悪いことは言いませんから、継続された方がいいですよ。」と、私は答えました。
おばさんは、軽くうなずきましたが、私は、しばらくそんなことは忘れていました。
その2年後の平成30年(2018年)7月、西日本を豪雨が襲いました。
その際、父親の実家方面は、辺り一面、水没し、私に火災保険の継続について尋ねたおばさんの家も、1階はまるで泥水につかりました。
すぐ隣に用水路が流れており、どうしようもなかったみたいです。
豪雨後、ほどなくして、火災保険の査定員が到着し、被害状況の査定をし、保険金が下りたとのことでした。
おばさんは、ちゃんと私の言うことを聞いてくれていたようでした。
古い家でしたが、ほとんど修繕のお金は保険金でまかなうことができ、こういうときこその保険だと痛感したようです。
現実的な話をすると、その地域は、下水道が完備されていない地域であり、泥水の中には、汚水(糞尿)も含まれており、衛生面で大変問題があったとのことでした(>_<)。
別の親戚のおばさんも近くに住んでおり、やはり、家が泥水でつかりましたが、火災保険のおかげで、何とかなったということでした。
※この別のおばさんは、日頃の蓄財のおかげで、被害に遭った後しばらく、近隣の被害に遭っていないホテルで生活する余力もあったようです。こういう心がけは、私たちも見習うべきでしょう。
正に、この2人のおばさんは、「備えあれば憂いなし」の典型例であり、保険が役に立つべきときに、本当に役に立った実例です。
近隣には、死亡した人も多くいたようで、また、風水災などの自然災害に備えた火災保険に加入していない人も多くいて、その人たちの復旧の遅れも問題になったようです。
こういうときに痛感するのは、保険加入の本来的な目的なんです。次のような加入の動機付けがあります。
「悲しみの後に、貧しさまでやって来ないように、ぜひご加入をご検討ください。」
先のおばさん2人は、救われたのですが、おそらく、自分自身がそのような災害に遭われるということは、事前にはほとんど考えていなかったはずです。
しかしながら、「災害は忘れた頃にやってくる」のことわざどおり、予想もしない形で、家々は、泥水につかってしまいました。
保険って、生命保険も、損害保険も、「前払い」なんです。事故が起こってから、加入しようとしても、ダメなんです。ここに、人間の事故の可能性を想像する力があります。
「仮にこういうことが起きたら、経済的にこんなに大変だから、加入しておこうよ。」
厳しい言い方ですが、仮設住宅から離れられない方々は、保険に加入していなかったんでしょう。この現実をどう思われますか。
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