轢かれて死んだハクビシン

今生きてる命、山に生きてる命、都会で右往左往する命。

どうせ死ぬなら、とことん自然のまま…。

石油も電気もガスも使わず、お金を持ち合わせてなくとも生きていける野生になりたい。
死ぬ場所を探して彷徨い、
古い幹に寄りかかり死にたい。

おかしいだろうか?
人が海や森を汚しているのは、紛れもなく事実。
戦争で人以外にどれほどの命が犠牲になったことか。

朝起きて、暖房をつける。
電子レンジで朝食を温める。
トイレに消臭剤。
洗濯機に服と、洗剤やら柔軟剤を入れる。

車、もしくは電車で通勤。
生産と消費。

日が落ちれば、街には街灯と電飾看板で夜は逃げ惑う。

アスファルトとコンクリートの壁に囲まれて、吐き出す息は何処へ。

人一人生きていくのにどれだけのゴミを出す?

代わりに人一人が自然物をどれだけ生み出す?

それは等しい重さであるのだろうか。
世間的に落ちぶれちゃいけない。
やっぱり平均年収。

毎日やりたい事して、それに生活が伴えば万事オッケー。

どれもこれも、自然に生きるとは程遠い。

車に轢かれて死んだハクビシンは何処へ還ろうか。

どうせいつか轢かれて死んじまうくらいなら、
血と泥にまみれて、自然のまま…

生まれた場所へ還る旅路、
アスファルトに邪魔されてたまるか。

眠りにつくその時大きな地震が来て街が壊れる。見捨てられれば飢え死ぬさ。

車に轢かれて死んだハクビシンとさほど変わらない運命。じゃあ文句ひとつ言ってやるな。

おかしいだろうか?

今社会に生きてる人は少なからず自然破壊に加担してる。それを自分らの命は助けてくださいと言えようか?

愚かな人類の犯した罪を今生きてる人類が償うのだ。
好きなんだよ。森が、海が、動物たちが好きなんだ。青いままの空が、澄んだままの海が。

それだけでいいと思うのに。何がおかしいんだ。




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