モチベーションの起源__2_

モチベーションの歴史はここから始まった?今さら聞けないホーソン実験をご紹介

どうも、なべはる(id:nabeharuj)です。
ふとホーソン実験のはなしをしたくなるときってありますよね。というわけで、人材マネジメントの歴史で大きな転機になったホーソン実験を紹介します。専門家ではないので解釈ちがいなどあればコメントかリプライでご指摘ください。

モチベーションの起源、知ってますか?

突然ですが、人材マネジメント的な意味での"モチベーション"という(言葉ではなく)概念がいつ頃生まれたか知ってますか?
今となっては人材マネジメントを語るうえで働く人のモチベーションが考慮されないなんてありえませんが、実はモチベーションの歴史はまだ浅く、その概念が世に生み出されたのは100年ちょっと前のことなんです。
なにごとも、歴史や起源を知ることで見えてくるものがあると思うので(何よりわたしがものごとの起源や語源が好きなので)、今日はモチベーションという概念が生まれた出来事を振り返ってみようと思います!

人は合理性だけでは動かないことに気づいたホーソン実験

わたしが解釈するに、モチベーションという概念が世に生み出されたのは1924年から1932年に行われたホーソン実験です。
当時、1911年に提唱されたテイラーの「科学的管理法」が一世を風靡しており、業務効率化によって生産性、ひいては利益が向上するとされていた時代です。
そんな時代背景のなか、当初はテイラーの科学的管理法の思想の延長として、「ホーソン実験」が行われます。

アメリカはシカゴにあるウェスタン・エレクトリック社のホーソン工場にて行われたこの実験。作業環境が生産性にどのように関係するかを調べることを目的として行われました。
実験対象を少人数のグループに分けて、照明を明るくしたグループと暗くしたグループの生産性を計測することで、照明の明るさが生産性にどのような影響を与えるか?を調べたのです(実際には照明以外にも、作業台の高さや足場等さまざまな対照実験を行っています)。

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しかし、実験の結果は意図したとおりに出ませんでした。
照明を明るくしたグループと暗くしたグループのどちらも、実験前に比較して生産性が高くなったのです。更に、照明を実験前に戻しても変わらず生産性は高いまま…。
これは、作業環境以外のところに生産性を左右する要因がありそうだぞ…と実験者であるメイヨーは考えます。

そうして実験を重ねた結果、メイヨーは下記の結論に至ります。

【ホーソン実験の結論】
・実験によって作業員に関心が注がれること、それ自体が生産性に良い影響を与える
・管理者の人柄が親しみやすく、作業者に理解を示す態度をとると生産性は向上していく(管理者がただの監視に終始すると生産性の向上は頭打ちになる)
・生産性を左右するのは、物理的な作業条件や報酬よりも作業者どうしや管理者との人間関係が良好かどうかに起因する

こうして、モチベーションという概念が科学的な意味で世に生まれた、とわたしは解釈しています。
1911年にテイラーの科学的管理法によって、作業効率の向上と生産性が企業業績に直結することを明らかにした10数年後に、生産性は外部要因だけではなく人間関係やヒトの内面に大きく左右されることがホーソン実験によって明らかになったのです。

経営学や人材マネジメントの理論が、「ヒトは合理的に行動するもの」という経済学的な捉え方から脱却したともいえる、人材マネジメントの歴史のなかで非常に重要な出来事でした。

そして、ホーソン実験が終了した数年後にマズローの「5段階欲求説」が生まれ、マクレガーの「X理論・Y理論」がその思想を深化させ、ハーズバーグの「二要因理論」がそれらの理論を実証実験で裏付けしていきます。
メイヨーのホーソン実験が契機となって、こういったヒトの心理と経営学を融合した理論が発展していったのですね。

参考:エルトン・メイヨーホーソン実験 | 世界のビジネスプロフェッショナル 思想家編 | ダイヤモンド・オンライン

起源とか歴史って楽しい

以上、モチベーションが科学的な意味で世に出るきっかけとなったホーソン実験についてまとめてみました。
「生産性を高めるには従業員の内面も大事」という今となっては疑いようもない考え方も、当時は大発見だったのだろうと思います。しかもそれが、作業場の照度と生産性の相関という、モチベーションとはまったく関係のない実験から生まれたというのが胸熱です。

先端の理論や事例に触れるのも楽しいですが、その根底にはどういう思想があるのか?どういう歴史的背景があっていまの理論が有効とされているのか?を知ることで、ものごとの本質を見極められるかもしれません。いまでは当たり前のことと思っている概念や考え方も、数年先にはひっくり返される可能性だってあるわけです。

今日のところはここまで。お読みいただいてありがとうございました。

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