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ジャズ記念日: 8月3日、1957年@ロサンゼルス/ディズニーランド

August 3, 1957 “When You Wish Upon A Star” by Dave Brubeck, Paul Desmond, Norman Bates & Joe Morello at Los Angeles for Columbia (Dave Digs Disney)

前月に引き続き、月初はデイブブルーベックから。企画アルバムで、デイブブルーベックが、誰しもが聞いた覚えのある様々なディズニー曲をジャズに仕立てるという、ありそうで無かった斬新なアイディアを採用。

カリフォルニア州にある1955年の7月に開園したディズニーランドを家族と訪れた際に、そのアイディアを確信、その場から音楽プロデューサーに電話して実現したという。アニメやファンタジーといった、当時は子供向けが大半の作品群を恥じること無くジャズに取り上げてリリースに至らせたのは、レコード会社とブルーベックの大英断。

この作品が大ヒットした事を受けて、マイルスやエバンスらの大物が取り上げるようになり、ディズニー音楽がジャズスタンダードとして定着してゆく。

ディズニーゆえ、万人受けする大衆向け作品だが、これをジャズに組み合わせる発想は奇抜。
この発想を日本風に例えると、昭和の頃、子供向けの「みんなのうた」に登場する楽曲や「鉄腕アトム」といったアニメの挿入歌を、人気で実力者の演歌歌手が歌謡曲として歌う、というようなセンセーショナルな企画となる。因みに「鉄腕アトム」の放映開始が1963年だから、本作はその六年前というと、その冒険的な取り組みが伝わるだろうか。

本作品はピノキオの「星に願いを」を開放感に満ちたタッチで楽しげに演奏。前月の”Take Five”とは真逆に、ドラムは控えめに黒子に徹してリズムを刻み、ブルーベックとデズモンドのソロが存分に味わえる。デズモンドは所謂ビバップの固定された定番フレーズを駆使することなく、メロディー重視のアドリブ、ブルーベックはディズニーを意識してか、終始とても優しさに溢れる演奏となっている。このアルバムの曲目は以下。

"Alice in Wonderland"

不思議の国のアリス(1951年)

"Give A Little Whistle"
"When You Wish Upon A Star"

ピノキオ(1940年)

"Heigh-Ho (The Dwarfs' Marching Song)"
"Some Day My Prince Will Come"
"One Song"

白雪姫と七人のこびと(1937年)

「いつか王子様が」や「アリスインワンダーランド」といったお馴染みの曲です。このアルバムが起点になって、ビルエバンス、マイルスデイビスらの演奏につながってスタンダード曲化した。

ルイアームストロングに至っては、ディズニー曲集のアルバムまで手掛けている。

1968年に発売された本アルバムには
スタンダード曲の一つ、「メリーポピンズ」の
「チムチムチェリー」も収録

本アルバムのライナーノーツも記述したプロデューサーは、以下の作品等を手掛けた敏腕ジョージアバキアン。そして録音は豊作1957年の西海岸だが、同年6月のニューヨークでの録音も含まれているので、その比較も面白い。因みに西海岸録音は、本曲と"Heigh-Ho (The Dwarfs' Marching Song)"、"One Song"の三曲。

この日本版は、小曽根真による「ドラえもん」の歌の演奏。ジャズらしい素敵なアレンジと爽やかな演奏が印象的です。

さて、よく聴くと謎が気になるブルーベックの代表作はこちらからどうぞ。

最後に、同カルテットによるマットデニス作品集をどうぞ。

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