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【マシュマロ】キューブリックの音楽は凄い!

 マシュマロに質問を頂きました。

 キューブリック監督作品の劇伴は印象に残っているものが多々あります。

 『時計仕掛けのオレンジ』で、I'm Singing in the Rain♫を陽気に歌い、残虐な暴力行為を振るうシーンは圧巻の一言。 『フルメタル・ジャケット』のラスト、兵士たちがミッキーマウスマーチを合唱しつつ、ベトナムの地を蹂躙していく姿はトラウマものです。

 そんな中、遺作『アイズ・ワイド・シャット』の選曲センスは群を抜いて素晴らしい!

 わけがわからないと世間の評価は低いですが、わたしはキューブリック作品の中で一番好き。百回以上見ています。

 というのも、この映画、パートナーの不貞行為といかに向き合うかがテーマなのですが、ちょうど恋人の浮気が発覚したときに視聴して大ハマり。「そう! そう! そうなんだよ!」と繰り返し見まくったのです笑

 結果、キューブリックが劇伴で仕掛けた巧みな演出法を発見しました。

 例えば、冒頭、トム・クルーズとニコール・キッドマン演じる夫婦がいい関係を築けているシーン。その最初と最後を明示するかの如く、ショスタコーヴィチのワルツが二回流れます。仲の良さそうな映像に反し、いかにも怪しげな雰囲気で、夫婦の破綻を聴覚的に匂わせているのです。

 また、トム・クルーズが妻も自分を裏切る可能性があると知った後。じゃあ、俺も浮気をしてやると勢い込んでからはリゲティ・ジェルジュの難解な現代音楽が流れ始め、夢と現実の境目が溶解していきます。

 この映画、実は『夢小説』という原作があります。タイトルからして、過度なストレスで妄想を見るようになる話なのは一目瞭然。なのに、キューブリックは映画化する上で、そのわかりやすさを丸々カット。故に意味不明な仕上がりになっています。

 でも、唯一、劇伴だけは状況をわかりやすく説明する選曲を行っている。このあたり、キューブリック映画が難解なのに、なぜか面白いと感じてしまう秘密があるんじゃないかなぁと思っています。

 なお、劇伴について熱く語ってしまいましたが、普段、わたしはアイドルソングを聴くことが多いです笑

 南沙織からBTSまで、時代も国も性別も超え、あらゆるアイドルを応援しています!



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