綾野つづみ

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綾野つづみ

本が好き。ブルースカイも始めました。 https://bsky.app/profile/t-ayano.bsky.social マシュマロへの質問は: https://marshmallow-qa.com/sd38sr55pgvicx5

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【料理エッセイ】ジブリ飯より宮崎駿のサッポロ一番塩らーめんが食べたい! マジで!

 ジブリ飯が人気だ。『ルパン三世 カリオストロの城』のミートボールスパゲッティに、『ハウルの動く城』に出てくる厚切りベーコンと目玉焼きに、『天空の城ラピュタ』のドーラハムに……。どれもシズル感たっぷり。言わずもがな、みんな夢中だ。もちろん、わたしも。  ジブリパークのレストランだったり、居酒屋が非公式で再現したメニューだったりがSNSでよくバズっているし、賛否両論の『君たちはどう生きるか』もジャムパンに関しては美味しそうという点で誰もが手を握り合えるはず。それぐらい、ジブリ

    • 【読書コラム】とどのつまり、文体ってなんなのだ?! プロとアマチュア、男と女、人気のあるなし。その差はいったいどこにある? - 『数字が明かす小説の秘密 スティーヴン・キング、J・K・ローリングからナボコフまで』ベン・ブラット(著),坪野圭介(訳)

       高校生の頃、幸運にも、大江健三郎さんとお話しする機会を得た。最初、有名な小説家ということで、 「大江先生」  と、お声かけしたのだが、「先生はやめてくれ」と言われたことが印象的だった。 「大江さんと呼んでください」  当時、大江さんの初期作品にわたしはハマっていたので、どうしてこんな現実離れした設定を書くことができたのか、いろいろ質問させて頂いた。「そんなむかしの話を聞かれても」と言いつつ、大江さんは現実に経験した出来事がきっかけになっていると丁寧に教えてくれた。

      • 【映画感想文】目覚めたまま見る夢のように「失われた30年」が可視化されていく - 『悪は存在しない』監督:濱口竜介

         濱口竜介監督の新作が公開されると聞き、先日、ル・シネマのHPでチケットを買った。舞台挨拶の回がギリギリ残っていた。これはラッキー。でも、上映開始は10:20〜。朝、早く起きるのは苦手なので、寝ぼけ眼で渋谷に行ってきた。  東映プラザにポスターが貼られていた。可愛いタッチ。ただ、どことなく不穏。キャッチコピーもなんだか意味深。観る前と観た後で同じようには生きていけない映画になっているんだろうなぁ。そんなことを思いながら、エレベーターの列に並んだ。  で、実際、その通りの映

        • 【マシュマロ】男性が「稼ぐ性」から降りることは逃避なのか?

           マシュマロに質問を頂きました。 内容を読む限り、ここで言う男性・女性は生物学的な性ではなく、社会的な性、つまり、ジェンダーを意味していますね。 共働き世帯が7割に達したとはいえ、未だ、男性が外で働き、女性が家事や育児を行う方がいいというジェンダー・バイアスは残り続けています。 そのため、「稼ぐ性」という言葉が表すように、現代日本で男性として生きることは多くのプレッシャーを伴ってきました。 なにせ、健康的な肉体を育み、仕事でバリバリ活躍することが求められますからね。し

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        【料理エッセイ】ジブリ飯より宮崎駿のサッポロ一番塩らーめんが食べたい! マジで!

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          【ショートショート】退職代行の退職代行 (1,753文字)

          「お世話になります。私、退職代行サービス『やめたるわ』の岡本と申します。本日、貴社社員の岸様の退職通知の件で連絡させていただいております」  その電話を受けた島田部長は驚いた。 「おい。お前、正気か」 「はい。岸様から有給休暇消化後に退職希望の旨、お伝えいただいております。その上で退職の手続で必要なものがあればご指定ください」 「はあ。舐めてんじゃねえぞ」  島田部長は身体をわなわな震わせ、怒鳴り声をあげていた。そして、受話器を叩きつけるように電話を切ると、オフィス

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          【料理エッセイ】タケノコの季節! 近所の八百屋さんでアク抜き済みが安く売っているから、超超超超いい感じ

           タケノコの季節がやってきた。うちの近所には最強の八百屋さんがあって、アク抜き済みのタケノコを売ってくれている。しかも、100g100円とかなり安い。  一応、今年は豊作らしく、異例の安さとニュースでは言っている。100g38円という話もある。  ただ、皮付きのものは可食部が減ってしまうし、なによりアク抜きをしなきゃいけないのがめちゃくちゃ大変。  むかしはわたしも大きな鍋を用意して、ぬかと唐辛子を放り込み、長いことぐつぐつやったものだけど、面倒臭いったらありゃしなかっ

          【料理エッセイ】タケノコの季節! 近所の八百屋さんでアク抜き済みが安く売っているから、超超超超いい感じ

          【読書コラム】ピントが合わなかったのは、カメラを持つ手が震えていたから - 『ちょっとピンぼけ』ロバート・キャパ(著),川添浩史、井上清一(訳)

           先日、マシュマロでロバート・キャパの『ちょっとピンぼけ』を代わりに読んでほしいというメッセージを頂いた。書かれている内容をどう理解していいかわからず、ページをめくる手が止まってしまったんだとか。  存在は知っていたけど、読んだことはなかった。タイトルから勝手にキャパがどんな風に写真を撮っているのか、技術論だったり、精神論だったり、そういうことが語られているんだと想像していた。  で、Amazonで購入し、届いたものを読み出してビックリ。全然、そういう本ではなかったのであ

          【読書コラム】ピントが合わなかったのは、カメラを持つ手が震えていたから - 『ちょっとピンぼけ』ロバート・キャパ(著),川添浩史、井上清一(訳)

          【映画感想文】同性愛が病気扱いされていた時代をゲイとして、詩人として、孤独に生き抜いた長谷忠さん - 『94歳のゲイ』監督:吉川元基

           何年か前にYouTubeで見て、印象に残ったドキュメンタリーがあった。  同性愛が病気扱いされていた時代をゲイとして、詩人として、孤独に生き抜き、90代となった長谷忠さんの現在を撮影した作品だった。これまで語られてこなかった理不尽の数々に強い憤りを覚えた。  そして、このドキュメンタリーが映画となって、昨日、公開された。『94歳のゲイ』というタイトルで、追加の映像もあるらしい。  早速、見てきた。ポレポレ東中野は満員だった。  前半はテレビ版と同じだったが、改めて、

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          【時事考察】若者に増えている「静かな退職」とは? 突き詰めるとセネカの『人生の短さについて』に至り、むしろ、そうあるべきと思われてくるよ

           最近、若者に「静かな退職」と呼ばれる働き方が増えているらしい。具体的には、出世を目指さず、給料をもらえる最低限度の仕事だけをこなすというワークスタイルのことらしい。  字面だけ見ると、「静かな退職」ってこっそり会社を辞めることみたいだけど、そういうわけではないみたい。なんでも、アメリカでquiet quittingと名付けられ、それを直訳したから違和感のあるフレーズになっているんだとか。意訳すれば、「物言わぬ諦め」みたいな感じだろうか?  先日、この「静かな退職」につい

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          【ショートショート】イケメン投票 (2,296文字)

          「ねえ、真美。学年の男子で誰が一番イケメンだと思う?」 「うーん。誰だろ。山下とか?」 「ふざけんなし。そんなわけないでしょ」 「ははは。冗談、冗談。普通にタカシかな」 「タカシねー。みんな、そう言うよね」 「あるいはソウタかハヤト」 「出た。サッカー部」 「他にはタケルとユウキ」 「バスケ部ねぇ。わかる。わかる」 「てか、逆に、優子は誰がイケメンだと思うの?」 「え。わたし。わたしはねー。……山下」 「マジ爆笑。真面目に答えろし」 「ごめん。ごめん。

          【ショートショート】イケメン投票 (2,296文字)

          【料理エッセイ】怪しい自販機で謎の調味料スリラチャを買ってみた!

           毎日、一万歩は歩くようにしている。  適応障害になって以来、仕事量を減らし、心はずいぶん回復してきた。ただ、出勤をしなくなったので、油断すると朝から晩まで運動しないこともある。これはこれで不健康。  だから、夜、スマホの歩数計を確認し、一万歩に達していなかったら、散歩に出かけることにしている。  だいたい、二十二時過ぎが多いだろうか。できるだけ、知らない道を進むことにしている。こんなところにお寺があったんだとか、専門学校があったんだとか、様々な発見があって面白い。

          【料理エッセイ】怪しい自販機で謎の調味料スリラチャを買ってみた!

          【読書コラム】コメントで教えてもらったミステリーを読んでみたら、とんでもなく哲学的で面白かった! - 『シンデレラの罠』セバスチアン:ジャプリゾ(著),平岡敦(訳)

           先日、アップした『変な家』の記事に、BRILLIANT_Sさんからこんなコメントを頂いた。  寡黙にして、『シンデレラの罠』という小説を知らなかったけれど、語り手が探偵で、証人で、被害者で、まさかの犯人?! というトリッキーな設定にすごく興味を惹かれた。  事前にいろいろ調べたくなったが、おそらく、ネタバレを踏んだら一巻の終わり。可能な限り、なにも知らない状態で読むべきだろうと身構えて、ささっとAmazonで購入。詳細もレビューも見ないようにした。  で、読み終えたわ

          【読書コラム】コメントで教えてもらったミステリーを読んでみたら、とんでもなく哲学的で面白かった! - 『シンデレラの罠』セバスチアン:ジャプリゾ(著),平岡敦(訳)

          【映画感想文】死んでしまったパパの得意料理が食べたくて - 『リンダはチキンがたべたい!』監督: キアラ・マルタ, セバスチャン・ルドバース

           このまま家でぼーっとしていては、一日が無駄に終わってしまうと危機感を覚えた午後三時。なにかしなきゃと新宿へ出かけ、紀伊国屋書店をぶらついて、適当に本を何冊か購入。喫茶店でのんびり読書でもしようかと路地裏を歩いていたところ、新宿ピカデリーの前で興味深いフランス映画のポスターを見つけた。  原色で描かれた女の子がニワトリを大切そうな抱えている。その顔は凛々しく、頑なで可愛らしく、一見すると大切なペットを守っているかのようだけど、タイトルは『リンダはチキンがたべたい!』なので、

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          【マシュマロ】架空の写真家・ロバート・キャパが歴史に残る写真家として実在してしまった不思議が好き好き大好き

           マシュマロにメッセージを頂きました!  代わりの読書依頼ありがどうございます!  早速、ロバート・キャパの『ちょっとピンぼけ』入手しました!  とはいえ、キャパについてはそう詳しいわけではありません。高校生の頃、世界史の資料集で目にしたのが最初かな? いわゆる戦場写真の代表格として、ごく普通に履修してきました。  ただ、どうやら他の写真家と違うらしいぞと注目したことがあります。2013年、沢木耕太郎が『キャパの十字架』を発売し、『崩れ落ちる兵士』の疑惑をまとめあげた

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          【ショートショート】もしも竹がお腹に刺さったとして (1,472文字)

          「もしも竹がお腹に刺さったとして」  と、わたしは晩酌中の夫に尋ねた。 「お医者さんから、奇跡的なバランスで刺さっているため、このままなら命に別状はありませんが、無理に抜いたら死んでしまう可能性があります、と言われたら、どうするのがいいと思う?」  夫はスマホを見ながら唐揚げとポテトをつまんでいたので、テーブルに食べかすをやたらこぼしていたけれど、一向、自らの粗相に気がつく様子はなかった。もちろん、わたしの質問に顔を上げることもなく、 「なんの話?」  と、だるそう

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          【料理エッセイ】高尾山に登ったけど、蕎麦アレルギーなのでラーメンを食べてきた

           最近、YouTubeの「生きて山から帰るには【山岳遭難解説】」というチャンネルにハマっている。  過去、実際に起きた山岳遭難事故のついて、詳細や原因を詳しく解説し、どうすれば生存確率を上げることができるか教えてくれる動画がいくつもアップされていて、やたら興味深い。  眠れない夜に見始めて、気がついたらあっという間に時間が経ってしまう。そして、聞いたことあるような有名な山でも恐ろしいことになるんだなぁと怖がりつつ、みんな、命懸けで山を登るのはなぜなのだろうと気になったきた

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