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【MLB】それでもドジャースが大谷翔平を求める理由

個人的には既存の戦力状況を鑑みると、ドジャースの大谷獲得は”なし”なのではないかと考えています。

来季のドジャースは先発ローテーションが穴だらけですし、ベッツ・フリーマンというドジャース打線が依存しきっている二人の野手の長期契約が残っており、今後の起用法に影響が出る可能性があります。そして何より、大谷なしでもレギュラーシーズンを十分に戦えるため、コストパフォーマンスが悪いのです。


ただ、それでも、ドジャースが大谷獲得に動く理由があると思っています。


ブランド価値の向上

一つ目は、ブランド価値の向上。


ドジャースといえば、MLBの中では名門中の名門。


全米屈指の大都市ロサンゼルスを本拠地とし、黒人初のメジャーリーガーであるジャッキー・ロビンソンがデビューたチームです。

2013年以降の11シーズンで10回の地区優勝(2位に終わった2021年でさえ106勝を記録)を果たし、特に2020年には短縮シーズンでしたが勝率.717を記録し、レギュラーシーズンの勢いのままワールドチャンピオンに輝きました。

そんなチームは観客動員数もMLBではトップ。

今季は平均で47,000人以上を集客し、年間のホームゲーム来場者数合計380万人超は、二位のヤンキースに約60万人ほど差をつけています。



ただ、ベースボールの枠を外して”いちプロスポーツチーム”と考えると、その立場は必ずしもトップオブトップではないというのが現状なのです。



毎年フォーブスが発表している、プロスポーツチームの資産価値ランキングでは、昨年から一つ順位が上がったものの、25位。

上位には同じMLBのヤンキースだけでなく、NFL、NBAのチーム、そしてヨーロッパのサッカーチームの名がずらり。


最近、ディズニー傘下のESPNの評価が爆上がりしている、なんて記事がありました。

特にアメリカでは、高額なケーブルテレビの契約者がどんどんストリーミングサービスに移行しており、コンテンツの視聴もVODが中心。そうするとTVコマーシャルの価値は激減します。

そんな中、ライブ性の価値を残すスポーツコンテンツの価値は上がっており、スポーツチームの経済的な価値はどんどん上がっているのです。



インターネットを介して、世界中のスポーツを観戦できるようになった中、グローバルを市場にするプロスポーツチームは、定期的に世界中のファンに対して"サプライズ"を提供し、心をつなぎとめていなくてはいけなくてはいけないのです。


特にロサンゼルスは、プロスポーツチームのライバルがひしめています。
MLBのエンゼルスはもちろん(ライバル?)、NFLではラムズ(フォーブスのランキングでは5位)、チャージャーズ(同38位)、NBAではレイカーズ(同15位)、クリッパーズ(同45位)など各リーグの名門チームの多くがロサンゼルスを本拠地としています。

この範囲をカリフォルニアに広げると、さらに49ers(同13位)やウォーリアーズ(同3位)が資産価値で上位に位置しています。


ここ11年で10度の地区優勝をし、実力的には申し分のないドジャースですが、グローバル性という点では弱みとなっているベースボールのチームということもあり、決してプロスポーツ界の横綱ではありません。


ドジャースがこれからより資産価値を高めるには、圧倒的な個の力が必要なのです。



そんな課題に対して、大谷翔平は唯一無二の存在です。



プロのリーグにおいて投打両方でリーグ有数の才能を持つという、これまでの常識を見事に破ったベースボールの神に愛された真のChosen One。

プレー開始の決定権を持つ投手として試合をコントロールしながら、バッターとしてチームの得点源にもなる姿は、まさしくアメフトのクオーターバックのリーダーシップそのものですし、外野の隙間に打球が飛べば快足を飛ばして一気に長打にする姿はワイドレシーバーのようでもあり、プロスポーツ大国アメリカで圧倒的な支持を受けるNFLのエッセンスをも兼ね備えています。



ベースボールは試合中の役割分担が明確であり、バスケットボールやアメフト(のクオーターバック)と比べて、個の力でチームにケミストリーを起こすことは非常に難しいスポーツだと思います。


ただ、大谷はそれができる、金輪際現れない一番星の生まれ変わりです。


ベースボール以外のファンにも訴求ができる存在は、今のMLBにおいて大谷の他にいません。



地殻変動の阻止


大谷の移籍先ではドジャースが最有力といわれていますが、その陰で他に可能性が示唆されているチームはどこでしょうか。


ジャイアンツです。


ジャイアンツはポージー、クロフォードと、これまでチーム内でリーダーシップを発揮していた選手が抜け、チームのコアとなる野手がいないことが課題になっています。それに対する態度も明確で、昨オフ、ジャッジ、コレアに大型の契約を提示しており、チームの士気を上げるゲームチャンジャーになりうるスーパースターを本気で求めているようです。


ロサンゼルスとは異なり、春、秋は寒いという環境面で劣る点があるかもしれませんが、資金力はあり、大型の長期契約選手も抱えておらず、ほぼゼロからチームを再構成できるチャンスのあるチーム。そして来季からは新たにメイビン監督を迎えました。

大谷が球団のプランに共感するとなれば、ジャイアンツも十分移籍先の候補になる可能性があります。


大谷がここ3年のような活躍を今後も続けるとなると、同じナ・リーグ西地区のドジャースの立場も変わってくるかもしれません。


同地区チームが大谷を獲得し、今後のナ・リーグ西地区の地殻変動を起こすリスクを減らすには、ドジャース自身が大谷を”囲い込み”をしておかなくてはいけないのです。



アフターKershawのエース候補


今のMLBで、実績、実力があるだけでなく、カリスマ性を持つ先発投手は多くありません。

例えていうと、ゲリット・コール、ジェイコブ・デグロム、ジャスティン・バーランダー、マックス・シャーザー。

そして、ドジャースのカーショウです。


カーショウは2008年のデビュー以降ドジャース一筋で、まさしくドジャーブルーの血が流れている選手の一人。

2014年はサイ・ヤング賞とMVPを同時受賞し、翌2015年は年間300奪三振を記録。今季は通算200勝を達成し、今季のポストシーズンでも初戦の先発を任されています。

そんなカーショウも近年はケガに悩まされ、2021年以降の3シーズンはそれぞれ22~24試合の登板にとどまり、投球回も130回前後で年間を通したフル稼働はできていません。2021年にはケガでポストシーズンの登板を回避しました。

7年契約の切れた2022年以降は毎年単年契約であり、来季の契約も不透明。今はカーショウと球団お互いの意思を確認しながら現役を続けているのが現状であり、ドジャースには"アフター・カーショウ"のチーム編成の必要性がもう目の前に迫っているのです。


ただ、ロサンゼルスという大都市のドジャースという名門チームで長年にわたって投手陣を先導できるような、カーショウレベルのカリスマ性を持つ先発投手を育成、そして獲得することは容易ではありません。


大谷は100mphのフォーシームとスイーパーを中心に、マウンドに上がれば安定して長いイニングを投げることができます。また、今季はコンディションが悪くとも(結果的に悪い方向になりましたが)、マウンドを守るガッツとリーダーシップがあります。

これほどチームに献身的に貢献できる先発投手は今のMLBでは少なく、かつAvailableではありません。

たとえ、来年投手として全休としても、中長期的にドジャースの先発ローテーションの先頭で投げ、リーグ有数の成績を残すことができる大谷は、短期的な先発ローテーションの駒不足の課題に目をつむったとしても喉から手が出くほどの存在なのかもしれません。



以上のような点もドジャースが大谷翔平を求めてる理由と考えています。

MLB史上これまでにない金額での契約がドジャースと結ばれるのか、もしくはエンゼルス残留を含めて他球団と契約するのか、意外とリーズナブルな契約なのか、決着を楽しみにしています。



出典、画像参照元
https://www.latimes.com/sports/dodgers/story/2023-11-02/shohei-ohtani-dodgers-free-agency-mlb
https://www.espn.com/mlb/attendance
https://www.baseball-reference.com/
https://www.mlb.com/

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