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新しい巨人のリーダーズに期待すること

二年連続でBクラスとなり、クライマックスシリーズ出場を逃したジャイアンツ。

近年の負けっぷりを考えると何かしら変化は必要であり、その矛先はやはり監督になさざるを得ません。そして、2019年から3回目となるジャイアンツの指揮を執っていた原監督が退任することになったようです。


原監督の2002年の第一次政権では、就任1年目には清水の1番、河原のクローザー起用というファインプレーがありましたが、それ以上に選手の層の厚さで他を寄せ付けない強さを見せ日本一になりました。ただし、翌年は松井の移籍と投手陣の崩壊もあって連覇を逃し、読売グループの人事異動として監督のポジションを堀内氏に譲ることとなりました。

2006年からの第二次政権では1年目こそシーズン中盤に歴史的失速をして4位となるも、二度の三連覇を達成。坂本、阿部、長野、内海、山口、菅野といった生え抜きに加えて、補強した小笠原、ラミレスを中心に二度の三連覇を達成しました。

そして第三次政権となる2019年からは、いきなりセ・リーグ二連覇を果たすも、日本シリーズではソフトバンク・ホークスに二年連続して四連敗。その後はリーグでも優勝することができていません。


今回、チームの低迷の責任を取る形で退任することになりますが、個人的には原監督は球史に残る名将だと考えています。


ただ、第三次政権では編成に積極的に介入した結果、正直トンチンカンな補強(岩隈、井納)があったり、1死1塁での犠牲バントの多用、終盤での勝負弱さなど、このままではチームは強くなれないと感じてきたのも事実です。




さて、原監督に代わって阿部ヘッドコーチが新監督になります。


阿部新監督にどのような野球観があるのか、プランを立てているのか、これから次第にメディアに出てくると思いますが、今回は新しいジャイアンツのリーダーとなる阿部新監督に期待する"ジャイアンツに必要な変化"をまとめています。






聖域なき打順の組み換え

今季、第89代四番打者岡本がキャリア最高といってもいい成績を残しました。

10/4(本日)の1試合を残しますが、自己最高の41HRでタイトル獲得は確実であり、OPS .963もリーグだけでなくプロ野球全体でも1位です。

ただし、ジャイアンツには球界屈指の四番打者がいるものの、岡本の前の1, 2, 3番をなかなか固定できずにいました。ジャイアンツの四番までの出塁率、OPSは以下の通りです。

1番 .302 / .665
2番    .349 / .773
3番    .303 / .711
4番    .376 / .958

シーズン中盤までは坂本、丸、吉川を中心に回し、終盤は成長著しい門脇を起用していた2番は攻撃力があるものの、1番、3番は上位打線としては非常に厳しい数字に。

その結果、相手バッテリーとしては岡本の前に楽にアウトを獲得でき、ランナーなしで岡本に打席を回す、もしくはイニングの先頭で岡本に回るというというケースが多くありました。

そして、何よりも罪深いのが、その楽にアウトを獲得できるバッターが上位にいるためチームで最も多くの打席が回るのです。



毎年ジャイアンツでは上位打線のどこかしらが固定できないと課題に上がりますが、それは四番打者の神聖化が原因の一つと考えています。

基本的にジャイアンツは、打順はチームで最も攻撃職のある選手を不動の四番を中心に組み立てています。その結果、それより劣る選手を四番の前に3人も配置しているのです。

これは原監督に限らず、前任の高橋由伸監督の時も同じ傾向がありました。

今季、初回のノーアウト満塁で岡本がグランドスラムを放つ場面がありましたが、こんなことは年に1度あるかないかのレアケース。この成功体験に引きずられてはいけません。


チームで最も打つであろう岡本の打順を上げ、例えば、今季でいうと二番を打っていた坂本、丸、吉川、門脇の中から調子に応じて一番に起用し、最も攻撃力のある岡本を二番に起用することはできないのでしょうか。

MLBでは大谷やトラウト、ジャッジなどリーグを代表するバッターを二番に置くケースは日本でもおなじみです。決して盲目的に踏襲するわけではありませんが、理にかなっているのは事実であり、検討の余地はあるはずです。


今のジャイアンツにはリーグを代表するようなバッターを何人もそろえることはできないため、如何に多く岡本打席を回すか、如何に岡本を起点にチャンスを広げるかアイディアを出さなくてはいけなく、四番の聖域化はそれを妨げていると感じています。



坂本の延命

今季、坂本はケガで何度も離脱しながら4年ぶりの20HRを記録し、OPSでもリーグ3位とスラッガーとして打線を引っ張りました。

特に、復帰後にいきなり結果を残すところが印象的であり、まだまだ坂本はジャイアンツに必要な選手です。


ただし、負荷が高く、また強靭なフットワークと肩が求められるショートストップとして長年試合に出場していた坂本には、ここ数年はずっと怪我をするたびにコンバート論が出ていました。

幸い、今年はルーキー門脇が台頭。岡本がファーストもレフトも守れるポリバレントな選手だったこともあり、坂本はスムーズにサードにコンバートすることができています。

おそらく来季もサード坂本が基本線だと思いますが、来季はもう36歳。

とっくにベテランの域に達しており、今後はパフォーマンスの低下、怪我のリスクが増大していくことは間違いありません。

ただし、坂本はジャイアンツのハートアンドソウルの終身名誉キャプテン。

もうショートで出場しないとしても、坂本が年間通して長期離脱せず、ベストコンディションで試合に臨めるよう、チーム主導でうまく体調をコントロールする必要があります。


また、もちろん、それは門脇が来季ショートとしてしっかりとレギュラーを確立することが前提になります。



リリーフ陣の再建

今年のジャイアンツは終盤の勝負弱さが顕著でした。

その原因のひとつが、リリーフ陣。


特にクローザー大勢が離脱したことが痛く、それぞれのリリーフ投手の役割がひとつずつ繰り上がり(セットアップがクローザー、セットアップ以前の投手がセットアップに)、結果的に"魔の7回"として、7回の防御率は5点台を記録。


今季、菊池や田中、船迫など新戦力が台頭してきたのは好材料なのですが、既存のリリーフも含めて無駄な四死球でランナーを出し、そこからの長打を浴びるケースがあまりにも多くありました。


近代野球ではチーム作りをするうえで強力なリリーフ陣はマストであり、リリーフの出来が悪いと勝てる試合を終盤の痛打で落とすことになるだけでなく、ビハインドゲームから逆転のチャンスを作ることもできなくなります。


ジャイアンツはこれまで歴史的にも先発落ちの選手をリリーフで活用しているように(かつては槙原、桑田、河原、そして沢村、西村、近年では即戦力の大卒先発投手が伸び悩みリリーフに転向)、優秀な投手はまずは先発完投型を理想とするようなクラシカルな考え方を好み、その反動としてリリーフ投手の重要性についてまだまだ十分に認識していないのかもしれません。


昨年は、ほぼリリーフ起用を前提として大勢をドラフト1位で獲得しました。


今後も先発落ちからリリーフチームを組むのではなく、リリーフに特化した投手の目利きと育成、補強が求められています。



ベンチメンバーのボトルアップ

また、攻撃面での勝負弱さの原因として、ベンチメンバーの弱さがありました。

走塁面では重信が10盗塁を記録しているものの、ほぼ代走のスペシャリスト枠でベンチ入りしている増田は4盗塁止まり。なかなか代走から相手にプレッシャーをかけることができていませんでした。

また、終盤で岡本、秋広、坂本、中田といった主力に代走起用するも、延長に入った時などその次の打席では交代後の選手との差があまりにも大きく、一気に得点力がダウンするケースを多く見ました。


もともと原監督はベンチメンバーも生かした全員野球を得意とする監督でした。
具体的には、左の代打のスペシャリスト・石井、阿部、由伸、亀井、代走のスペシャリスト・鈴木、ユーティリティ・キムタク、古城、脇谷などベテランや他球団で構想外になった選手をうまく活用し、チームのボトルアップを図っていました。


来季は経験のあるベテランとなる長野や中田、丸あたりをうまく活用し、また、スペシャリティの高い選手を育成するなど、ベンチメンバーの競争力を高めていきたいところです。



秋広の育成

そのベテランメンバーをサブとして試合の要所となる場面で活用するためにもレギュラーとして出場する若手の成長はマストであり、その筆頭は秋広です。


今季、シーズン中盤は3番で起用されるなど大きく期待されている選手の一人です。

一時期は打率は3割を超えていましたが、疲れが出てきたのか7月、8月、9月と月を追うごとに成績は下降。また、左投手も苦にしています(対右打率 .306、対左打率.207)。


バッティングだけでなく、レベルアップを期待しているのが、走塁と守備。
要所要所で守備交代や代走を送られるなど、秋広まだまだレギュラーとして試合に出場し続けるには課題が多いと感じています。

これがアウトになったのは、チームの状況、試合展開(セーフならば同点)的にも頭を抱えました・・・


ただし、まだまだ21歳で左右に長打を期待できる今の巨人には珍しい左のスラッガー候補。背番号から松井に比較されることも多いのですが、焦らずじっくりと確実に如何に秋広を成長し、不動のレギュラーに育てるか。

チームの顔となれるポテンシャルがあるだけに、一番重要な宿題かもしれません。



ドラフトでの即戦力投手、外国人に依存しないチーム作り

巨人の悪い癖(メディアの悪い癖?)は、チーム立て直しの時にドラフトや外国人に頼りっきりになることです。

特に投手陣はドラフト頼みで、1軍投手陣が崩壊気味の年は必ずドラフトで大卒の即戦力先発投手を獲得しに行きます。おそらく今年もそうでしょう。チームは上原、菅野というあまりにも偉大な成功事例があるためか、3匹目のどじょうを狙っているのでしょうか。

ただし、即戦力の大卒社会人卒の先発投手も、毎年のように4月はポンポンと勝利するも、その後伸び悩み、結局リリーフで再起なんて姿を多く見ています。


また、外国人選手もいきなりチームの軸として計算するも、特に近年はボロボロな結果であり、すべての野球人に対して申し訳ないレベルです。


もちろんジャイアンツで活躍する外国人選手は多くいました(ラミレス、グライジンガー、李承ヨプ、マギー)が、どの選手もほかのプロ野球チームからの移籍組。ジャイアンツ自ら獲得し、戦力として計算した選手はことごとく期待した成績を残していません。



ドラフトで即戦力投手を指名することも、高額なサラリーで外国人選手を獲得することも全く問題はないのですが、開幕からその選手たちに依存しなくてもいいようなチーム作りをしなくてはいけません。



以上が新しい巨人のリーダーとなる阿部新監督に期待することでした。

今後秋季キャンプ、ストーブリーグ、そして春季キャンプとチーム再建のイベントで阿部新監督のチーム作りについてメディアで接する機会が多くあるかと思いますが、どんな課題とプランを持っているのか楽しみにしています。




出典、画像引用元
https://news.yahoo.co.jp/articles/567e995ac9b57515b26d0f113615b1664ffbef96
https://sports.yahoo.co.jp/

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