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【MLB】カルロス・コレア ツインズ残留のPros & Cons

メッツとの契約が白紙となり、その後も交渉が難航していたカルロス・コレア。昨年プレーしていたツインズと、6年$200Mの契約が発表されました(ただし、もちろん身体検査待ち・・・)。


今回はカルロス・コレアがツインズに残留したことによるPros(よかった点)、Cons(悪かった点)を紹介します。

Pros 

プラチナグラブの選手が再びショートストップでプレー

メッツと順当に契約していた場合、チームにはすでにショートストップのレギュラーとしてリンドーアがいるめ、コレアはサードを守る予定でした。
ただし、コレアは2021年にゴールドグラブ、プラチナグラブを獲得した経験がある強肩が特徴のMLB屈指の名ショートストップです。
昨シーズン、OAAは-3を記録したものの、直近5年間のOAAはショートストップでMLB 全体で5位
今オフシーズンにFAとなり、大型の契約をしたスワンソン(同7位)、ターナー(同14位)、ボガーツ(同37位)よりも高い数値を記録しています。

特に、コレアの守備の特徴はフットワークと強肩を生かした三遊間のフィールディングです。

もちろん、サードとしてアレナドやマチャドのように動物的な反応と、強肩を生かしたプレーができたかもしれませんが、右側の打球へのケアの必要性はショートストップに比べると低く、彼の長所が生かすことができないと考えています。

そのため、またしばらくコレアのショートストップの守備がみられることは大いにツインズとの契約のメリットです。

なお、彼の守備に関しては以前の記事でも詳しく残しています。



ツインズのウィークポイントに合致

ツインズでは昨シーズン、コレアがショートストップのレギュラーであり、彼が抜けるとなると内野の最重要ポジションにポカンと穴が開いてしまう状態でした。

理想的には2017年のドラフト全体1位で、昨シーズンコレアが離脱した際に穴を埋めたロイス・ルイスをレギュラーとしたいところですが、昨年6月の守備中に膝を故障(前十字靭帯損傷)し、復帰までは12か月はかかるとの見込み。また、ブルックス・リーという球団最高の有望株もいますが、まだAA級の21歳。ほかは守備に難のあるポランコと、不安を抱えたまま開幕を迎えそうでした。
そんな中で、年齢的にも(28歳)まだ成績の向上が見込めるコレアを獲得できたことは最大のメリットです。

もともとツインズはコレアの残留を望んでいて、10年$285Mのオファーを出してたものの、リジェクトされていました。
ただし今オフ、二回も身体検査で引っかかったことで期間も短く、契約額も少なくでき、ツインズにとってかなりリスクを抑えて契約することができました。

なお、コレアの契約内容の詳細は以下の通り。
2023年:$36M
2024年:$36M
2025年:$36M
2026年:$31.5M
2027年:$30.5M
2028年:$30M
7年目以降も、ツインズの意向によっては毎年$5Mずつ下げて追加で最大4年まで契約延長できるという内容であり、30代になって加齢(と一般的なパフォーマンスの低下)に合わせてどんどんサラリーが下がり、将来的な選手補強へ影響を低くできるという内容です。

他にも、コレアはQO対象ではなかったため、他球団が契約した場合でもドラフト指名権の保障がなかったり、英語、スペイン語が話せチーム内のリーダー的存在でチームメイトに慕われていたりと、ツインズにとってコレアの残留は大きな収穫でした。


メッツ期待の若手有望株にチャンス

コレアがメッツと契約していた場合、大きな影響を受けたであろう選手が、メッツのブレット・ベティ
昨シーズン、MLBデビューの1打席目でホームランを打ったように派手な活躍が印象的ですが、メッツ組織内でプロスペクトランキング2位、MLB全体でも同18位に位置するバッティングに秀でた23歳の三塁手です。

コレアがメッツ加入となった場合、チャンスが大幅に減ると予想されていましたが、一転契約は白紙に。
メッツのサードにはエスコバーがレギュラー、ユーティリティでギルモアがいるものの、ともに決して絶対的な存在ではないため、今シーズン、ベティのどんな成長がみられるかは楽しみな要素のひとつです。

また、コレア獲得を逃したメッツは来期以降、オプトアウトがうわさされるマチャドや同じくFAになる名手チャップマンをサードの戦力補強として狙う余地が十分出てきました。


Cons

スポットライトを浴びる機会が少なくなる

さて、次はCons(デメリット)の紹介です。

コレアの特徴のひとつに、プレッシャーへの強さがあります。
特に、アストロズ時代のポストシーズンでの強さは射当てチームからするとトラウマレベルでした。

チームのサイン盗み問題もあり、ニューヨークやロサンゼルスでは相当なブーイングも浴びていましたが、それも大舞台であまりにも目立つ活躍があったからこそ
そんなコレアには、大都市のチームで厳しいメディア、ファンからの注目を浴びる中でゲームに臨み、そして活躍する姿をぜひ観たかったところ。そう考えると、もともと契約していたジャイアンツやメッツと契約をしたとき、10月のプレーを想像するとわくわくするものがありました。

一方で、ツインズはその2球団と比べると地味なチーム。
ここ6年で2回アメリカン・リーグ中地区の地区優勝をし、ポストシーズンには3回出場しているものの、なんと2004年以降、ポストシーズンで勝利がありません。特にプレイオフではヤンキースにめっぽう弱いです・・・

同地区には投手力に優れたガーディアンズ、怪我さえなければいい選手がそろっているホワイトソックスがいるものの、大本命はいません。そのため、ツインズは今シーズン、十分に地区優勝、ポストシーズン進出が期待できるチームではあるのですが、どこまで緊張した試合を提供できるでしょうか。

ただ、この点においてはツインズ残留はデメリットととらえられるものの、ぜひコレアにチームをより強くしてもらいたいです。


打者不利な本拠地でプレー

ツインズの本拠地、ターゲット・フィールドは比較的打者不利な球場です。
特に左中間が約115mと右中間に比べて約3m深く、右バッターの長打が出にくい特徴があります。
(長打が出にくいという点ではジャイアンツの本拠地オラクルパークやメッツの本拠地シティフィールドも同様で、一概にはデメリットとは言えないかもしれません。)

ただ、コレアは昨シーズン、アウェイでOPSが.789だったのに対し、ホームでのOPSは.880とホームでより好成績を残していました。
昨シーズン、コレアは右方向へのホームランは1本(右中間)しかなかったものの、本来はフィールド全体に長打を打てる選手です。

これまでの全ホームランの打球方向

右バッターに不利な球場を本拠地としてプレーするという一般論から言えば、ツインズ残留は打撃成績的にはデメリットではありますが、右方向へ強い打球が再び打てるようになれば、そのデメリットも緩くなると考えています。


Make Differenceな選手を逃したジャイアンツ

結局、コレアのツインズ移籍の敗者はジャイアンツではないかと考えています。
もちろん当初の13年の大型契約を考えると、足首の故障歴は大きな懸念ではあったものの、ツインズのようにうまくリスクを抑えて契約をまとめられなかったのでしょうか。

今オフ、ジャイアンツは積極的な補強をする予定でした。
ただし、狙っていたジャッジ、ターナーとは契約できず(ジャッジに関してはヤンキースよりもいいオファーを出していたというウワサも・・・)、FA市場ではピーダーソンと再契約し、コンフォート、ハニガー、ロジャース、マナエア、ストリップリングを獲得。
投打に厚みは増したものの、ポージーが引退してから欠けていたサンフランシスコのシンボルとして、チーム、ファンがドジャースを倒し、ポストシーズンに進み、ワールドチャンピオンを目指すための大きなモチベーションを生むような選手を獲得できませんでした
実際、コレアのけがの具合次第で、契約を白紙にした決断の答えは変わるのですが、現時点では落第点だと考えています。

昨オフ、今オフと大物のショートストップがFAとなりましたが、来年以降は枯渇気味。
現ショートストップのレギュラーであるクロフォードはまだまだ守備で貢献はできるものの、高齢であり後釜の用意を考えなくてはいけないのですが、今となってはしばらくは自組織で育て上げるしかできません。

ただ、2021年はベテランだらけのチームで前評判を覆し地区優勝したのも事実。
ドジャースはターナーが抜け戦力ダウンしたこともありますし、今シーズンのジャイアンツの戦いには注目しています。


以上がカルロス・コレアがツインズに残留したことのPros & Consでした。
個人的にコレアはチームの息を超えて好きな選手であり、このオフは動向を注目していました。
昨シーズンはチームをポストシーズンには進められなかったものの、アストロズから移籍2年目で今後長期間チームにとどまることも決まっており、彼がツインズにどんな変化を生むのか(、もうケガしないのか)に注目しています。


出展
https://www.nbcsports.com/bayarea/giants/carlos-correa-saga-winners-losers-twins-giants-mets-endure-wild-ride
https://baseballsavant.mlb.com/
https://www.baseball-reference.com/
https://www.mlb.com/


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