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【NYM】2023年前半戦 ニューヨーク・メッツの課題と収穫

今季のMLBで主役となるチームはニューヨーク・メッツ、のはずでした。

先発ローテーションはデグロムが抜けたものの、昨季サイ・ヤング賞のジャスティン・バーランダーに加えて、千賀、ホセ・キンタナを獲得。さらに、クローザーのエドウィン・ディアズ、センターのブランドン・ニモとも契約延長に成功し、年俸総額は3億5000万ドルを超え、MLBダントツの一位。
カルロス・コレアが獲得できなくとも、今季こそ憎きブレーブスを倒すための準備はできていたはずでした。

ただ、いざシーズンに入ると昨季の快進撃とオフシーズンの賑わせが嘘だったかのように、6月終了時点で首位ブレーブスから18.5ゲーム差の2位。

今回は、ニューヨーク・メッツの前半戦を振り返り、課題と収穫を紹介していきます。

課題

先発ローテーションのバブル崩壊


今季のメッツの先発ローテーションは、球史に残る最強チームとなるはずでした。

だって、合わせてサイ・ヤング賞獲得回数6回、ノーヒッター5回のシャーザーとバーランダーがいるんですもの。

実際シーズン前の先発ローテーションランキングではブリュワーズやブレーブスも抑え堂々の1位。


ところが、

新加入のキンタナが怪我でシーズン中盤まで離脱の見込み。

からの、

開幕直前にジャスティン・バーランダーの離脱。

からの、

カルロス・カラスコの不調。

と、誤算続き。
マックス・シャーザーも、投球時の不正物質使用によるペナルティを除いてはローテは守っているものの全体的なスピードの低下が目立ち、4シームとスライダーで制圧するような姿はどこかへ行ってしまいました。

その結果、先発投手の防御率は4.76、WHIPは1.45。先発投手が5回を持たないケースも多く見られました。

昨シーズンはチーム全体でリーグ2位の奪三振数を武器に安定しており、今シーズン前の期待感からするとまさしくバブル崩壊でした。

ただ、30代中心の先発陣だったため、故障とパフォーマンスの低下はもともと想定内だったはず。
その際のプランBがなく、ただ耐え凌ぐだけになりました。


ディアズの穴埋めという難題

WBCでクローザー・ディアズが故障し、今季絶望となってしまったのはあまりにも衝撃的でした。

代役候補のロバートソンは開幕戦でセーブをあげ、安定したピッチングをしているものの、チームの成績やセーブ機会に限らない起用方針から11セーブ止まり。チーム全体としてもセーブ数はML全体で19位です。
リリーフ陣は他にオタビーノ、レイリー、ブリングハムとフル回転しているものの、チーム全体で防御率は4.27。

先発と合わせて、投手陣は全体的に今季のメッツの弱点となっています。


昨季の繋ぐバッティングはどこへ

投手陣と同様に課題になっているのが打線です。

昨季はチーム全体でコンタクトに徹し、チーム打率、チーム出塁率は共にMLB全体で2位。昨年5月には、9回に7点をとり6点差を逆転した試合も。

一方、今季はチーム全体でホームランこそ出ているものの、打率、出塁率はそれぞれMLBで21位、20位。昨季首位打者のマクニールに加えて、マルテ、リンドーア、アロンソと軒並み主力が低打率であり、昨季のようなバッティングができていません。


現在首位のブレーブスは、6月にナ・リーグ新記録となる61本塁打を記録しただけでなく、チーム打率.307、チームOPS.943とノリノリであり、メッツとは対照的でした。

観客席から「なんでも振るな!」と大声の野次が飛んできた後に、ボール球を振り三振するなんているギャグのような展開も最近では話題に。



そんなチーム状況の中、オーナーのスティーブ・コーエンはトレードデッドラインで売り手側に回ることも示唆しています。

ただ、全体的に本来の調子ではない選手が多く、サラリーも高いため、売れる選手はいるのだろうか・・・。意外な活躍をしているファムなんかは需要があるかもしれません。


収穫

ルーキー千賀のピッチング

さて、開幕前の期待からすると絶望的だった前半戦。そんな中でももちろん収穫はありました。
ひとつは、千賀の活躍。
マーリンズとのデビュー戦で6回途中1失点で勝ち投手に。

前半戦はフォークを見極められ苦しい時期もありましたが、イニング数、三振数ではチームトップ。フォーシームの平均球速は95mphとMLB平均を超え、フォークはの被打率は1割を下回っています。

試行錯誤しながらの投球かと思いますが、故障者が多く、本意のパフォーマンスができていない選手が占める中、メッツのローテーションを支えています。


アルバレスの活躍

同じく、ルーキーのフランシスコ・アルバレスの活躍も収穫でした。

今シーズンの昇格は期待されていたものの、想定より早く4月上旬に昇格。
打率は2割台前半で低いもの長打力を発揮し、二桁ホームランを記録。
スプレイチャートから分かるように、逆方向にも長打が打てており、バッティングは期待通りの成長を見せているようです。

これは7/1に放った13号。

また、強肩を生かしたランナーへの牽制、フレーミングでもいい数値が出ており、ディフェンス面でもチームに貢献できていることはメッツにとって大きな収穫でしょう。


アロンソのパワー炸裂(からの・・・)

ピート・アロンソは期待通り開幕からホームランを連発していました。

一次はシーズン60HRも狙えるのではという勢いでした。

ただ、7/8のブレーブス戦で死球を受け、あまりにも痛い離脱。この試合までブルージェイズに3連敗、ブレーブスに2連敗中(死球を受けた試合も敗戦)だったため、このアクシデントは完全にメッツファンを意気消沈させました。

その後、6/18にで想定よりはやく復帰したものの、離脱してからチームは7勝13敗。改めて主砲アロンソの存在の大きさを実感しました。

カルロス・コレアとの契約見送り

一旦はディオールのリーダーシップを持つというコレアと契約したメッツでしたが、身体検査をパスできず契約は白紙に。

ただ、コレアは今季バッティングで苦しんでおり、この判断はメッツにとってある意味収穫だったかもしれません・・・



さて、以上が今シーズン前半戦のメッツの振り返りでした。
厳しい状況が続いていますが、シャーザー、バーランダー中心になんとか先発ローテーションを立て直し、本来の繋ぐバッティングに回帰し、もう一度ナ・リーグ東部地区をわかせてほしいものです。

8月にはブレーブスと7試合が組まれています。なんとか意地を見せてほしいところですね。

後半戦も期待しています!

出典、画像参照元
https://www.mlb.com/
https://www.baseball-reference.com/
https://baseballsavant.mlb.com/
https://ftw.usatoday.com/2023/06/mets-brewers-starling-marte-fan-swing-video


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