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IT人材に必要な「心掛け10か条」

 これまで、3回(3.5回か)にわたりシステム部門の役割やそこに関わる人材、そして開発人材の気質と開発成否といった関係などについて紹介してきました。今回(4回)は、それらのまとめ的な意味合いを含め、「IT開発者の心掛けるべき10か条」として紹介したいと思います。
 
目次
●これまでの「まとめ」
●心掛けたい取り組み姿勢「10か条」
 
●これまでの「まとめ」
  ITがすでに「事業経営」に不可欠の道具となったということは、言うまでもないでしょう。(あくまで「道具」であるという点は忘れずに)
 
 その役割をシステム部門として遂行する上で、以下の7点を上げました。
 
■経営へのコミット力を高める立場への取り組み強化。
■会社として「経営・現場での情報活用」を推進する立場への取り組み強化。
■ITコストを、「削減対象」から「投資対象」への経営意識変革推進への取り組み強化。
■自社のITコアコンピタンスを明確化する取り組み推進の強化。
■コンプライアンス拡充への取り組み強化。
■事業継続力向上への取り組み強化。
■常に進化するための技術研究、その活用(ソリューション開発力)への取り組み強化。
 
 そして、システム開発に臨むにあたっては、以下の5点を上げました。
 
■要件・仕様の「背景」理解に努め、全体感を持った取り組みスタンスで臨む。
■顧客や現場を理解することに努め、常に「本質」を見極めるスタンスで臨む。
■自社自部門では「依頼先」の立場、依頼先では「自社自部門」の立場で臨む。
■開発メンバーの理解に努め、「遂行責任が何たるか」を常に意識し続け臨む。
■自分自身の「付加価値向上」に努め、自分自身がそれを認識した上で臨む。
 
 今、「DX(Digital Transformation)という言葉が盛んに語られ、その実践レベルが「経営、事業変革」の成否を握っているといったような風潮になっています。さらに、最近は「生成AI」の活用も大きな話題になっています。当然のことながら、「コピュータ技術、ICT」が、経営の発展に貢献していることは、間違いないことです。これは、コンピューター技術が登場し、活用され始めた時代から変わっていません。
 
 ただ、そこで忘れて頂きたくないのが「開発も、活用も人」が行っているということです。要は、そこに関わる「人」によって、成否が左右されることを意識し、「コト」にあたって欲しいということです。「仏造って、魂入れず」にならないように取り組むことが、古今東西、どの時代でも変わらないことだと思います。
 
●心掛けたい取り組み姿勢「10か条」
 
①   「否定形的発言」はしない。 
 基本的に「肯定的発言」から始めること。 
 やらない、できない、したくない、時間がない、やったことが無いなど  の言葉は使わない。
 
②   「プロ意識」を徹底する。 
 給与(報酬)を得ている「プロ」であるという意識を持つこと。
  こんなこと、自分の仕事でない、自分の責任でない、やったことが無い、知らない などの言葉は使わない。
 
③   「自らの仕事の範囲、責任範囲」を限定しない。
 常に全体を意識し、事業・仕事にあたること。
 自分の範囲ではない、別のチームの問題だ、自分の役割はでない などの言葉は使わない。
 
④   「契約」は、仕事(ビジネス)を始める前に必ず行う。
 特に、サービスビジネスにおいては、必須事項。
 契約は、他人(例えば営業)に全てを任せず、自ら動くこと。
 自ら契約に関わることで、出した数字(契約額、利益等)に、責任とリスクが伴うことを認識すること。
 
⑤   「上司」は使え。
 「上司」は、自分の仕事をやりやすくするために居ると思え。
  「どうしましょうか」といったような問いかけはするな。問うときは「こうしたいがどうか」と問え。
 それが相談である。
 
⑥   以下のような「上司」の使い方はするな。
 自分で「出来るか、出来ないか」を判断し、相談(最終判断を仰ぐこと)は自分で行うこと。
 「上司に言ってくれ、聞いてくれ」といったように、やりたくない「理由に上司を使う」ことはしない。
 
⑦   「自分の名前」を売ること。
 指名されることが、自分の価値を高め、優位にたてることである。
 対外的な活動を積極的に行うこと。雑誌、書籍等への執筆や投稿、講師なども喜んで受けよう。
 
⑧   「生産物」を作れ。 
 どんなことでも、すぐ活用できるように「生産物化」しよう。
 自身の有形財産になるとともに、共有化、ノウハウの継承という面でも有効。(流布することに躊躇するな)
 
⑨   能動的に動け。 
 待っているだけでは、何も変わらない。
 上司からのポーリング(声掛け、指示など)を期待することはやめよう。(受身の人間は、プロとは言わない)
 
⑩   常に100点をとろうとするな。 
 タイムリーさが何よりも、重要である。
 依頼された事項は、「いつまでか、どの程度の内容が期待されているか」の確認を怠るな。 
 
 
 以上、「システムエンジニア(SE)、IT・システムコンサルタント」としての実体験を基に、4回にわたりシステム構築を実践する上において、「システム部門の在り方と開発者として常に心掛けて欲しい観点」について語ってきました。もちろん、何度も申し上げましたが「心掛けだけで上手くいくことは無い」ことは言うまでもありません。
 
 幾らコンピュータ技術、ICTが進歩、進化したとしても、「開発に人が関わる」ことは無くならないと思います。生成AIが進化し「要件生成、プログラミング生成、テスト生成などなど」開発に関わる自動化が進展したとしても、「(何らかの形で)全てに人が関わる」ということは変わらないことだと思います。ただ、技術の進化により、これまでのように、「役割」は変わっていくでしょうが・・・・。
 
 役割は変われど、「人の行動原理原則」は変わらない。今「IT開発、構築、創造」に関わられている方々や、これから関わられようと考えている方々には、是非ご一読頂き、自らの「行動規範」を確立して頂き、「失敗しないシステム構築、稼動」に向けた取り組みを実践して頂きたいと思います。
 
次回は、第一回(IT部門に望まれること)に続き、一般企業における「システム部門のアセスメント」に関する取り組みにつきまして、紹介したいと思います。

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