見出し画像

尊敬する人

どんだけ友人好きなんだよ、という感じだが、前回に引き続き、友人の記事に影響されてアンサーソング的に私の尊敬する人について書いてみる。

友人は、何かを創造する人を一番尊敬してるらしい。高校時代から、そんなことを話してくれていた気がする。そして、自分がいちばん尊敬する人が、なんの道の人であるかで、自分が本当にやりたいことが分かるとか。向いているかは置いておいて。

何かを創造する人、という彼女の意見に引っ張られている気もしないでもないが、私が尊敬する人は文章を書く人。言葉を使って人の心を動かす人。

誰もが当たり前のように使う言葉という、世の中に溢れかえっているツールで、何か特別な道具ではなくて、なんてことのない「言葉」で、人の心を動かす人はすごいと思う。歌詞とか、詩とか、キャッチコピーとか。もちろん小説も。

自分だって同じ言葉を使って生活しているのに、どこでそんなに違いが生まれるのだろう。

数年前に久しぶりに聴いて、改めてすごいなと思った歌詞がある。『マクロスF』の挿入歌「星間飛行」の歌詞だ。
そもそも、この曲のメロディーに小さい頃から惹かれていた。もともと兄が『マクロスF』をテレビで観ており、一緒に観ていた時にこの曲が流れ、なんだこの曲はと思った記憶がある。もしかしたら、作品の中でこれを歌うランカちゃんの「キラッ!」の可愛さに惹かれたとか、そういう単純すぎる理由だったのかもしれない。とにかく、初めてこの曲を聴いた瞬間からこの曲が好きだった。

しかし、小さいころから当たり前にあった曲だったからなのか、メロディーに惹かれていたからなのか、今まで歌詞に注目したことはなかった。歌詞の意味なんて分からず歌っていた。数年前に久々にこの曲を聴き、歌詞を聴いて、すごいと思った。

ちなみに、作詞は松本隆。これも数年前に知った。それにそもそもこの曲を頻繁に聴いていたころ、彼のことは知らなかった。

素敵な表現で溢れているが、私がいちばん好きな部分は「あなたが好きよ」である。ここまできて??「あなたが好きよ」??透明な真珠のようにとか流星にまたがってとか花火みたいとか言っておきながら「あなたが好きよ」??そう思った。ここまできて?いや、むしろここまできたからなのか?

だからこそ、ここがいちばん好き。

彼の手にかかれば、「好き」という感情はどんな言葉を使ってでも表現できるのではないか。私はそう思っていた。「嫌い」という単語を用いて婉曲的に「好き」を伝えることだって、彼にとっては朝飯前だと思う。

そんな彼が手掛けたこの曲は、いくつもの巧みな比喩表現で神秘的で初々しい情景を聴き手に想像させる言葉でいっぱいなのに、「好き」はそのままどストレート。なんの捻りもない。シンプル。もはや照れ臭さすら感じない。それがいい。もしかしたら「好き」以上にその感情を不足なく伝えられる言葉は日本語には存在しないのかも。

「好き」なんて言葉は日常的に使うし、よく耳にする。そんなありふれた言葉でここまで人を考えさせる。そんな言葉の使い方をする人、そんな人を私は尊敬している。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?