詩人からのアドバイス

何かを書いたりつくったりする人に、ぜひ紹介したい文章がある。E.E.カミングスという、アメリカ人の詩人が残した金言たちだ。

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A POET'S ADVICE / 詩人からのアドバイス

詩人って、いろんなことを感じて、感じたことを言葉で表現できる人のことです。

これは、簡単に聞こえますが。実はそうではないのです。

みんな、自分が感じたことを頭で「考える・信じる・知る」ことはできる。でもそれはやっぱり、考える・信じる・知るだけで、感じていない。詩は「感じる」ことです。ただ知ったり、信じたり、考えたりすることではない。

ほとんど人は考える・信じる・知る方法は学んでいます。でも、誰も「感じる」方法を学ぶことはできません。なぜでしょう?自分が何かを考える・信じる・知るときは、いつでも他のたくさんの人と同じでいられるけど、でも、感じるときはほかの誰とも違う自分になるからなのです。

誰とも違う自分でいること。この世界では、まわりのみんなと同じにさせようと昼も夜も強要してきます。これは人類の闘いのなかでも、いちばん困難なバトルです。そして、この闘いに終わりはありません。

誰とも同じじゃない自分を、誰かに伝えようとすること。それは、人よりもうちょっと頑張って、詩人じゃない人には想像できないほど頑張って伝えようとすることです。

なぜ?誰か他の人と同じ言葉を使うことって、実はいちばん楽なことだからです。わたしたちはみんな、おおむね、いつもそうしています。でも、そんな時、わたしたちは詩人ではない。

もし、最初の10年か15年が過ぎて、ずっと闘い・働き・感じるってことを続けてきて、その中でひとつの詩のたった一行でも書くことができたならば、それは本当に最高に幸運。という感じです。

だから、詩人になりたい若いひとたちへの私からのアドバイス:感じる・努力する・闘うことを、ずっと死ぬまで続ける決意がないなら、そしてそのことに喜びを感じないのなら、何か別の簡単なことをしてください。例えば、世界を爆破することを学ぶ、とかね。

なんだか悲惨な生活に聞こえました? いいえ、そうではありません。

この地球上で最も素晴らしい人生です。

そう わたしは「感じて」います。

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この文章を読んで「自分がどう感じるか」をおろそかにしていないだろうか?

そんなことをふと思う。

スマホを起動すれば有象無象に存在する情報にアクセスできるインターネットの世界。一方、そんな情報の濁流の中にいると、自身が「感じること」を忘れてしまうことがある。

「外に開かれる」ということは可能性にあふれた刺激的な出来事だが「内に閉じて自身と向き合う」ということもまた、同じくらい大切なことだ。

例えば何か自分が「感じたこと」を書いているとき、手で書かれた「表現」と「感じたこと」の間に距離が出てきてしまい、結果何が書きたいのかわからなくなることがある。

自分はどう感じるのかが、何かを表現するためには表裏一体、必要不可欠な所作である。

どう感じるかに敏感でありたい。それは世界の誰でもない、自分だけにしかできない特別な力なんだ。

A POET'S ADVICE (By EE Cummings)※原文

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A poet is somebody who feels and who expresses his or her feelings
through words.

This may sound easy. It isn't.

A lot of people think or believe or know what they feel---but that's
thinking or believing or knowing: not feeling. And poetry is
feeling---not knowing or believing or thinking.

Almost anybody can learn to think or believe or know, but not a single
human being can be taught to feel. Why? Because whenever you think or
you believe or you know, you're a lot of other people: but the moment
you feel, you're nobody - but - yourself.

To be nobody - but – yourself -- in a world which is doing its best,
night and day, to make you everybody else--means to fight the hardest
battle which any human being can fight; and never stop fighting.

As for communicating nobody-but-yourself to others, that means working
just a little harder than anybody who isn't a poet can possibly
imagine. Why? Because nothing is quite as easy as using words like
somebody else. We, all of us, do exactly this nearly all of the
time--and whenever we do it, we are not poets.

If, at the end of your first ten or fifteen years of fighting and
working and feeling, you find you’ve written one line of one poem,
you''ll be very lucky indeed.

And so my advice to all young people who wish to become poets is: do
something easy, like learning how to blow up the world--unless you're
not only willing, but glad, to feel and work and fight till you die.

Does this sound dismal? It isn’t.

It’s the most wonderful life on earth.

Or so I feel.

(By E.E.Cummings - American poet,painter, essayist, author, and playwright)

#エッセイ #日記

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