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みんな大好き!マイクラを活用したポーランドの環境保護活動

こんにちは!DSGの高橋です。(組織移動でチームが変わりました!)
わたくし、ファミコンで育てられたと言っても過言ではないほど、ゲームやゲーム実況が大好きです!

定期的に実施しているデコンストラクショントレーニングの中から、
今回は、国内外で人気の高いゲームタイトル「マインクラフト」を活用した広告事例をご紹介いたします。

違法伐採を野放し、ヨーロッパ最後の原生林”ビャウォヴィエジャの森”

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ヨーロッパ最後の原生林”ビャウォヴィエジャの森”
(https://worldheritagesite.xyz/bialowieza/)

太古の時代から存在する、ユネスコの世界遺産であり、ヨーロッパ最後に残った最大の原生林区画のひとつ「ビャウォヴィエジャの森」(早口言葉みたいですね。舌噛みそう。)はユネスコの世界遺産にも登録されているにもかからわず、違法な伐採が後を絶たない問題を抱えていました。

本来であれば取り締まり活動を行うはずのポーランド政府は、何故か、森林の保護には消極的。
さらには、伐採に対する国民の抗議活動を却下するなど、違法伐採に歯止めが効かない状況となっていました。

半年の歳月をかけて、マインクラフトの世界に広大な森が出現!

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前述の状況下の中、Minecraftのゲーム世界内に「ビャウォヴィエジャの森」が出現します。

衛星写真や環境写真家による素材提供をもとにした精工な森林フィールドは、容量19GB・7億本の木・50億個のブロックで再現。完成したマップは19ギガバイトを超える、とてつもない規模感です。

突如出現した森林エリアに、マインクラフトゲームユーザーが注目したのはもちろんのこと、ポーランドの小学校の授業でも取り組まれました。
(授業で取り組まれたときには、すでに生徒たちはこのゲームの森林エリアのことは知っていたのだとか。)

緑豊かに再現された地形を楽しむ人、森林資源を活用する人、動物と戯れる人・・・それぞれのゲームユーザーがこのキャンペーンを楽しんでいました。

しかし、マインクラフト上で見事に再現された”ビャウォヴィエジャの森"に、突然終わりが訪れます。

予告なしに、川は枯れ、植物は消え失せ、森林は切り株だけが残り、ただ1本の木だけが残された状態へと変貌しました。

変貌した森。周囲のブロックは切り株です。

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この急激すぎる変貌にゲームをプレイしていたユーザーは驚きました。例えるなら、「さっきまで遊んでいたゲームデータが消えた悲しみ」。「完成間近のレポートや企画書がPCの強制終了で消えた」そんな虚無感が近いかもしれません。

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この画像探すだけでだいぶトラウマがよみがえってしんどかったです…(今回の事例はわたしをはじめとした、ゲーマーの心理をうまくついてますね)


To The Last Tree Standing

このPRを仕掛けたのは環境保護団体「Greenpeace」と広告代理店「Ogilvy」。

若年層の環境保護意識向上のために、「ビャウォヴィエジャの森」の二極に分岐する未来をゲーム空間に再現。
違法伐採と環境問題を若い世代の人々に知ってもらいたい思いから「マインクラフト」を活用。

このPRの結果、全世界1億人へのリーチを実現しました。

ポーランド国内では17万人が森の保護を訴える嘆願書に署名。保護に消極的であったポーランド環境大臣の解雇へと至りました。

さらにOglivyのプランナーはこのPRの意義や目的について、下記のように述べています。

「キャンペーンの「真の結果」は、ゲームをプレイした10代が投票権を獲得し、社会に参加する5年後に実現する」

「一方的に情報として与えられるプロバガンダを受け入れるだけではなく、自分たちで考え・議論する力をみにつけられたはず」

”社会に参加する5年後に実現” というのは参政権のお話ですね。

一過性の話題だけではなくキャンペーンに参加・体感してなにを感じて、そこからどのように考え、成長していくまでを見据えていたんですね。
深すぎるPR事例でした。


最後に

 ポーランド国内のカリキュラムでマインクラフトが取り入れられているとはいえ、大規模な森林の再現を行うにあたり、グラフィックが美しいオンラインゲームがたくさん存在する中、「なぜ、マインクラフトだったのか?」を考えました。

それは、「木を伐採することからすべてがはじまる/伐採がなくてはならない」ゲームだからではないかと考えています。

現実の世界でも、我々の生活の中に木材資源はなくてはならない存在ですが、その考えだけで動いていると、待ち受けているのはTo The Last Tree Standingの世界かもしれない、そんなメッセージ性を感じました。

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