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第7回(2019)俳句四季新人賞・最終候補作品

2020年夏、第8回俳句四季新人賞の受賞者が発表されました!

今年はお二人! 遅ればせながらおめでとうございます★

昨年、私も最初で最後の挑戦で、最終候補の一人に選出いただきました。

その時「どうして応募したか」「賞に挑戦することで思ったこと」を、一年経った今だから見えてきたことを交えて(次回)書いてみたいと思います。

その前に、今回はまず私自身の昨最終候補作品を掲載いたします。

ご笑覧いただければ幸いです。

 ★       ☆      ★     ☆

平和

              柏柳明子

あはゆきやページを繰れば羽の音
朧夜のふたり洞窟ゐるごとし
卒業のすべての屋根を遠くする
踏切の音のあはひに散るさくら
かげろふを通るてのひら濡れてゐる
紋白蝶ゆたかに鼾かいてをり
風船へ平和壊さぬやうに息
六月の壁の続きに扉かな
見るといふより見られをる紫陽花に
海の日やすぐにはみ出す餃子の具
昼寝覚からだに膜の残りたる
ひまはりを逃れし影の摩耗して
熱帯魚回るメンタルクリニック
短夜やソースざぶざぶかけてゐる
もう一度神輿のとほる秋日和
応援の銀杏踏んでしまひけり
一冊に終はる休日虫の声
つぶやきて独語と気づく秋の雨
新しきひかり葡萄の皮剝けば
とびとびに呪文のごとき曼珠沙華
時間より早く着きたる花野かな
姿見に入ればわたし冬銀河
雪吊のすこやかな空ありにけり
迷宮のはじまつてゆく毛糸玉
配偶者あり木菟の家系なり
夜焚火の顔のときをり仮面めき
鋏ならきれいに切れる冬の空
言ひたげに兎の髭のふるへをり
ジーンズのまつすぐ乾き冬の月
手毬唄あかるきものの燃えやすし


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