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【ながおし!⑨】祖父のぶどうを受け継ぎ未来へ 小林 弘生さん

長浜で推したい!長浜でこの活動を推している!そんな人々を紹介する「ながおし!」

第9回目は、祖父の事業を受け継ぎ、今荘ぶどう園を営む小林弘生さんを紹介します。

インタビューを受ける小林弘生さん

今荘ぶどう園は、十数年前、市の事業で子どもたちとサイクリングをしたときの目的地として立ち寄った。そのときの子どもたちが、自分の顔ほどに実ったぶどうを一生懸命収穫し、「甘い」「おいしい」と食べていた姿を今も覚えている。

その私にとって思い出のぶどう園を訪れると、今回のながおし!小林弘生さんが迎えてくれた。現在、そのぶどう園を祖父から受け継ぎ、切り盛りしている。

小林さんとは初対面だと思っていたら、サイクリングの話をすると、小さいころだったが覚えていると言ってくださった。ひょっとして幼いころの彼に会っていたのかと思うと、縁を感じる。

そんな小林さんにぶどう農家歴を尋ねると、「本格的には、農大の卒業以降、2018年4月からです。」、「ただ、小さいころから祖父母に連れられ、ぶどう園に行き、手伝っていたので、ぶどう農家歴はけっこうあるかもしれません」とほほ笑む。

ぶどう一家の一員だなあと妙に得心した。

ここで、ぶどう農家のやりがいを聞いてみると、「やっぱ、お客さんの笑顔ですかね。」と少し照れながら話す小林さん。人柄の良さがにじみ出る。

ただ、その笑顔を引き出すためには、数多の苦労がある。
小林さんによると、「ぶどうは目が離せない。」とのこと。温度・湿度に敏感で、すぐ日焼けや病気になってしまう。4月に芽吹いてから9月の収穫までは、日の出とともに、温度や湿度の調節のため、農園の囲いを上げ下げするなどの作業が続くそう。

ぶどうの手入れに余念がない小林さん。

その他の時期も、敷き藁、剪定、肥料やりなどがあり、ぶどう作りは大変手間がかかる。
そのため、人手も必要で、今シーズンも30人のパートタイマーの人に来てもらったそう。「この人手は、近所の人と同級生に世話になりっぱなし。」と小林さん。世話になっている人への感謝を忘れない。

また、同級生に手伝ってもらっていることから若者が集まり、賑やかなイメージになっているようで、これがありがたい効果となっているとはにかむ小林さん。

ここで、今荘ぶどうの魅力を尋ねてみた。「山なので水がきれいで、日中の寒暖差があり、傾斜地で日当たりが良いので、ぶどうの色づきが良く、甘いと評判をいただいています。」と少し遠慮気味に答える小林さん。

その甘いぶどうを求めて、シーズンには、地元滋賀・長浜だけでなく、岐阜や愛知、三重などからも今荘を訪れるようです。「三重ですか、遠くから来られるんですね」と水を向けると、「祖父が営業してくれたおかげ」と語り、「シーズンに何度も通う人もいて嬉しい」と喜びます。

ここまで、インタビューを進め、小林さんの人となりに迫る中で、祖父への思いが、かなり影響していると思い、改めて祖父である・弘さんへの思いを聞くと、
「とにかく、まめだった。何事も一生懸命で、仕事一筋だった。工作・大工仕事も大好きで、ぶどう栽培のための道具も作っていた。頭の中はぶどうでいっぱいだったと思う。」と語ってくれた。

続けて、かけられた言葉で印象に残った言葉はありますかと尋ねると、「それはないですね。」としつつ、「色んなことを教えてもらった」と祖父に対する自然な敬いの心が見える。

その顔に、こちらもなぜかほっとさせられる。家族の愛とは、そうしたものでしょうか。

さらに、将来の夢を聞くと、「現状維持ですね。」微笑みつつ、「祖父から受け継いだ農場をつぶすわけにはいかない」と決意の表情も見せ、近年はワインのぶどう作りにも取り組む。

そして、地元に残り、家業を継いだ身として、「農業は、人の笑顔に直結するやりがいのある仕事。ぜひ将来の選択肢にしてほしい。一緒に農業、そして地元を盛り上げよう。」と若い人へのメッセージをいただいた。

「特にぶどうは、はさみと手があればできます。」と笑顔の小林さん。

今荘ぶどうのPRをする小林さん。

ぶどうの木には、約200房のぶどうができるとのこと。
祖父の思いを受け継いだ彼のもと、ぶどうの木のように、若い人たちが集う未来が見えるようだ。

(あん)

※今荘ぶどう園の紹介ホームページ
https://www.imajyogrape.com/