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なぜ妹は本が読めないのか

妹がちょっと前まで入院していた。

盲腸だったらしく、最近の医療技術はすごいもので、手術でメスを入れるのではなく薬だけでなんとかするのが主流になっていることを初めて知った。

昨今のそれで面会謝絶になっており、家族でも差し入れを持って行っても本人には渡せない状況だった。

とりあえず自分は本を何冊か鞄に入れて差し入れしてあげた。

入れた本は漫画と小説。

『まくむすび』という既に完結している演劇をする高校生の漫画5冊と、三島由紀夫の『命売ります』という自分の命を売った相手が吸血鬼だった小説を1冊。

それと自分が入れているDMMブックスのアカウントをログインさせてあげた。

DMMブックス、複数人のログインについての制約がなんともグレーらしく、せっかく買った本がBANで消えないかそこそこ心配。

DMMに入っているワートリ全巻をさっさと読めと急かしているけれど、一向に読み進められている気配がない。

無事に家に帰った妹に、何を読んだか聞いた。

漫画は読めたらしい。

小説は読めなかったらしい。

昨日ある漫画を紹介した。今話題の『タコピーの原罪』だ。

noteやTwitterで生きている人なら読んでいない人がいないはずのタコピー。妹はそれなりに気に入っていたはずなのに、途中で止まっていた。

今朝、何か読んだかを聞いたら「どれも読めていない」と返ってきた。TikTokを見ながらの生返事だった。

「集中力が続かなくなった」とも言っていた。

これは自分の100%偏見だけど、TikTokをしている人は総じて頭が悪いと思っている。

スマホのセキュリティ的なそれについてもだし、コンテンツ的にも、両方の意味で頭が悪いと思っている。

TikTokを入れている端末からデータが抜かれる話は既に聞かされているはずだし、自分は説明をしたし、「入れるな」と再三言っていたにもかかわらず、今は普通に入れていた。

別にTikTokをしているから頭が悪い。というわけではなく、これに時間を費やしているから頭が悪くなる。というのが自分の理屈になる。

そしてふと考えた。

TikTokのコンテンツがあまりに短すぎるのではないか?ということを。

妹にTikTokの画面をちょっと見せてもらった。長くても15秒くらいの動画で、きっちりとネタが完成していた。

確かに面白いことは面白い。分からなくもない。

でも逆に、15秒くらいの動画しか集中して見ることができないってどうなんだ?と感じるわけです。

映画館で映画を集中して観ることができない若者が増えていると昔ニュースで見たことがある。

120分の映画なら120分すべてに意味がある。ということを知らないらしい。

だから冗長なシーンではスマホを見てしまうし、集中したいシーンしか見たくないとなってしまうのかもしれない。

マイケルベイ監督ほどの作品でもなければ毎分爆発が起きる映画はないだろう。

全部の時間で飽きがこない映画は多分ないだろう。

暗いシーンとか無言の時間とかがあるのもまた映画だろう。

それを暇だと判断してしまうことは、それはそれで危険ではないだろうか。そんなことを感じてしまう。

小説だってそうだ。

1冊で完結するものを読破できない。1ページ読み切ることも難しい。だって1ページで面白くないから。

良く言えば省エネ、悪く言えば集中力散漫の脳へとアップデートされているのかもしれない。

そう考えると、創作物を駆逐するのは15秒程度である程度の面白さが保証されているショート動画とかなのかもしれないなぁと感じるわけです。

だって2時間の映画を観る時間があれば15秒のTikTokを500回くらい見れるんだし。

ということは、座って本を読んだり映画を観たりする時間の使い方をする人はむしろ古い人間なのかもしれないなぁとなってきた。

自分はいつの間にか時代に取り残されたのかもしれない。

まぁ、この取り残されることについては悪くないだろう。

そう思いつつ、とりあえず明日からの旅行に向けて電子書籍を適当にぽちぽちしてみようと思った話でした。


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