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「長崎アートプロジェクト」とは?

「長崎アートプロジェクト」は、市民の皆さんがアートを身近に感じ、触れ親しむことで、心豊かな暮らしを実現することを目指して、2010年度から毎年、開催場所や作品を変えながら実施している長崎市の事業です。

この事業では、国内外で活躍するアーティストを長崎市に招いて一定期間滞在してもらい、市民の皆さんと一緒に作品の制作やワークショップを実施するなど、アーティストと市民がコミュニケーションを取りながらアートに触れる機会を創出する取り組みをしています。

これまでたくさんの方々に支えられながら進めてきた長崎アートプロジェクトですが、事業を進める中でさまざまな課題が見えてきました。その中でも大きな課題が2つありました。

ひとつは、アートプロジェクトでやろうとしていることや作品のコンセプト、内容などを、地元の住民の皆さんに理解してもらうためには、もっと時間をかけた方がいいという時間の問題。

もうひとつは、アートプロジェクトが目指すものを明確にしたうえで、コンセプトを決め、それを実現するための企画づくりや、その後の事業運営にあたっては、アートに関する専門的な知識や理解、展覧会などの企画運営能力に加え、住民の皆さんに伝わる言葉で分かりやすく伝える力が不可欠である一方、市の職員だけではそうしたスキルを十分に補うのが難しいという問題です。

以上の問題点を踏まえ、よりよい事業にするため、今回取り組み方を見直しました。変更するのは大きく2点です。

まず、開催場所の選定や住民や市民の皆さんにプロジェクトを理解してもらうための時間を十分につくるべく、事業スパンを1年間から2年間に変更しました。次に、テーマの設定やアーティストの選定などの企画、市民の皆さんへの説明など作品制作までのプロセスの中で、専門的なスキルが必要であると考え、アートプロジェクトに関する専門的な知識や経験を持つ「キュレーター」を配置することになりました。

こうした改善を行いつつ、2020年度の野母崎地区が舞台となる長崎アートプロジェクト「じかんのちそう」実施に向けて、現在準備を進めています。2019年度はそのキックオフ企画として、野母崎地区の皆さまのご協力のもと、冊子『地層/時間』を制作しました。

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長崎市は、近隣の町や村との合併を繰り返したことで市域が広くなり、地域ごとにさまざまな歴史や特性があります。長崎市中心部から1時間足らずで訪れることができる野母崎地区は、青い海と空に囲まれた美しく豊かな自然があり、地域文化が継承されながら息づいています。

住民の方々はその自然の中で自然とともに生活を営んでおり、さらに海水浴場や宿泊施設、クルージングなど観光レクリエーションの場としても、さまざまな人を受け入れてこられました。野母崎地区が持つ歴史や風土を活かしながら、この地区で生活している方たちと一緒にアートプロジェクトをつくり上げていきたいと思います。

また、本プロジェクトを通して、市民の皆さんにアートを身近に感じていただくとともに、アーティストやクリエイター、野母崎を舞台に作品がつくり上げられる過程に接する機会を生み出すことで、作品を通して野母崎の歴史や人と土地、さらに長崎やアートのことを考えるきっかけにもつなげていきたいと考えています。

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