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総合医育成プログラム研修記録 ミーティング・ファシリテーション①

今回は、ファシリテーションの講習でした。
話し合いの事前準備についてまとめました。
良い会議になるか否かは事前準備にかかっています!

個人的には、「ファシリテーションの教科書-組織を活性化させるコミュニケーションとリーダーシップ」が最も理解できた本です。その中の一部分を下記の通り作成しました。すべてはコレ!

ファシリテーションの教科書より作成

1.視点、視野、視座の違い

ファシリテーションの根底には、物事を目の前の話し合いに集中しながら、視野を広く保ち、視点、視座を変えて議論をとらえることが必要になります。

<視点、視野、視座の違い>
視点:「どの観点で」物事を見るか/考えるか
視野:「どの範囲で」物事を見るか/考えるか
視座:「どの立場で」物事を見るか/考えるか

視座を高めるには?視座を高める3つの方法とメリット

「視野が広い」とは、思考や知識の幅が広く、多面的・多角的に物事を見ることができる状態です。
それに対し、「視座が高い」とは、俯瞰的に全体像を把握し物事を考えることができる状態です。

視野を広げる方法と視座を高める方法は以下のとおりです。

<視野を広げる方法>
⑴ 様々な領域に関心を持ち、情報収集を行う
 知識や経験が豊富であれば視野が広がります。
⑵ 多様な価値観や年代の人と会話する
 自分と異なる価値観を持つ人、年代が異なる人と会話することで‘違い’を知ることができます。
⑶ 自分の思考の癖を知る・気づく
 主観や先入観に捕らわれない。自分の思考パターンを知り、思考停止になっていないか自分を疑いましょう。

視野を広げるには?視野を日常的に広げていく方法

<視座を高める方法>
⑴ ロールモデルになる人と会話する
 普段近くで一緒に仕事をしない人と会話する方が良い。親しい人であれば本音トークができません。一緒に仕事をしない人であれば、同時に視野を広げることができます。「〇〇の人だったらどう考えるかな?」と思考を変えることで視座が高まります。
⑵ さまざまな本を読む・動画を見る
 高い視座から情報発信して、世の中に影響を与えている人は多いです。その情報は、自分で考え、取り入れるべきか否か判断する必要があります。
⑶ 社外のコミュニティに参加する
 異なる環境に身を置くことで、新しい考え方を知ることができます。視野が広がるだけでなく、視座が高まっていくことにもつながります。

視座を高めるには?視座を高める3つの方法とメリット

2.ファシリテーションの役割と定義

ファシリテーションは、メンバーや関係者の知恵とやる気を引き出し、深い納得に裏付けられた合意を実現する強力な武器であり、同時に人の能力を育成する上で肝となるコミュニケーションスキルです。

その役割は、
 ・話しやすい場を作る
 ・相互作用を高め、多様な意見を引き出す
 ・話し合いを見える化する
 ・意思決定のプロセスを支援する 
等があります。

適切にファシリテーションが行われることで、各メンバーが「目的と理由」を深く理解し、「具体的なあるべき姿」を自ら描き、「当事者意識」を持てるレベルまで納得することができます。その結果、組織内の意思決定力や問題解決力が高まることにつながります。ファシリテーションは、リーダーにとって必須のスキルであると言えますね。

3.話し合いの事前準備

実際の話し合いの実施に向けて事前準備を入念にする必要があります。
最も大事なのは、議論の「仕込み」です。
議論の「仕込み」には、
 ・議論の出発点と到達点を明確にする。
 ・参加者の状況を把握する
 ・議論すべき論点を広く洗い出し、絞り、深める
ことが大事です。

⑴ 仕込み

ア 議論の出発点と到達点を明確にする
「到達点を押さえる」とは、「〇〇が××できるような状態となること」と具体化しておくことがファシリテーションをする上では重要です。漠然とした到達点では、話し合いの舵取りが上手くいきません。

到達点は「作りたい状態」で定義しましょう。
例えば、
 Bad:会議終了までに~を議論すること
 Good:会議終了までに〇〇が××できる状態になっていること

話し合い中は、常に「到達点を意識した」ファシリテーションを行います。
話し合いが終わった時、到達点に照らし、何ができ、何ができなかったかを振り返りましょう。これは、その話し合いの成否判断の基準となります。
失敗した場合は、何を改善すべきか、成功した場合はその要因を振り返ることが可能になり、良好なファシリテーションの再現性が高まる(=ファシリテーションのスキルアップにつながる)。

到達点を意識することで、議論すべき内容か否かの判断がしやすくなり、効率的にかつ効果的に進行することができます。逆に到達点が意識できていなければ、何を拾い、何を捨てるのかの判断ができません。

到達点を示すことで、参加者自身が話し合いの方向性を理解し、自分の役割、立ち位置が理解でき、話し合いに貢献しやすくなります。その結果、質の良い議論ができる可能性が高まります。

到達点を考える際は、
 アクションに至る理由の合意(=必要性)
 アクションの選択と合意(=妥当性)
 実行プラン・コミットの確認(=実行可能性)
のどの範囲をカバーするのかを考えます。

「なぜ話し合うのか?」、その背景を知らずして、議論を開始すると、方法論・アクションの話になり、議論がまとまらない状態になります。話し合う内容が、上記の3つのうちどれなのか、意識し、参加者に共有する必要があります。

イ 参加者の状況を把握する
参加者にはいろいろな人がいます。決定権を持つ人、話し合う議題の当事者、無関係な人など様々。参加者の分析をすることもファシリテーションする人の事前準備に必要です。

<参加者の分析>
・属性:参加者は誰? 決定権を持つのは誰?
・思考・行動特性:どんな考え方する人?重視する判断基準は?好き嫌いは?発言する人?慎重な人?
・認識レベル:どのような経緯で会議に参加している?議題についてどの程度知っている?どの程度興味がある?
・意見・態度:議題に対する意見(賛成or反対)は?、どんな感情を抱いている?

ウ 議論すべき論点を広く洗い出し、絞り、深める
議論の場で考えるべきこと、それが論点になります。

<論点と難所>
・「論点」とは意見や主張そのものではなく、「その意見や主張は、どういった問いに応えているのか?」もしくは「その意見や主張が、どのようなポイントについて考えた結果、導かれているのか?」である。

・「論点」の把握は難しく、その理由は、
 論点は発言されないことが多い
 発言に複数の論点が含まれる
 論点の立て方の自由度が高く関係が複雑
 発言の際には一部の論点飲みに着目して考えていることが多い。

事前準備の段階で、論点を洗い出しておく必要があります。

(ア)論点を広げる
視座を高くし、俯瞰して問題点を把握します。自分が思っているよりも広く関連する論点を洗い出すことが重要です。そうすることで、本来議論すべき論点を見落とすことが防げます。また、重要でない論点が出てきたときに、それを察知し、議論を整理し、議論すべき論点に戻すことが可能になります。
 「何の話をなぜここでするのか?」
 「なぜそうするのか?」
 「どうするのか?」
 「どうやってやるのか?」
と細分化して考えるとよいでしょう。

(イ)論点を絞り込む
洗い出した論点の重みづけをします。大きく分けて4つに分類されます。つまり、「議論すべき論点」、「議論すべきでない論点」、「議論する必要はないが確認する論点」、「置いておく論点」です。

議論の目的は、その議論の場における「到達点」に至ることです。その到達点に至るうえで、合意形成する必要がなければ、「議論すべきでない論点」になります。

参加者が、論点を抑えずに話を進めている場面があります。その場合、「〇〇に関しては△△という認識で良いですね?」と参加者の確認をすることで話を前に進めていきます(「議論する必要はないが確認する論点」)。

重要な論点が出たが、その場で決定する材料がなく、結論付けることができない場面もあります。その場合は、「この論点は、重要だが、この場では結論づけられないので次回までに各自準備して再度議論しましょう」と話を進めていきます(「置いておく論点」)。

(ウ)論点を深める
参加者の意見が分かれる論点や結論を左右する重要な論点について、より詳細に具体化して考えます。意見が分かれるポイントでは、判断軸になりうる項目を洗い出し、比較できるように話し合いに盛り込んでいくことが重要になります。

⑵ 時間・場所をデザインする

事前に、アジェンダを示すことで、参加者の「時間」に対する意識を高めることができます。また、参加者に、限られた時間で話し合おうとする気持ちが生まれ、自然に時間管理するようになります。

場所の選択と机といすの配置がカギ!
場所は、参加者の心理やコミュニケーションに大きな影響を与えます。

<場所選びのポイント>
・広さ:
 グループワークを行う場合、人数×2.5m2程度がよい。
 それよりも狭いとストレスを感じ、広いと効率性が悪い。
・雰囲気:
 明るく、心地よい場所が良い。
 窓があった方がオープンマインドになる。
・設備面:
 椅子や机の形状と数、プロジェクターやホワイトボードを
 確認する。机があると話し合いがしにくいので、話合わせ
 ない会議であれば、机を用いて参加者の距離をとった方
 が、話がうまく進む。
・衛生面:
 騒音や臭いは不満につながる。

⑶ 話し合いに必要な道具を準備する

・話し合いを見える化するツール:
 ホワイトボード、マーカー、付箋紙、A3コピー用紙など
・時間への意識を高めるツール:
 壁掛け時計、キッチンタイマー、タイマーのアプリ
・場の雰囲気を和らげるツール:
 お菓子、飲み物、音楽など

4.参考図書

今回は、ファシリテーションする前の「事前準備」を中心にまとめました。ファシリテーションの本はいろいろありますが、個人的に参考になっている本を紹介します。

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